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地域のために、元気に働くお年寄りの話題です。
雪が多い地域では、この季節、郵便の配達に時間がかかるため、郵便局が地元の人たちに配達を委託しています。
長野県飯山市で、89歳になった今も、地域で郵便物を届け続けるひとりの女性を取材しました。
清水咲栄さん、89歳。
雪の季節、毎日、郵便局の職員に代わって、地域の人たちに郵便物を届けています。
清水さんが暮らす、飯山市涌井地区。
道幅が狭く、急な坂道も多い、山あいの集落です。
日本有数の豪雪地帯にあり、この時期になると、雪が3メートル近くも積もります。
清水さんがこの仕事を引き受けたのは、70歳の時でした。
若いときから働き者で、足腰が丈夫と、白羽の矢が立ちました。
清水さんは、
「何回も断ったけど、最後にはどうしてもと頼まれて、簡単な気持ちで、一年だけひと冬だけやってみるかって引き受けた」と言います。
それから20年近くがたちました。
清水さんの1日は、郵便物の受け取りから始まります。
担当するのは、涌井地区と隣の地区の、合わせて12軒です。
愛用のそりを携えて、往復5キロの坂道を、2時間ほどかけて配達します。
行きは、ずっと上り坂です。
地区の人は、
「こんな寒い時になってやる仕事だから、まったく大変だ」と言います。
人に出会うと、積極的に声をかけます。
清水さんにとって、楽しみのひとつです。
「雪下ろしに来たんだ、いっぱいある?」
「うん」
「落ちねえように、気をつけて」
清水さんは、
「郵便物を、みんな待っていると思うんで。みんなの顔が思い浮かんで、やっぱり楽しみだね」と言います。
配達が終わると、空になったそりに乗り込みます。
清水さんは、
「そりなら転ぶ心配ないから、いちばん安全」と言います。
雪深いこの地域を愛し、貢献を続けることが、清水さんの元気のもと。
「みんなそうやって喜んで下されば、本当にそれが何よりのやりがいです」と言います。
まだまだ続く雪の季節。
清水さんは、きょうも郵便物を届けます。
清水さんが郵便配達を担当するのは、12月から3月までですが、それ以外の時期も毎日、配達をするのと同じ道を歩いて、健康を保っているそうです。