【ソウル=黒田勝弘】
北朝鮮での相次ぐ核実験強行を受け、韓国で「わが国も核武装すべきだ」との議論が起きている。
主に保守陣営から出ているもので、与党セヌリ党では13日の幹部会で「最小限の自衛策として、
北朝鮮の核問題が解決した場合に廃棄することを前提に、わが国も核武装宣言をすべきだ」との意見が堂々と示された。またソウル市内では、保守団体が核武装論を主張する集会を開いている。
韓国の核武装論は
北朝鮮に対する独自の“交渉カード”としてしばしば登場しているが、
米国との関係をはじめ国際的環境などから現実性は今のところはない。しかし、
6カ国協議をはじめ
北朝鮮の核問題解決に対して無力感が広がっており、その欲求不満が独自の核武装論を招いている。
特に韓国の場合、1992年に
北朝鮮との間で非核化宣言をしながら、これまで
北朝鮮に全く無視されてきたという経緯がある。南北非核化合意で
在韓米軍の核兵器は撤収しており、北の核に対する防衛に懸念が広がっている。
保守派の論客として影響力を持つ
金大中・朝鮮日報顧問は核武装論者として知られるが、これまでの寄稿文で「今すぐ核武装を宣言しようというのではない。われわれの核保有に関する足かせを解き、核を持つかどうかという問題を真剣に議論することを宣言しようというのだ。独立した国家として最小限の核カードを持とうということだ」(昨年7月10日付の朝鮮日報)と主張している。
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