花芽のつき方を知ろう!
 花芽や蕾が作られるのは今年伸びた枝に、早いものではツツジ類のように6月下旬、遅いものではコデマリ・アジサイのように9〜10月に入ってから、というように種類によって異なります。モチノキやモッコク、カナメモチのように樹形や新梢の美しさを観賞目的とする種類は、あまり枝を切る位置にこだわらず、樹形に沿って枝を切っていけるが、花の果実を目的とする木は、花芽や蕾のつく位置を知らないで整枝すると、せっかく出来た花芽や蕾を切り落としてしまい花の咲かない木になってしまいます。
 そこで、数多くある花木や実もののタイプを知ることで、失敗のない整枝・剪定を行ってください。 
花木や実のなる木の剪定ポイント
新梢の葉腋につく(タイプ1)
花芽の付き方
今年伸びた新梢の各葉腋に花芽がつく。しかし、長く伸びた強い枝にはほとんど蕾はつかず、基部の方に出る短い枝の葉腋についた蕾はよく開花し実を結ぶ。ハナモモやコデマリ、ユキヤナギ、などは長い枝にもよく花芽を付ける。
樹   種
ウメ ・トサミズキ・ ハナズオウ・ モクセイ・ モモ・ ユキヤナギ・ コデマリ・ ユスラウメ
剪定の仕方
枝全体を切り取らない限り、枝の途中で切っても花芽を全部切り取ってしまうことはなく、剪定のために花が咲かないという失敗はない。しかし、長枝は花芽がつきにくいので基部を半分から1/3残しておくと、翌年には残した基部から新しい短枝ができ、葉腋に花芽を付ける。
剪 定 時 期
落葉樹は冬の落葉期。常緑樹は春が適期。
元気のよい新梢の頂部につく(タイプ2)
花芽の付き方
今年伸びた元気のよい枝の頂芽およびその下1〜2芽というような枝先の芽が花芽となり、その位置で咲くか花柄が伸びる程度で開花する。
樹   種
ツバキ ・サザンカ・ サンシュユ・ ツツジ類 ・モクレン類・ ライラック・ アオキ
剪定の仕方
枝先に花芽があるので、枝先を切り詰めると花芽を切り取ってしまうので、枝先はむやみに切り取るようなことはせずに、大切に扱うことが花を楽しむコツ。冬の整枝は樹形内部の細かい枝や、樹形を乱している長い枝を整える程度にすること。
剪 定 時 期
花芽をつける枝は花の終わりかける頃から伸び始めるので、強剪定は花が終わりに近づいたら早めに切り詰め、元気のよい新梢を出すようにする。
新梢の短枝の頂部につく(タイプ3)
花芽の付き方
今年伸びたずんぐりとした枝の頂部、または頂芽とその下1〜2芽が花芽になり、翌春にごくわずかな葉を2〜3枚つけて開花する。
樹   種
カイドウ・ サクラ・ リンゴ ・カリン・ フジ ・ボケ ・サクランザ イフリボク ・ピラカンサ・ミカン類・ ウメモドキ・ クロガネモチ・ ヒイラギ・ モチノキ・ グミ・ キイチゴ・ ムベ・ アケビ・ ビナンカズラ
剪定の仕方
先端の長く伸びた枝には花芽はつかないので、このような枝は基部を少し残して切り、残した部分に元気のよい短枝を作っていく。ただし、低木のベニシタンやスグリ、フサスグリなどは、長く伸びた枝にもよく花芽をつけるので、強い剪定は控える。
剪 定 時 期
木が休眠している冬が適期。
今年の枝の頂部につく(タイプ4)
花芽の付き方
今年伸びた元気のよい枝の頂部に花芽がつき、翌年この花芽からさらに長い新梢を伸ばし、その新梢に開花結実する。
樹   種
カキ・ クリ・ ナナカマド
剪定の仕方
花芽は強くて太く、極端に長い徒長枝や弱い枝にはできない。中庸の元気のよい枝に花芽が出来るので徒長枝や弱い枝は元から剪定する。カキやクリの花芽は一見してすぐにわかるような芽ではないので、開花結実の性質を覚えて整枝・剪定を行うことが肝心。
剪 定 時 期
冬期適期
今年の枝の頂部2〜3芽につく(タイプ5)
花芽の付き方
今年伸びた枝に花芽はつくが上から1〜3芽ぐらいの芽が花芽となり翌年の春この花芽から新梢を伸ばし、その先端に花をつける。
樹   種
アジサイ・ トチノキ・ ボタン・ 一季咲の株バラ・ ツルバラ
剪定の仕方
このタイプは他と異なり、開花末期に今年伸びた新梢(開花枝)を低く切り詰めると、その位置で花芽がつくられていくので、ボタンやバラなどは希望の高さに整枝・剪定できる。
剪 定 時 期
花の終わりかける頃、出来るだけ早めに行う。このタイプは葉芽と花芽がはっきり区別できるので、冬期の整枝の失敗は少ない。花芽はやや丸みを帯びており、葉芽は少し尖っている。
元気のよい枝のさきにつく(タイプ6)
花芽の付き方
このタイプは、いつのどの枝ということはなく、どの部分から伸びた枝でも元気のよい枝であればその先に花芽をつける。
樹   種
サルスベリ・ バラ・ ハギ・ ムクゲ・ ノウゼンカズラ
剪定の仕方
このタイプは、どこで切っても新梢に花を付けるので、庭の広さに適した大きさに切り詰めることが出来る。サルスベリなどは、強く切り詰めることでより強い新梢を伸ばすようになり、大きな花を楽しむことが出来る。ハギは通常地際から切り詰めるが、切らずに伸ばせば3〜4Eにも伸び、トンネルやパーゴラ仕立てにも出来る。
剪 定 時 期
落葉している冬期が適期。