2003年の秋のころ。UOの北斗シャードでコンパニオンさんとGMさんの、なんかイベントがあって見に行きました。開演まではまだ時間があり、コンパニオンとGMを囲んで、開演時間までちょっとした座談会・質問会みたいな感じになりました。私は取り囲む輪の中から、
「現在の『レアもの至上主義的なUO』をどう思いますか〜?」
と質問しました。レアもの。それはAoSと共にUOにやってきた、恐るべきアイテムだったのです……。
AoSは、2003年の2月に満を持して発売されたUOの新しいシリーズ「正邪の大陸」のことです。そのおもな特徴として、新大陸・マラスの出現、新スキルの導入、ハウスカスタマイズなどがあります。
もう一年近く経つのですね。マラスは、ええ行きましたとも! ルナの周辺だけ。DOOMもいきましたとも! 2回だけ。ネクロやパラディンも、ガッチリやりますよ! 機会があれば! カスタマイズはもう一度やりたいのだけれど、「内装やりなおし」が重い障害となってのしかかっております。
めんどうくさいのですっ。正直いって。でもまあ、いつか腰をすえてそっち方面に力を注ぐこともあるでしょう。
AoSの最大の問題点はふたつ。
「完全数値化」
「レアもの」
です。これはいかんねー。今さら言ったって無駄なのだけれど、いやですねー。どちら様がこのシステムを採用したのでしょうか。エライ人がそう決めたんでしょうね。反対意見はでなかったのかな・・・。
まず数値化ですが、ひとことで言うと、「夢がない」っす。それまで同じルニックハンマーで作られた武器なら、どの武器もそれについてくる効果は同じものでした。UO独自のフォーチとかバンクとかいった言葉で表現されていました。けれど、今は違います。ある一定の数と幅でランダムに変化します。どんなものができるかは実際に作ってみるまでわからない。いいものができることもあれば、悪いものができることもある。その良し悪しは数字で表されているのだから一目瞭然。それによってできた武器を使うのは人間です。どうせだったらより良いものを求めるのが人情。結果、「〜〜の効果がついてないから」とか「〜〜の数値が1%すくないから」といった理由で見捨てられることになってしまう。大量のゴミが生産されることになるのです。
つくるほうも、それを使うほうも、がっついてくるんですよね。夢がないなぁ。銀行預金とか営業成績とか体重とか……、
数字に評価されるだなんて、リアルだけでもうたくさんなのですよ!
そしてそのジレンマに拍車をかけるのが「レア」です。AFとか呼ばれていますね。マラスのダンジョン、DOOMのボスをやっつけるともらえるというアレです。私自身はこのアイテムをひとつも持っていませんが、見たことはあります。その性能はおそるべきもので、とてもじゃないけど人間様にはあんなアイテムつくれません。となると、鍛冶屋なんかにゃ用はなくなってしまうのです。現在は仕様の変更で、いいものの作れる確率が上がりましたが、それでもまだまだこれらのレアものには追いつかないと思います。数値化とレアは、生産者から夢と希望を奪ってくれました。おそらく多くの同業者たちが廃業に追い込まれたことでしょう。やる気なくします。実際、AoSを機にUOを引退した方もたくさんいらっしゃいます。またご丁寧にこれらのレアものに対しても「レアリティ」という数値がくっついてます。これもUOらしくないと思うなあ。
「なにがレアかはこっちで決める」
というのがUOだったのにね……。戦闘に勝つために、人はレアものを求めるようになってしまいました。まさに「戦争のための戦争」じゃありませんか。うわ〜、リアルぅ〜。つーか、ゲームにリアリティ求めないから! なんのための仮想世界よ。
確率はどうであれ、可能性があるのだから、レアものはひょこひょこでてきます。でてくるのであれば、いつかブリタニアはレアもので埋め尽くされることになります。
誰にも作ることのできないどこにであるレアもの……。
なんだか現実世界を風刺しているみたいですねー。現実世界において、自動車やカラーテレビはかつて庶民の夢でした。今ではひとりに一台でも不思議はないです。UOもいつかそうなってしまうんですかね。みーんな似たような格好をしてレアものを装備するのでしょうか。
イベント会場。
コンパニオンさんは「かつてはみんなハルバードなんて時代もありましたからね。でも、いずれ修正はされると思います」と言いました。
と、傍らにいたGMさんは、
「UOは進化していくゲームなのです」
といった趣旨のことを言いました。そのGMさんがAoSを導入したわけではない、ということはわかっていますが、苦しい発言だ、と感じずにはいられませんでした。いつかGMさんの個人的な意見を聞けたらいいなあ、なんて思います。
だって、
「進化と言えば聞こえはいいけど、わざわざUOの特徴をけずってどこにでもあるゲームみたいなシステムを導入するのでは意味がない」
って思うんです。
「いずれなされるであろう修正」を心待ちにしつつ、おわりーっ。
コンパニオンをしているお友達・ドナさんの晴れ姿(壇上、左から二番目)。