宇宙基本計画:有人宇宙活動は縮小へ 民間衛星製造を促進
毎日新聞 2013年01月25日 19時16分(最終更新 01月25日 20時46分)
宇宙開発について調査・審議する政府の宇宙開発戦略本部(本部長・安倍晋三首相)は25日、13年度から5年間の政策をまとめた次期「宇宙基本計画」を決定した。安全保障や防災、産業振興への利用を重点化する一方で、国際宇宙ステーション(ISS)での有人宇宙活動は「産業に役立つような成果が明らかでない」と縮小方針を示した。
基本方針に「厳しい財政事情の中で、重点的に行うべき分野を絞って最大限成果を上げるよう推進すべきだ」と掲げた。
そのうえで、宇宙利用を拡大する四つの社会インフラに、▽米国の全地球測位システム(GPS)を補完・強化する「準天頂衛星」▽気象衛星や情報収集衛星などの「リモートセンシング(遠隔探査)衛星」▽通信・放送衛星▽宇宙輸送システム−−を挙げ、開発・利用を拡大する。
準天頂衛星は、現在の1基を10年代後半までに4基にし、測位の精度を上げる。
産業振興では、世界の宇宙産業市場が年間約13兆円あり、毎年約14%ずつ成長していることに着目。民間による人工衛星の製造・運用を促進するため、政府が国内外の需要獲得を支援する。
こうした半面、有人宇宙活動を厳しく査定。毎年約400億円を拠出している日本のISS計画について、「費用対効果を十分評価して、参加形態を検討すべきだ」と指摘した。ISSにある日本実験棟「きぼう」にも「具体的な成果を出す工夫が不可欠」と注文を付けた。【鳥井真平】
◇宇宙基本計画の骨子◇
・人工衛星や宇宙輸送システムの利用を拡大する
・宇宙科学・探査は世界最先端の成果を目指す
・有人宇宙活動は経費の圧縮に努める
・民間の衛星製造促進のため需要獲得を支援する
・宇宙を活用した外交・安全保障政策を強化する
・人材育成と宇宙教育を推進
・宇宙ごみの除去など宇宙環境の保全に取り組む