原子力規制委員会の田中俊一委員長と4人の委員の人事を衆参両院が認め、規制委は発足後5カ月で「仮免許」の状態を脱した。これまでの規制委の動きは試行錯誤の感がぬぐえない。原子力安全の重い責任を担う組織だ。いつまでも「試運転」は許されない。
委員の任命は国会同意が必要だが、昨年9月に規制委が発足した際、当時の野田政権は国会に諮らず首相権限で任命して変則的な船出となった。
この5カ月間、4つの原子力発電所で敷地内の活断層の再評価に取り組み、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新安全基準づくりを急ピッチで進めてきた。その労は多としたい。
しかし放射能の拡散予測で初歩的な計算ミスを犯し原発の地元自治体を混乱させた。また規制委の事務局である原子力規制庁の幹部職員が報告書案を事前に電力会社に手渡す不祥事も起こした。
活断層評価では、調査にあたる専門家から「原子力ムラ」を排した結果、専門分野が偏り科学的な妥当性を欠くと指摘する声があがった。批判を受け規制委は評価の進め方を修正した。こうしたことは規制機関としての未熟さを露呈するものといわざるを得ない。
原発の再稼働をめぐり推進・反対の両勢力から規制委に対する社会的・政治的な圧力が高まるだろう。規制委は科学的な判断に基づく原発の安全確保が使命だ。筋の通らない圧力に屈することがあってはならない。規制委に対する国民の信頼醸成が原子力全般の信頼回復への第一歩だからだ。
規制委をより強くしたたかな組織にするため、安倍政権は無用な政治介入を避けつつも、規制委を予算や人員面でしっかり支える責任がある。
規制委自身も原子力や地震など関連学会の専門家の知恵を糾合し、自らの科学的な判断をより確固たるものにするよう努めるべきだ。法制度や原発の地元への目配りも大事だ。規制庁にはそうした方面にたけた職員がもっと要る。
田中俊一、原子力規制委、東京電力
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