日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。大胆な金融緩和を柱とする日本の経済政策に一定の理解を示し、円安誘導と名指しで批判するのは避けた。
日本がデフレから脱却し、本格的に経済を再生するには、強力な金融緩和が不可欠だ。安倍政権はG20にくすぶる不満にも配慮しつつ、デフレ対策の必要性を今後も粘り強く訴え続けてほしい。
安倍政権の強い意向を踏まえ、日銀が金融緩和の強化に動いたこともあって、為替市場では円高修正の動きが続く。自国・地域の通貨が対円で上昇している欧州や新興国の一部からは、円安誘導ではないかとの批判が出ていた。
G20が16日採択した共同声明は特定の国・地域への言及を慎重に避け、「通貨の競争的な切り下げを回避する」との方針を確認した。「金融政策は国内の物価安定と景気回復を支援するために実行すべきだ」との認識も示した。
為替相場は自由で柔軟な市場で決まるのが原則である。各国・地域が安易な通貨切り下げ競争に走れば、世界経済や金融市場の安定が損なわれるのは間違いない。
しかし今の円安には様々な要因がある。欧州債務危機の一服や米中経済の持ち直し、日本の貿易赤字拡大などもからんでいる。日本が海外からの円安誘導批判に反論するのは当然ではないか。
麻生太郎副総理・財務・金融相と白川方明日銀総裁は、金融緩和の目的を「デフレからの早期脱却」と説明し、「日本経済の再生は世界経済にも良い影響を与える」と強調した。こうした認識をG20に共有してもらうための努力を続けなければならない。
日本にも反省すべき点はある。安倍政権が金融緩和の圧力をかけたり、特定の相場水準に触れたりする発言を繰り返してきたのは確かだ。誤解を招きかねない不用意な言動は慎んだ方がいい。
経済運営全般への信頼を高める必要もある。金融緩和や財政支出による景気の下支えに頼るだけでなく、環太平洋経済連携協定(TPP)などを柱とする成長戦略を急ぐべきだ。もちろん中長期的な財政再建の努力も怠れない。
景気を下支えする金融緩和が海外の批判を浴びるのは米国も同じだ。先進国が供給する大量のマネーが、新興国の通貨や資産価格を押し上げるという副作用には、細心の注意を払わざるを得ない。
麻生太郎、日銀、白川方明、G20
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