中国が再度のレーダー照射を“予告”してきた。人民解放軍系学術団体に所属する少将が機関紙に寄稿し、東シナ海で日本の艦船へ射撃管制用レーダーを照射した上で「危険な行動に出れば断固として自衛する」と主張したのだ。日本側がしかけたとの口実作りに向けた挑発行為のエスカレートに、自衛隊は警戒を強めている。
問題の寄稿文を書いたのは、人民解放軍系の学術団体「中国軍事科学学会」の副秘書長、羅援少将。18日付の共産党機関紙「人民日報」(海外版)に掲載された。羅氏は、東シナ海で日本の艦船などが警告に従わずに中国の艦船を追跡したという架空のシナリオを想定。その際には「射撃管制用レーダーを照射し、危険な行動に出れば断固として自衛する」と持論を展開した。
またもレーダー照射を行うというわけだが、この少将に「再び」という認識はない。1月30日、中国海軍の艦船が、約3キロ離れた海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したことに対し、「(3キロは)肉眼で見える範囲内で、レーダー照射の必要はない」と照射そのものがなかったなどと詭弁を弄し、「アメリカ人もこのデタラメを信じるなら物笑いになる」とまで言い放った。
日本側の自衛行為である防空識別圏設定や警告射撃に対しては、「日本人の特権ではない」と指摘。自衛隊や海上保安庁の監視活動を「偵察」と決めつけ、偶発的な武力衝突が発生すれば「責任は間違いなく日本側にある」と、身勝手な主張を続けている。
日本の監視活動を愚弄する許し難い内容だが、自衛隊関係者は自制、自重を促す。
「米国が『尖閣は日米安保の適用対象』との姿勢である限り、中国は自ら攻撃をしかけられない。日本が先制攻撃をしたような状況を作り、米軍が援軍にこないようにもくろんでいる。中国は今回の寄稿文などあらゆる手段で挑発を繰り返すだろう。根比べには負けてはならない」
監視の目はしっかり光らせつつも、慎重かつ冷静な対応が求められる。
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