レーダー照射:日本政府、証拠公開へ

毎日新聞 2013年02月09日 11時55分(最終更新 02月09日 20時09分)

小野寺五典防衛相=木葉健二撮影
小野寺五典防衛相=木葉健二撮影

 中国艦船が射撃用の火器管制レーダーを海上自衛隊の護衛艦などに照射した問題で、小野寺五典(いつのり)防衛相は9日、レーダーの写真や動画映像などを、照射の証拠として公開を検討していると表明した。中国が「通常の監視レーダーだった」と反論しているため。ただ、レーダー電波を解析したデータは防衛機密に当たるとして、公開すべきでないとの意見もあり、何を公開するか慎重に検討を進めている。

 小野寺氏は9日、東京都内で記者団に、「データは洋上ではなく、(高い技術を持つ)横須賀の専門部隊で分析した。事実は間違いないと確信している」と強調した。

 レーダー照射は1月30日にあったが、防衛省は確証を得てから5日に照射を公表しており、安倍晋三首相は8日のBSフジ番組で中国に謝罪を要求。首相官邸にも「言われっぱなしではだめだ」(政府高官)と証拠開示を主張する意見が出ている。

 監視レーダーは360度回転して周囲の相手の位置を探るが、火器管制レーダーは射撃のために目標を一直線に追尾する。小野寺氏は9日の読売テレビの番組で、「(中国艦が)視覚的にも、映像としてもそのような使い方をしている」と述べ、火器管制レーダーが作動していたことは、外見からも確認できたと強調した。

 中国の反論を受け、外務、防衛両省は開示できる証拠の範囲を協議している。護衛艦が受信したレーダー電波の解析結果を公表すれば、「自衛隊の分析能力を知られてしまう」(防衛省幹部)との危惧は強い。小野寺氏も「出せるデータと出せないデータがある」と語る。写真と映像に加えてレーダーの分析結果を公表しても、「中国は絶対に自分の非を認めないだろう」(官邸スタッフ)との懸念も残る。

 日中の事実関係を巡る応酬がこう着すれば、関係悪化が長期化するのは必至だ。ただ、中国側は日本が照射を公表した5日以降、沖縄県・尖閣諸島周辺での公船の示威活動を沈静化させており、レーダー照射の公表は効果があったとの見方が出ている。このため、政府内には日中防衛当局のホットライン設置など、再発防止策に重点を移すべきだとの指摘も出ている。【青木純、飼手勇介】

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