東通原発:「敷地に活断層」…規制委調査団が認定
毎日新聞 2013年02月18日 11時54分(最終更新 02月18日 14時24分)
東北電力東通原発(青森県)の敷地内にある断層群を調べている原子力規制委員会の有識者調査団は18日、東京都内で会合を開き、「断層群の多くが活断層である可能性が高い」との表現で活断層と認定する報告書案をまとめた。断層群は原子炉建屋から最短200メートルしか離れておらず、建屋などの耐震安全性評価のやり直しや新たな耐震補強工事が避けられなくなった。
東北電は14日に国に申請した電気料金の値上げで、停止中の同原発1号機を15年7月に再稼働するとの前提で原価計算した。活断層認定で早期の再稼働は絶望的となり、同社の収支見通しは変更を迫られる。
報告書案によると、敷地を南北に縦断する「F系」と呼ばれる10本の断層群のうち、昨年12月に現地調査した「F−3断層」「F−9断層」について、古い時代の断層が約11万年前以降に繰り返し横ずれを起こしたと認定。耐震設計上の評価が必要な12万〜13万年前よりも活動時期が新しいとした上で、他のF系の断層全てが「敷地全体で系統的に続いている」とした。
さらに、F系以外でも、耐震設計上重要な施設である取水系設備の直下を通る「f−1断層」について「12万〜13万年前以降に変状があり、検討が必要」とした。
東北電はこの日の会合で、地層が水を吸って膨張する「膨潤(ぼうじゅん)」であり活動性はないなどと主張を変えなかったが、調査団は「根拠が乏しい」と否定した。
規制委は今後、調査団以外の専門家からも意見を聞き正式な報告書をまとめる。東北電は19日から、活動性を否定するため断層群の調査に着手する方針を示したが、規制委は結果を待たずに報告書を決定する。敷地内の断層が「活断層の可能性が高い」との報告書案が示されたのは日本原子力発電敦賀原発(福井県)に続いて2例目。【酒造唯、岡田英】