【ＴＶクリップ】■「モメる門には福きたる」フジテレビ、月〜金午後１時半
「もめ事は得意な方かも。家族や友達の間でもめ事があると、仲裁役を務めることが多いような…」
ドラマの舞台は法律事務所。
所長の弁護士、桂木さくら（中村玉緒）の座右の銘は「モメゴトは、人を幸せにする」。桂木のもとで、司法修習生としてさまざまなトラブル解決に奮闘する椎名夏希を演じている。
元教師の夏希は正義感が強く、行動力も抜群。おせっかいで思ったことを口に出す性格のため、同僚や依頼主とすれ違ってしまうことも多いが、そんな夏希の一本気に桂木の期待は大きい。
「夏希は曲がったことが嫌いで、芯のある言葉で相手を動かす。一方で、人間らしい弱さも持っている」
夏希は、女手ひとつで育ててくれた母、春江（星由里子）を福祉施設へ入所させたことに負い目を感じている。「私の母も仕事と家庭を両立していたので、小さいころは家にいない母を恨んだりした。これから夏希はどう母と向き合っていくのか」と物語の行方を見守る。
初の昼ドラ主演となるが、気負いはないようだ。特に初共演の中村玉緒には「柔らかくて、明るくて、面白くて…現場を包み込む空気感を持っている。こういうすてきな方になりたい」と尊敬の意を表す。
デビュー以来、キャスター、タレント、女優…と活動の幅を広げてきた。その理由の一つには、「人は、人や作品との出会いで変容していくもの」という考え方も影響しているようだ。
２０代のころ訪れた海外で、外国人とは対照的に、日本の文化や歴史を知らない自分に気付いた。仕事で着物を着る機会が増えたことも手伝い、３年ほど前に日本舞踊を始めた。そのままのめり込み、今年１月には国立劇場で初舞台。「数年前にそんな自分は想像できなかった」と、充実した笑みを浮かべる。
「『こうなりたい』と自分の中で決めなくてもいいのかも。どんどん広がっていく可能性を楽しみたい」
小気味良い口調には、夏希のような芯の強さを感じる。一本気と豊かな好奇心が、女優としての高みに彼女を連れて行くのだろう。（三品貴志）
＜しらいし・みほ＞昭和５３年、茨城県出身。短大在学中の平成１０年にデビューし、スポーツキャスターやバラエティー番組の司会などを務める。女優として、ドラマ「電車男」「チーム・バチスタ２ ジェネラル・ルージュの凱旋（がいせん）」「本日は大安なり」などに出演。出演した映画「晴れのち晴れ、ときどき晴れ」が今秋公開予定。