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2013年2月19日(火)付

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原発政策―課題を先送りするな

朝日新聞の世論調査で、原発の今後について尋ねたところ、「やめる」と答えた人が計7割にのぼった。「すぐにやめる」「2030年より前にやめる」「30年代にやめる」「30年代[記事全文]

干拓地の水門―「諫早会議」で解決を

九州北部、諫早湾干拓地の排水門は、裁判で決まった開門の期限を12月に迎える。いさかいの海にしてはいけない。対立する漁業者と農業者は対話の円卓に着き、科学的データをもとに[記事全文]

原発政策―課題を先送りするな

 朝日新聞の世論調査で、原発の今後について尋ねたところ、「やめる」と答えた人が計7割にのぼった。

 「すぐにやめる」「2030年より前にやめる」「30年代にやめる」「30年代より後にやめる」「やめない」という五つの選択肢から選んでもらった。

 全体の6割は30年代までに国内で原子力による発電がなくなることを望んでおり、「やめない」は18%にとどまる。

 政権交代を経ても、原発への国民の意識は変わっていないことが確認されたといえよう。

 気になるのは、政治の場から原発に依存しない社会に向けて議論を深めようという機運が失せていることだ。

 安倍政権も「脱原発依存」を掲げている。実際には、民主党政権が決めた「原発ゼロ政策」の見直しを表明するなど、巻き戻しの意図が濃厚だが、何をどう見直すかについてはあいまいにしている。

 当面、新たな安全基準や活断層評価などを進める原子力規制委員会の動向を見守る姿勢を示すのは、「参院選まではじっとしている」戦略なのだろう。

 国会でも、原発政策をめぐる論戦は低調なままだ。

 原発政策の転換は、経済や社会に大きな影響を与える。

 だからこそ政策変更に伴って生じる負の側面をできるだけ軽減し、新たな成長や構造転換のきっかけとするよう、周到な準備と合意形成に向けた取り組みが不可欠だ。

 例えば、規制委による審査の厳格化で、廃炉になる可能性が高い原発や再稼働までに時間のかかる原発が増えることが確実視されている。

 廃炉までの段取りをどう進めるのか。地元経済や電力安定供給への影響をどう軽減するか。使用済み燃料や放射性廃棄物の保管をどうするか。

 どれも、待ったなしの課題である。政府が課題を洗い出したうえで、国会で議論を始めるべきだ。

 国会には先月末、原子力問題調査特別委員会が設置された。規制当局が「原子力ムラ」にとりこまれないよう、国民の目で監視するべきだとする国会事故調査委員会の提言でできた。

 その趣旨を踏まえたうえで、もっと広く脱原発依存に向けた政策全体を議論する場にしてはどうだろう。

 昨夏の「国民的議論」のように、市民自身による議論の場を設けるのも一案だ。

 政治が面倒なことから逃げ、課題を先送りすれば、後の混乱が大きくなるだけである。

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干拓地の水門―「諫早会議」で解決を

 九州北部、諫早湾干拓地の排水門は、裁判で決まった開門の期限を12月に迎える。

 いさかいの海にしてはいけない。対立する漁業者と農業者は対話の円卓に着き、科学的データをもとに話しあってほしい。

 政府と長崎県は対話の環境作りに努めるべきである。

 ここにいたる大きな節目は、沿岸の漁業者らが有明海の水質悪化をとめるため、排水門を開けるよう求めた訴訟だった。

 福岡高裁は10年12月、水産物への被害を認め「3年間の猶予の後、5年間の常時開門」を命じた。当時の菅直人首相が政治決断をして国の上告をやめ、判決は確定した。

 しかし、干拓農地を所有する長崎県農業振興公社と農業者らは翌11年4月、国に開門差し止めを求める訴訟を長崎地裁におこして対抗した。

 干拓地で農業をしている人たちは、開門すれば堤防の内側にある淡水の調整池に海水が入って農業用水に使えなくなる、と反対してきた。

 農水省は海水淡水化の大規模な施設の建設を13年度予算案に入れた。だが今も、長崎県や営農者は開門に反対している。

 戦後の食糧難から計画を進めた長崎県はこだわりがある。農家も、県から勧められてここで耕作しているのに話が違うと、戸惑いが大きいだろう。

 それでも、福岡高裁判決で開門が確定していることは、動かしようがない。

 林芳正農水相は、昨年暮れの政権交代で就任した後、初めて長崎県の中村法道知事らと意見を交換した。

 開門に反対する知事らに、農水相は「国は判決によって開門義務を負っている」と話した。

 政府は法治国家として、確定判決を実行する義務がある。それを農水相も踏まえている。

 だが、気がかりな発言もあった。民主党政権の上告断念について「なんであんなことをしたのか」と疑問を口にした。政府に属する立場を考えれば、不要な言葉ではなかったか。

 このまま開門の期限を迎えれば、漁業者側は強制執行の申し立ても考えると言っている。ますます対立が激しくなる。

 海にくらす漁業者、農地を心配する営農者、県のこだわり、政権交代した政府……。事態はとても入り組んでいる。

 これを調整するのは政治の役割だ。政府は、関係者が自分の言葉で話しあい、有識者が助言できる場を設けるべきだ。信頼を育て、合意を形成できれば、その努力は「諫早会議」として民主主義の手本になるだろう。

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