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脚本(映画用シナリオ)の基本書式


MS-Wordファイル<sample.doc>(20KB)

MS-Word決定稿風<sample2.doc>(26KB)



ここでは映画用のシナリオに興味を持たれたり、
書いてみたいと思われた方を対象として、
シナリオの基本となる書式を紹介しています。

一口に映画のシナリオと言っても、
その作成・運用方法は多岐に渡ります。
そこで、ここでは比較的統一感のある
公募や投稿に用いられる書式の中で、
パソコンのワープロソフトで作成する場合を
中心にまとめてみました。
なお、これは一例であると言う事を事前にご了承ください。

Wordのサンプル(A4)は、上のリンクからご覧になれます。
Wordをお持ちでない方は、
「ここから〜ここまで」をコピーして、
お手持ちのワープロソフトで
等長フォントの縦書きに変更して下さい。

ここから
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○砂浜(夕)
   穏やかな夕暮れ、向い合う鈴木正(1
   8)と佐藤弘子(17)。
   歩みより正の頬を張る弘子。
正「痛てーな、なにすんだよ」
弘子「自分の顔に手を当てて聞いてみなさい
 よ!」
   叩かれた頬に手を当てる正。
正「……自分の胸だろ」
   正を睨んだかと思うと急に走り去る弘
   子。
正「お、おい、ちょっと待てよ!」
               (F・O)
○正の部屋(夜)
   ベッドに座りうつむいている正。
    ×    ×    ×
   砂浜での弘子。
弘子「自分の顔に手を当てて聞いてみなさい
 よ!」
    ×    ×    ×
   頭を掻き、ため息をつく正。
正(M)「なんだよ、いきなり……」
   顔を上げる正。
正(M)「おかしい……(立ち上がり)そう
 か、これはドッキリだ! 間違いない!」
               (終わり)
           (二百字詰め三枚)
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ここまで。

以下、一通りの解説を記します。

メニュー

1 準備
2 用紙
3 表紙
4 登場人物表
5 梗概
6 本編
  1、柱
  2、ト書き
  3、セリフ
7 技術
  1、×××
  2、心理描写
  3、セリフ中の動き
8 略号

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1 準備(Preparation)
用意する物。
200字詰原稿用紙(ペラと呼びます)と万年筆。
(400字詰原稿用紙指定の場合もあります)
パソコンとプリンタの場合は、
B5またはA4のプリンタ用紙と
プリンタ用のインクやトナー。
千枚通しと黒い綴じ紐。
紐綴じの指示がない場合は、クリップなどを用意します。
※綴じ紐は文具屋にあり、
 長さも30cm・45cmなど数種類あるので、
 脚本の厚さに応じて用意します。

内容としては、表紙、登場人物表、
梗概、本編を作る準備をします。
詳細は下記参照。
(用紙はすべて同じ物)

2 用紙(Form)
200字詰原稿用紙に縦書きで上綴じ。
プリントの場合は横使い縦書きの右綴じ。
20文字×20行(ペラ2枚分で1頁)を厳守し、
無地枠無しで、文字だけを印刷。
時間換算はペラ2枚(プリント1枚)を
1分程度と見るのが慣例。
60分作品ならペラ110〜130前後、
プリントの場合は55〜65頁前後となります。
通常(終わり)の後に、ペラの枚数に換算して
(二百字詰め○○枚)と記載しておきます。

用紙サイズはB5が主体で、A4でも可。
フォントは固定ピッチの明朝体が一般的。
フォントサイズは12〜14程度。
禁則処理(。、括弧などのぶら下げ)は、
「あり」の設定にします。
右の余白は綴じ代を含めて40mm程度。
文字間は空け過ぎず、上下に余白を多く残します。
行間は均等に配置し、左の余白は30mm程度。
ノンブル(頁番号)は左下に入れます。
ペラは上2箇所を綴じます。
プリントで右上綴じなどの指示がない場合の綴じ方は、
右から10mm程度のところ、縦を3分割するように
均等な位置2箇所に千枚通しで穴を開け、

黒い綴じ紐でしっかり綴じます。
(結び目は表紙側)
通常の運用では綴じ紐は使わず、
しっかり綴じる事のできる綴じ具(クリップ等)を使います。

3 表紙(Cover)
表紙に題名・作者名を書きます。
用紙右半分の中央に題名、
左半分の中央、最下段に名前や
必要に応じて住所などを記載。
応募の場合、指定に従って記載します。
最後のページに、無地の裏表紙
(原稿と同じ紙)を1枚付けます。
(表紙は頁に数えません)

(例)
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お座成り









                伊澤隆司





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4 登場人物表(Characters list)
登場頻度順に右から名前と年齢を表記します。
名前の設定は、作品の傾向に応じて決定します。
フルネームが一般的ですが、名字、ファーストネーム、
ニックネーム、役職名で展開するストーリーもあります。

(例)
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登場人物表


鈴木正(18)
佐藤弘子(17)















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※注釈を入れる場合は年齢に続いて簡潔に書きます。

 登場人物が多い場合でも、
 端役は「その他」と記載し1頁に留めます。

5 梗概<こうがい>(Synopsis)
あらすじの事。小説形式で簡潔にまとめます。
展開を説明するために文体は進行形主体で書きます。
通常800字(ペラ4枚)以内で結末まで必ず明記。
応募用以外の場合、添付する必要はありません。

(例)
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あらすじ

 高校生の鈴木正(18)と佐藤弘子(17)
は付き合って一年になる。ある日、弘子は突
然正に別れを告げる。納得のいかない正は真
相究明に乗り出す。ストーカー紛いの行動で
あらぬ誤解を受ける正だが、医師を騙して弘
子のHIV感染を聞き出す。
 悩んだ末、正は弘子を愛し続けると言う結
論を出し、弘子に告げる。二人は残された時
間を一緒に生き、弘子はその生涯を終える。








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※表紙の次に登場人物表・梗概を入れます。
 登場人物表・梗概も頁には数えません。

6 本編(Scenario)
本編は、柱・ト書き・セリフで構成。

1 柱(Scene)
柱の前は必ず一行空けます。
(手前が略号の場合は空き行の扱いとします)
次の最上段に○を入れ、その下に場所を書きます。
似た場所がある場合は、「鈴木家・正の部屋」と、
「・」で区切り、明確な場所を指定し、
同じ場所は、全体で書き方を統一します。
その下に()で朝・夕・夜などの時間帯を書きます。
指定がなければ昼のシーンと見るのが慣例です。
柱には「。」を付けません。

(例)
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○砂浜(夕)
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2 ト書き(地の文)
行を空けずに、上段3字下げて、
状況・人物の行動・変化などを書きます。
初めて登場する人物はフルネームで書き、
その下に( )で年齢を記載。
それ以降の名前は簡略化します。
イメージするカットごとに改行して書きます。
句読点は一般的な振り方で、
ト書きの最後には「。」を付けます。

(例)
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○砂浜(夕)
   穏やかな夕暮れ、向い合う鈴木正(18)
   と佐藤弘子(17)。

   歩みより正の頬を張る弘子。
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3 セリフ(台詞・科白)
最上段に人物名を書き、間を空けずに「」でくくって
セリフを記載します。
人物名は簡略化し、成人男性は名字、女性・未成年は
ファーストネームを基本とします。
ニックネームや役職で展開する物語もありますので、
作品の傾向に応じて個人をはっきり特定できる表記で
統一します。
セリフは二行目から1字下げます。
途中の句読点は一般的な振り方になりますが、
セリフの最後には「。」を付けません。

(例)
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○砂浜(夕)
   穏やかな夕暮れ、向い合う鈴木正(1
   8)と佐藤弘子(17)。
   歩みより正の頬を張る弘子。
正「痛てーな、なにすんだよ」
弘子「自分の顔に手を当てて聞いてみなさい
 よ!」
   叩かれた頬に手を当てる正。
正「……自分の胸だろ」
   正を睨んだかと思うと急に走り去る弘
   子。
正「お、おい、ちょっと待てよ!」
               (F・O)
○正の部屋(夜)

   ベッドに座りうつむいている正。

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7 技術(Technique)
脚本は小説と違い、映画の設計図とも言えるものなので、
関係者が理解しやすいように、

共通の約束事が決められています。

1:    ×    ×    ×
    ×    ×    ×
これは、端的な回想や、同じ場所での時間経過など、
変化のアクセントとして使う区切りです。

(例)
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○正の部屋(夜)
   ベッドに座りうつむいている正。
    ×    ×    ×
   砂浜での弘子。
弘子「自分の顔に手を当てて聞いてみなさい
 よ!」
    ×    ×    ×

   頭を掻き、ため息をつく正。
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2:心理描写
絵や音(声)として表現できない心情は書かずに、
心理描写はセリフ・表情・仕草などで明確に表します。
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(例)
   頭を掻き、ため息をつく正。

正(M)「なんだよ、いきなり……」
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3:セリフ中の動き
セリフの合間の行動や表情の変化は( )で入れます。
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(例)

正(M)「おかしい……(立ち上がり)そう
 か、これはドッキリだ! 間違いない!」
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※途中で「?」「!」を使う場合、後ろ一文字分空けます。

8 略号(Code)
多用する表記は簡素化された略号を使用します。
略号と配置の一例を記載しておきます。

M:Music(音楽)
SE:Sound Effects(効果音)
T:Title(字幕)
以上はセリフと同様に最上段に記載。

(N):Narration(ナレーション)
(M):Monologue(モノローグ)
(OFF):Off Screen(オフ スクリーン)
画面上では喋らないセリフ、心情や説明。
ナレーションは朗読。
モノローグは声に出さないセリフ。
オフは画面に映っていない役者のセリフ(発声の有無問わず)。
セリフの人物名に続けて記載。

(BGM):Back ground music
音楽をバックで流す場合、曲名(BGM)と記載。

(S・I):Sneak-in(知らぬ間に入る)
スニーク・イン(主に音楽で用いる)
(F・I):fade-in(ゆっくり入る)
フェード・イン(絵の場合は通常黒から明ける)
(C・I):Cut-in(急に入る)
カット・イン(絵の場合は黒からパッと絵が出る)
以上は効果を付ける部分の前の行、最下段に記載。

(O・L):Overlap(重なり合って場面転換)
これは重なって消える側(前者)の次の行、最下段。

(S・O):Sneak-out(知らぬ間に消える)
(F・O):fade-out(ゆっくり消える)
(C・O):Cut-out(急に消える)
以上は効果をつける部分の次の行、最下段に記載。

(Z・I):Zoom-in(だんだん大きくなる)
(Z・O):Zoom-out(だんだん小さくなる)
(Fr・I):Frame-in(あとから登場)
(Fr・O):Frame-out(先に退場)
これらは必要に応じてト書きやセリフの後に付ける。

(終わり):作品の終わりを示す。
本編の終わりの次の行、最下段に記載。

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これで一通りの「シナリオ」になるわけですが、
投稿以外では用紙の節約からペラ4枚分
(20文字40行)を1枚に印刷したり、
それを上下2段にして、ペラ8枚分を1枚に印刷し、
少ない枚数で運用するのが慣例となっていて、
その場合、メモ用に上部を多少空けるのが一般的です。

シナリオ作成時の参考になれば幸いです。(文責:伊澤)

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2008年度版  監修:伊澤隆司  製作:彩倫


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