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【精神科女医のつぶやき】片田珠美(23)世の「非モテ男」に捧ぐ
「恋愛禁止」の掟(おきて)を売り物にするAKB48がビジネスとして成功しているのも、非モテの男の子がAKBのメンバーを疑似恋愛の対象とみなして、握手券付きCDを大量に購入したりするからだろう。
自分がモテないのは、女を独り占めしているようなモテ男がこの世にいるせいだと思いこんでいる男性も少なくない。こういう誰からもうらやまれる存在への嫉妬と負け惜しみから、「色男金と力はなかりけり」という言葉が生まれたのかもしれない。
モテない男に何となく親近感を覚えるのは、「精神医学界の沢尻エリカ」と自称するほどの美貌でありながら、私自身も同じような悲哀を味わってきたからだ。若い頃、酒の席で手編みのセーターを着ている男性がいたので、「私も、家でセーターを編んでケーキを焼くような生活がしたいわ」と何気なくつぶやいた。すると、「似合わないことをしたら、どこか悪くなったのかと思うから、やめとき」と言われ、愕然(がくぜん)としたものである。
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世間を騒がせたニュースや、日常のふとした出来事にも表れる人の心の動きを、精神科医の片田珠美さんが鋭く分析します。片田さんは昭和36(1961)年、広島県生まれ。大阪大医学部卒、京都大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書に「無差別殺人の精神分析」(新潮選書)、「一億総うつ社会」(ちくま新書)、「なぜ、『怒る』のをやめられないのか」(光文社新書)など。
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