超ビンボー水族館の超進化(イトウの大水槽の巻)
温根湯の水族館計画は、建物込みでたった3億円。 それって、白バイ擬装したら稼げちゃったジュラルミンケース3つに入る金額やん!と言ったところ、会場のみなさんの半分はキョトンとしてた。 3億円強奪事件って、もう石川五右衛門金鯱強奪事件くらい過去の事件になってるんやなあ(^^; まあ、それはいいとして、そんな3億円でできる水族館に、こんなでっかい水槽を造ることができたのだ! これは、日本最大淡水魚のイトウの水槽。 しかも、温根湯水族館にいるイトウは、全国の水族館でおそらく最も大きい1mクラス、さらに顔など全身に腫瘍や傷などがまったくなくて美しい、それが20本くらいいるのだから、活かさない手はない。 できれば、水中感あふれる超デッカイ水槽で、イトウが生きた魚を襲うところなど、バリバリ来館者に見せたいわけですよ。 そこで、逆境にだけは強い水族館プロデューサー中村の見つけた答えとは! 地下水が豊富な土地柄、井戸水の源泉100%掛け流しにできるのなら、なんぼでも水槽大きくできるやんか! そう、水族館の建築費の半分を占めると言われる濾過設備は、水量が増えるごとにすごい金額になってしまう。でもそれが必要ないのなら、水槽を大きくするのはやり放題なのだ。 ちなみに美ら海水族館がその方式で、あの巨大な水族館にしては建設費がえらい割安なのだ。 というわけで、日本の川水槽にしては異例の大水量の水族館を計画したというわけ。 イエイッ! しかしですぞ、大きな水槽にすれば、大きな擬岩とか擬木が必要になる。 特に「擬木」っていうのは、表面積当たりにすると、めちゃくちゃ高いものにつく。 そこで、考えたのが、擬木じゃなくてホンマモンの木を使うこと。北海道にはナンボでもあるやん! 探してもらったところ、さすがかつては木材の街として栄えていたという旧留辺蘂町、林業の会社がとてもいい根振りの白樺を提供してくれた。 ほ〜らこの白樺、かなりの巨木。 しかも、巨石を根で包んでいたとのことで、根が洞窟のようになって格好イイ。 しかし問題は、この白樺はまだ生木なこと。 白樺から出る樹液が、魚類に影響を与えないかどうか。 そして、木だからこのままじゃぷかりと浮いちゃう。 それで、街中の池を探してもらい、この木の根を半年間つけ込んでおいたのである。 もちろん、半年くらいでは、なかなか樹液を出し切ることはできない。 でも大丈夫、なんせ源泉100%掛け流しやからね、どんどん流しちゃうわけだから、樹液が少々出てるくらいどうってことないのだ。 そんなこんなで、水槽に収まったのが、一番上の写真なのである。 木の大きさからして、どんなに立派な水槽なのか実感沸くでしょ。 この木ね、あんまり大きいから、水族館の屋根を付ける前にクレーンで入れたんよw。 そして、この巨大水槽でもやっぱり、新兵器「起流ポンプ:ハイドロウィザード」が活躍する。 これは、旧水族館のイトウ水槽で実験してみたときの写真。 それまでトロ〜ンと泳いでいたイトウたちが、けっこう猛烈に泳ぎ始めたではないか! 実は、イトウというのは、川の淵の水があまり動かないところにいるはずだから、このポンプで水流を付けるのは、イトウに居て欲しくない場所(例えば木の根の裏っかわとか)になるのだろうと思っていたの。 でも、どうやらイトウは水流がけっこう好きそうではないか。 それってつまり、イトウに居て欲しい窓側に、ハイドロウィザードの水流を付けることになりそうということ。 これは嬉しい実験結果だった。 巨大で美しいイトウというだけでなく、躍動感あふれる巨体を見てもらうことが可能になるんやもんね。 超ビンボー水族館ながら、この大水槽や、前回紹介した滝壺水槽など、かなり大規模な水槽をいくつも持てることになったのは、豊富な地下水、いくらでもある本物の木、そして巨大で美しいイトウといった、、よその水族館にはない資源を使い、それを安価で効果の高い新兵器(ハイドロウィザード)で味付けしたためなのです。 …というわけで、温根湯の水族館の、超工夫話は、まだ続きます。 ところで、次回の東京カルチャーカルチャー『中村元の超水族館ナイト春』の日程はすでに決定しました。 さらになんと!関西のみなさん待望の大阪でのトークライブもついに開催決定! ⇒東京カルチャーカルチャー『中村元の超水族館ナイト春』5月13日(日) ⇒なんば紅鶴『中村元トークライブ〜水族館は世界を救う!〜』5月20日(日) 詳しいことが決まり次第、またこちらでご案内します。 とりあえずは、手帖に日程の書き込みをしとこうではないですか〜! ●温根湯の水族館の、これまでの記事と写真のリストはコチラ ⇒北海道の水族館記事リスト ■過去の『超水族館ナイト』『水族館ナイト』のカルカル公式レポートはコチラです↓。 10回中村元の超水族館ナイト2011秋「10回記念は深海でアゲアゲナイト!」2011/10/23 9回中村元の超水族館ナイト2011夏「水族館・特ネタ大爆発!その2」2011/6/11 8回中村元の超水族館ナイト2011冬「ペンギンから人生を学べ!その2」2011/2/5 7回中村元の超水族館ナイト2010秋「水族館・特ネタ大爆発!」2010/2/21 6回中村元の超水族館ナイト2010夏「ペンギンから人生を学べ!」2010/6/19 5回中村元の超水族館ナイト2010「イルカを知れば人間がわかる…かも」2010/2/21 4回中村元の水族館ナイト4「水族館に宿る魂」(特別ゲスト荒俣宏)2009/10/25 3回中村元の水族館ナイト3「水族館、やっぱり個性でしょ!」2009/10/6 2回中村元の水族館ナイト2「水族館から宇宙が見える」2009/3/14 1回水族館ナイト「水族館は日本の文化になる!」2008/10/25 ■Twitterとfacebook始めてみました…。 □オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本 ■水族館を選ぶなら→WEB水族館:決定版!!全国水族館ガイド □携帯版もできた!→水族館ワールド |
今回もまた楽しいお話をたくさんありがとうございました
「逆境にだけは強い」
"だけ"はないと思いますが、弱みを強みに、あるいは、
キラリと光るをピカっと光る、には、正にプロデューサーの
真骨頂と映ります
それにしても、おんな湯温泉???と聞き間違えてました
2012/2/16(木) 午後 8:06 [ min*_or*a ]
昨年のGWに出掛けた時は「聞いてた通り小さいなぁ」という感じでしたが、リニューアルすると大きな水槽になるようですね^^
そうそう、確かにあそこのイトウは他より大きかったです。
温根湯にある塩別つるつる温泉にもまた行きたいので、リニューアル後に絶対に再訪します^^
2012/2/16(木) 午後 8:27
先日はどうもありがとうございました。
友人達も楽しい時間を過ごせたようです。
当然、5/13には参加しますし、
5/20も海遊館と抱き合わせで
行こうかな?w
2012/2/16(木) 午後 8:48
ユーストリームで拝見しました♪
すでにお聞きしていた内容も多く「ボクは知ってるけどね」とちょっと優越感に浸りましたが、すごい水族館になりそうで・・・・f^_^;
HWは導入するようですが、関われないのが・・・(´д`;)
2012/2/16(木) 午後 10:20
カンチョさんこんばんは。先日の『中村元の超水族館ナイト冬』は、今回もUstでの拝聴となりました。毎年1回はお台場へ伺いたいとは思うのですが、スケジュール的にキツかったりして。すみません。それが、ほんとーに、なんと!?大阪でトークライブを開催してくださるとのこと。大変、大変、大変嬉しく思います。ぜひとも参戦できるよう準備しておきますね。ありがとうございま〜す。ぽち!!!
2012/2/16(木) 午後 10:28 [ わなげいぬ ]
miniorcaさん。まいどありがとうございました〜!
はい、滑舌悪かったですね。女湯ではなく温根湯ですw。
逆境に強い、崖っぷちに強い、ていうか、常に逆境崖っぷちに立ってるというのがホントのところかもw。でもそれが進化の源、まだまだ頑張りますぞ!
2012/2/16(木) 午後 11:25
海豹さん、まあめちゃ大きくなるわけではないけど、まさかこれが3億円?と目を疑う水族館にはなりますよ。
そして、立派なのはイトウだけでなく、熱帯淡水魚もなのです。これがまたある秘密があったりして…。にひひw
つるつる温泉もいいですね。ボクも真冬に泊まって、露天風呂で髪の毛スーパーサイヤ人をやってきましたw。
オープンしたら、ぜひ冬場にも訪れて下さい。
2012/2/16(木) 午後 11:28
にっし〜さん。今回はまたたくさんの仲間を連れてきてくれてありがとう!そして今回もめちゃ早いレポートをありがとう!
これからもよろしくね〜〜〜!
えっ!そんで、大阪のライブにも来てくれるん?
なんかElpasoさんもどっかで小遣い貯めなくちゃとか言ってたし、心強いなあ。(まぁ無理はなさらずに、お会いできたら嬉しいですぞ)
2012/2/16(木) 午後 11:33
カミナリとうさん。ユースト見てくれてありがとうございます〜!
特にとうさんは、ハイドロウィザードの威力は目の当たりにしてるから、温根湯の水族館のことはなおのこと想像付くでしょうね。
そんで、おたるも導入ですか!嬉しいような、北海道で先に使われて悔しいような……w。
でも、HWアドバイザーとしてはやっぱり嬉しいですぞ。
2012/2/16(木) 午後 11:36
わなげいぬさん。ユースト見てくれてただけでもありがたいです。
でも、大阪にはきっと来て下さいね。
初めての大阪ライブなので、はてさてお客さんがホントに来てくれるかどうかが心配で心配で。
時間はわりと早い夕方からなので、近県からはたいていどこからでも日帰りが簡単にできます。
みなさんお誘いあわせの上、列をなしてお越し下さい!w
2012/2/16(木) 午後 11:40
はいっ、普通に両方のトークライブに参加すると思います・・・というかきっと居るはずです。(笑)
正直、北海道遠来旅行するまではイトウもデッカイ鮭科の仲間ぐらいに思っていなかったので、あまり見入ることはなかったのですが、標津サーモン科学館で悪食さや生態とか、北海道の他の水族館でたくさんのイトウの姿を見てガラッと見方が変わりました。
最近では、後頭部(?)付近から背びれの辺りの模様が綺麗で良いなぁと思ったり・・・。
美顔のイトウ達に会いたいですね。
それとこの水族館は巨大生物ぞろいですからそう言う意味でも楽しみです。
2012/2/17(金) 午後 0:34 [ Elpaso ]
温根湯 キタキツネなども生息してますよね^^。
一度だけ寄った事があります〜。
温泉もあるし、これがきっかけでもっと活気ある
足寄になるといいですね*^^*
2012/2/17(金) 午後 1:06
立派な白樺の木が嬉しいですね。
樹液の影響が懸念されるから、そのまますぐに利用するわけにはいかないのですね。
そういえば、世界一の透明度を誇っていた摩周湖も、透明度が落ちているようですが、その原因の一つとして増えすぎたエゾシカが樹皮を食べてしまって、枯死した倒木が湖に浸かったせいだという説がありますよね。
3億円事件と言えば、あれは東芝府中の工員さんのボーナスだったのですね。
ちゃんと盗難保険が下りたから大丈夫だったみたいですが、確かあの事件があって、全国的に給料が給料袋に入れた現金から、銀行振り込みになって、それ以来お父さんの権威が失墜したという話を聞いたことがあります。
イトウさん、とっても綺麗。清流に棲む魚こそ、ハイドロウィザードの実力発揮ですね。この秘密兵器は、これから全国で流行りそうですね。
ポチ☆
2012/2/17(金) 午後 8:40
Elpasoさん。いやはや、ありがとうございます。アキバで海洋堂のトークライブやって以来、KAB48の気分ですw。やっぱり今年は紅白を目指さねば!
この水族館のイトウは、繁殖期になるとしっかりピンク色に色づくのですよ。これもまた見事な美しさです。
2012/2/17(金) 午後 10:54
maruさん。キタキツネは北海道中にいるけどねw。ここにはキタキツネ牧場があります。
ボクはこの水族館で、温泉地としての再生まで考えているのですよ。その話はまた後ほど。
2012/2/17(金) 午後 10:57
眼とろんさんって、まさか3億円事件リアル知ってる世代やないよね???
川の魚は、実はけっこう木々から出る成分には強いとは思うのですよ。だって、そうじゃなきゃ生きていけないもんね。なので、まあわりと心配してないのです。
ハイドロウィザード、今年からいろんな水族館で活躍を始めると思いますよ。ていうか、活躍させるように広めます!
2012/2/17(金) 午後 11:01