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津波被害の中学校に落書き 校長「善悪の判断を」/神奈川

2013年2月17日

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津波被害を受けた中学校の体育館で見つかった落書き。3人の氏名と、住所が番地まで書かれていた(画像の一部を修整しています)

津波被害を受けた中学校の体育館で見つかった落書き。3人の氏名と、住所が番地まで書かれていた(画像の一部を修整しています)

 東日本大震災の被災地で、首都圏の大学生が津波被害で閉校予定の公立中学校の体育館に自分の名前をいたずら書きした。「軽い気持ちだった」。学生らは後日、学校側にそう謝罪した。だが、落書きは消せても、被災者に残った苦い記憶は、簡単には消せそうにない。震災から、間もなく2年が経過する。

 「このたび残念なことがありました。壊滅的な被害のあった学校の体育館建物内に、記念に名前を書いて帰ったのです。神奈川県の住人です」

 神奈川新聞社宛てにそんな電子メールが届いたのは、昨年12月23日。津波で甚大な被害を受けた宮城県東松島市でボランティア活動をしている40代の男性からだった。

 添付写真には、3人分の名前と住所。市立中学校の体育館の演壇に書かれていた。

 2011年3月11日、海岸から200メートルほど離れた学校は校舎の2階まで津波にのまれ、全壊した。午前中に卒業式があり、生徒の多くは帰宅していたが、自宅などで3人が犠牲になった。式典の飾り付けがそのままだった体育館も天井近くまで水が届き、内部に松の大木が流れ込んだ。

 同校は今年3月末で閉校することが決まり、生徒らは現在、別の中学校の校舎を借りて授業を行っている。

 男性が落書きを知ったのは、昨年12月中旬。ボランティアの打ち合わせで同校を訪れた際、校長から相談された。「被災者は助けてもらっているという負い目から、声を上げにくい」。校長自らが訴え出なかった背景を、男性はそう説明する。

 1月、記者は落書きされていた住所の一つを訪ねた。埼玉県内の大学に通う男子学生の実家だった。父親によると、時期は不明だが、男子学生は同校の卒業生を含む友人6人で体育館を訪問。「もうすぐ閉校になるから、おまえも記念に書け」と友人に勧められたのだという。「ふざけたわけではなかったが、軽い気持ちで書いてしまった」。父親は、息子の言葉を代弁した。

 「愛してるよ、◯◯中」「◯◯中、なめんなよ」-。同校にはそんな落書きもある。でも、と校長は怒りを押し殺すように、言葉を継いだ。「それは母校への感謝や、なくなってしまう悔しさが込められた“寄せ書き”。今回の(部外者の)ものは全く違う」

 同月中旬、校長に卒業生の男子学生から電話があった。「6人全員で消しに行きたい」との申し出だったが、断った。校長は自らの手で落書きを消し、3月16日の閉校式を迎えたい、という。

 その理由を、自身に言い聞かせるようにつぶやいた。「制裁を与えるのではなく、善悪の判断ができるようにするのが教育。電話から反省の気持ちが感じられた。思いは伝わった、と信じたい」


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