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平成25年1月9日 泉田知事定例記者会見要旨

2013年01月10日

こちらから録画をご覧いただけます

1 日 時  平成25年1月9日(水)

2 場 所  記者会見室

3 知事発表項目
 ・県外避難者への高速道路料金等の支援について

 ・合同企業説明会の開催について

4 質疑項目一覧
 ・合同企業説明会の開催について

 ・県内28市町村と東京電力との安全協定の締結等について

 ・県央救命救急センター併設病院の整備について

 ・原発県民投票条例の請求について

 ・震災がれき等に含まれる放射性物質の管理等について

 ・政府の緊急経済対策等について

5 知事発表(10:00~10:04)

(県外避難者への高速道路料金等の支援について)(文頭に戻る)

 記者会見で以前発表したとおりですが、本県に避難されているお子さんに会いに来られるご家族に対して、高速バス料金の支援期間を再延長します。これに加え、高速道路料金の支援を1月16日から開始します。
 申請方法は、利用者本人の運転免許証、世帯全員の住民票及びETC利用証明書を添付の上、県に提出いただきたいと思います。様式等の詳細については県ホームページに掲載しているほか、避難者交流拠点施設等へ案内チラシを配布しますのでご覧いただければと思います。支援期間を設定してありますが、必要があればさらに再延長していきたいと思います。
   ※報道資料

(合同企業説明会の開催について)(文頭に戻る)

 U・Iターン希望者、新規学卒者(既卒3年以内を含む)、若年者等を対象とした県内企業の合同説明会を実施したいと思います。今年度中に、あと4回実施したいと考えていますが、そのうち1回については東京の新宿エルタワーで実施したいと思います。就職内定率は11月末現在で高校は81.6%、大学等が68.0%といずれも前年を上回る状況ではありますが、未内定者数は高校で646名、大学等で3,018名となっています。こういった状況ですので、早期内定獲得を進めることができないと社会全体の損失となります。就職氷河期に卒業される皆さんにとっては、まさに人生のスタートですから、円滑に進むように県としても努力していきたいと思います。特に1月13日に予定している東京開催の説明会については、就職活動しているお子さんが関東地区にいらっしゃいましたら、保護者の皆さんから連絡していただき、県内企業にもいいところがあるということをぜひお伝えいただければと思います。
 実際、新潟県から世界に向けて活動している企業の中でも十分な人手を確保できない企業が存在しているわけです。中小企業には、大組織の歯車になっていくというだけではなく、チャレンジして自ら大きな責任を持って活動する機会があるわけですので、ふるさとで活躍する機会をぜひ考えていただきたいと思います。
   ※報道資料

6 質 疑(10:04~10:37)

(合同企業説明会の開催について)(文頭に戻る)


 合同企業説明会で、2月21日に開催する説明会の対象者に「44歳以下の若年者」とあります。新卒者以外を対象とすることは珍しいと思いますが、その辺りはいかがですか。

A 知 事
 若年者対象というところで即戦力を期待する企業があります。就職のミスマッチを解消するということを考えると、ある程度経験を積んだ方で、ふるさとに戻ってきたい、Uターンしたいという方とのマッチングも当然にあり得ると思っています。


 あまり聞かない(珍しいケースだ)と思いますが、こういった方を対象に入れるのは初めてでしょうか。

A 知 事
 どちらかと言うと第二新卒者等をターゲットにしていますが、あまり年齢制限で(対象者を決定)することがいいのかどうかという部分もあります。こういう形で(具体的に年齢を)明示したことによって目立ったのかなと思います。トライアルをしたいという方は、ぜひ応募していただきたいと思います。

(県内28市町村と東京電力との安全協定の締結について)(文頭に戻る)


 本日、長岡市で(開催される「市町村による原子力安全対策に関する研究会」において、)東電と(県と立地自治体を除く県内の)全自治体が原発の安全協定を締結するということです。全国的にも珍しいケースだと思いますが、今までのような柏崎刈羽原発の立地自治体だけでなく、県内全域で結ぶことの意義について、知事はどのように考えていますか。

A 知 事
 福島第一原子力発電所であれだけの事故があったわけです。加えて広範囲に放射性物質が飛散するという事態になっているわけで、今も新潟県内には大勢の避難者もおられる中で、県民の皆さんが不安に感じているという部分を受け止め、情報をしっかりと取れる態勢を作っていくという話し合いの中で出てきた結果だと受け止めています。


 今まで東電と直接協定を結んでいるのは県と柏崎市と刈羽村だけでした。今度は県内の全市町村に広がるわけですが、原発に関わる重要事項を決めていく中で、28市町村の意見を(既に安全協定を締結している)3自治体とどのようにリンクさせていくかという問題が新たに出てくると思いますが、その辺りはどう考えていますか。

A 知 事
 まずは、(福島原発事故の)原因究明が先だと思います。


 福島事故の原因究明を重視していることはよくわかるのですが、再稼働問題に限らず、例えば原発内でトラブルがあった、消防施設に火災があった、消防施設をどうするのか等の再稼働以外にもいろいろな重要事項があると思います。そういった場合に意見をすり合わせるのは当事者が増えたような形になりますが、その辺りはどのように意見をすり合わせていくのかを考えていく必要があると思いますが・・・。

A 知 事
 まずは意見の前に、事象の判断をどうするのかということがあるのではないでしょうか。どこまで細かいことを求めているのか、詳細は把握してませんが、県並みの情報だとすると、おそらく市町村はパンクして対応できないです。そういうことになると、事実関係の認識をどうするのかという運用の話からまずは始まるのではないでしょうか。


 再稼働問題をあえて伺いますが、現時点では福島事故の検証が十分でないということで、そういったことを念頭に置いた議論はしないという考え方はよくわかっていますが、やがて政府は責任を持って再稼働するという方針を今持っているわけです。そういった話が地元にやってくるときに、地元のすり合わせの方法が決まっていないと混乱を生むのではないかと思いますが、分けて議論を進める・・・。

A 知 事
 再稼働は議論しません。


 分けて考える・・・。

A 知 事
 再稼働は議論しません。原因究明が先です。

(県央救命救急センター併設病院の整備について)(文頭に戻る)


 県央基幹病院の関係ですが、先日、小池加茂市長が提案という形で県立加茂病院と燕労災病院の統合・再編を提案したと思います。県では、燕労災病院と三条総合病院との統合が重要な再編案ということで、これを軸に検討していると思います。加茂市からの提案についての受け止めと、今後の県央基幹病院の見通しを伺います。

A 知 事
 提案については、次の合同会議で議論していただくことだと思っています。ただし合同会議では、再編案をどうするかということについて議論するのであって、場所については議論しません。


 小池市長の提案をめぐっては、三条市長や燕市長からは「イレギュラーな行動」「これまでの経過を無視した」等の批判的なコメントもあり、自治体間で対立を生んでいるようですが、こちらの受け止めについてはいかがですか。

A 知 事
 魚沼基幹病院と県立十日町病院の進捗状況を振り返っていただくとわかるのですが、地元が一枚岩にならないと調整が進まないのです。十日町病院の調整を先に始めたのですが、地元の中で意見がまとまらなかったため、結果として、まとまりのよかった魚沼基幹病院の方が先に進んでいるわけです。医師不足に拍車が掛からないように医師、看護師を含めた医療スタッフに魅力的な職場をつくっていく、そしてまた地域の住民の皆さんが安心できる環境をつくるためには、行政がいがみ合うのではなく、ぜひ話し合って手順を踏んで前に進めていくことになってほしいと思っています。


 小池市長の提案の中にもありましたが、労災病院は2010年の政府事業仕分けの中で、基本的には他の公的病院との再編等を広く検討すべきという判断を示されたと思います。これについては、県の重要な再編案の中で対象になっている労災病院があると思いますが、それを受けての受け止めを伺います。

A 知 事
 具体案については、この次の合同会議の中で議論していただくということです。

(原発県民投票条例の請求について)(文頭に戻る)


 原発県民投票について、今後、市民団体と面談を行うと思いますが、そこではどのようなことを聞きたいか等はありますか。

A 知 事
 求められる立場ですので、まずはしっかりとお話を聞きたいと思います。


 知事の意見として賛否を付すと思うのですが、いつくらいに・・・。

A 知 事
 まずはお話を伺いたいと思います。


 話を聞いてから、いつくらいにするかを決めるということでしょうか。

A 知 事
 まずはお話を聞いてみたいと思います。


 そうすると、話を聞く前に(知事が)意見を述べるということはないということでしょうか。

A 知 事
 もちろんです。


 面談がこの時期になったことについて、何か意味はあるのでしょうか。また話を聞いてみたいということですが、特にどのようなことを知事としては聞いてみたいと思っているのでしょうか。

A 知 事
 この時期になったのは、単にスケジュール調整だけの理由だと思います。まず今回こういった形で正式な請求手続きがあったわけですので、思いも含めてしっかりとお聞きしていきたいと思っています。


 地方自治法でも知事の賛否の意見を付すということになっていますが、当然、その意見を付すための参考ということになる・・・。

A 知 事
 ですから、まずはお話を聞いてからということになります。

(震災がれき等に含まれる放射性物質の管理等について)(文頭に戻る)


 がれきに伴う放射能管理の問題ですが、昨日、国定三条市長あてに文書を出したと思いますが、今回の放射能管理の問題については、知事としては行政官と政治家のどちらの比重の立場から判断しているのですか。
 知事選の際に、県内を歩いて選挙活動をする中で県民からいろいろな(話を)聞いたと思いますが、(がれきに含まれる放射能管理について)知事が常々話していることは、行政官と政治家以外に、我々にも知事にも家族がいますが、根本的な部分で「人間泉田」としての理念や信念に基づくものなのかとも思うのですが、どういった判断が一番大きいですか。

A 知 事                           
 震災後、放射能の管理を緩めたという部分は、原発事故があったときには多少トラブルがあっても、「餓死するよりもまし」という考え方に基づいているわけです。放射能と人類は共存できないのです。(基準を)緩める理由はないと思っています。きちんと管理するという当たり前のことをなぜやらないのでしょうか。結果として、条約のある原子力発電所の中の方がクリーンで一般環境中が汚染されるという構造になるわけです。英知を尽くして放射能をいかに人間社会から離すかということにこそ力を入れるべきであり、先日も福島県の手抜き除染が報道されましたが、そのようなことでいいのでしょうか。チェルノブイリで報告されているとおり、小動物や昆虫には遺伝子エラーが増幅して伝わるという報告もされているわけです。なぜ放射能をしっかりと管理しないのか、次の世代に対して責任を果たせるのかという部分から、人類の英知として作った基準をあえて緩めるということはやるべきでないということです。


 これから三条市の方でも、がれきの本焼却が始まると思います。今後、どういった形で県は関わっていく予定でしょうか。

A 知 事
 手段がないのです。皆さんも、聞いたらきちんと報道してください。なぜ震災前後で(異なる、)緩めた基準でやるのかという部分を、聞くだけではなくてきちんと報道してください。回答がないのです。なぜ(基準を)緩めていいのかという回答を一度も聞いていないのです。皆さん方も報道機関なのだから、公に対して責任を負うわけでしょう。本当に子どもたちに対して責任が持てるのですか。


 放射能管理についてですが、三条市長の話なのですが・・・。

A 知 事
 聞く以上は書いてください。


 できる範囲で報道しているつもりですが、知事からすると物足りない感じになるかと思いますが・・・。

A 知 事
 ですからはっきりと書いてほしいのです。今回の基準は、震災前より緩んでいるということを伝えていないではないですか。そこをきちんと伝えてください。


 文章としては足りないかもしれませんが、我々としては報道しているつもりです。

A 知 事
 つもりと言っても、伝わらなければ報道したことにはならないでしょう。きちんと伝わるように報道してください。


 努力しているつもりですし、今後もしますが・・・。

A 知 事
 では、なぜ震災前よりも緩んだ基準で安全と言えるのですか。その答えを聞いてきてください。今までの基準がおかしかったのかという部分の答えを聞いてきてください。


 我々も聞く努力はしていますが・・・。

A 知 事
 努力ではなく、きちんと答えさせてください。答えられなかったのであれば、「答えられなかった」ときちんと書いてください。


 知事も公文書で市に対しても国に対しても出されているわけで、それに対して回答がないわけですが・・・。

A 知 事
 答えられないのでしょう。つまりリスクがあるということなのです。それなのに、なぜ安全ということになるのですか。


 それを私に聞かれても仕方がないです。 

A 知 事
 ですからきちんと伝えてください。


 我々報道機関は努力しますし、しています。知事も実際に公文書を出しているわけですので、それに対して回答を求め続けていくと思います。知事が言うように、我々も報道するよう努力しますが、報道を介してそのようなやり取りをしている・・・。

A 知 事
 直接やっていますが応じてもらえないというのが現状なのです。さらに言えば、柏崎市長は、私には「応じる」と言ったわけです。
 

 実際に動きがないのであれば、知事は首長間の話ではないと言っていますが、完全に政治問題になっているのではないかと思います。昨日も三条市長あてに知事名義で文書を出しています。知事は遠慮しているようにも思えますが、直接、政治家同士で行う話になっているのではないでしょうか。  

A 知 事
 ですからやっているのです。三条市はやらないと宣言しているのでしょう。ですから、皆さん方がきちんと報道すればいいのです。なぜ、震災前後で緩めた基準で安全なのかということの答えを聞いてきてください。


 報道機関のせいにされても困ります。我々は報道しています。

A 知 事
 どこの記事に書いてあるのかを見せてください。


 そういった形で実際に政治で行っているということであれば、例えば先日の市町村長との意見交換の場等で行うということは、我々にも県民にもわかりやすい形で行われる方法だと思います。でも実際にはそういった場で行われていない。「実際には行っている」と言われても、我々にはなかなかわからないのですが、実際に政治家同士では、どういった形で進めていて、どのように行おうとしているのでしょうか。

A 知 事
 だからできないのです。「協議しない」と言っている人をどうするのですか。あとは皆さん方が報道するしかないでしょう。


 表舞台の平場の議論で、そういった話をするという手段はないのでしょうか。

A 知 事
 ですから議題は事前調整するでしょう。そうすると、(議題に)のらないわけです。


 そういったことも、報道機関がするしかなくなるのでしょうか。

A 知 事
 ですから電話ではやります。会田柏崎市長からは、「協議する」という回答をもらっているのです。


 今話のあった「協議する」というのは、会田市長から知事に対して、「柏崎市と県が協議する」という回答があったということでしょうか。

A 知 事
 そうです。


 「協議する」という回答があったけれども、現時点ではそれがないということですか。

A 知 事
 ですから何もないのではなく、こちらからアクセスしているのです。問題点についても、「事前にこういう課題があります」ということは、事務レベルでもお伝えしているわけです。市長からは「協議する」という回答が私にあったわけです。


 協議するというのは県内5市で・・・。

A 知 事
 いいえ。「県と協議する」というふうに会田市長から話があったにも関わらず、これはどうするのでしょうか。


 報道機関としては、知事が発言すれば報道もしていますし・・・。

A 知 事
 ですから、正式にきちんと書いてほしいということです。なぜ、震災後に基準を緩めたものが安全なのかと。それについて5市の市長がどう言っているのかをきちんと書いてほしいということです。書いていないではないですか。


 書いていないものもありますけれども・・・。


 それは事前協議で議題にならないとできないものなのですか。その場で・・・。

A 知 事
 時間が限られているものでしょう。それぞれにこなさなければいけないテーマというものがあるわけです。


 それを根回ししてやるように・・・。

A 知 事
 ですから、それができないと言っているのです。


 では5市に(県としては)働きかけはしているけれど、5市側が応じないという理解でよろしいですか。

A 知 事
 もちろんそういうことです。応じないという形で進めていくということでしょう。ですから既成事実を積み重ねていると言っているのです。


 事態が進まず、今のように知事も苛立ちを持っていると思います。そうであるならば、市町村との会合の場で、あえて時間をつくって話をする等の打開策はないのでしょうか。

A 知 事
 ですから、できないではないですか。さらに言うと、森長岡市長とはじっくりと話をしています。あのときには合意になっていたはずなのです。おそらく、その後に環境省といろいろな話があったのでしょう。微妙に変わっていくのです。きちんとその辺りを取材してください。5市だけでやっているのか。違うでしょう。環境省が背後でスケジューリングして調整をかけているのでしょう。そういった背景も含め、きちんと取材してください。それで一体いくら広告費に投じたのか。(震災がれき処理費用の)単価がどうなっているのか。なぜ割高なものでやっているのか。そういった背景をどうして取材して報道しないのですか。


 糸魚川市の方で、100ベクレル以下の汚泥等を受け入れるということで、今日、現地に搬送されるようですが、それに関してあらためて知事の所感を伺います。

A 知 事
 今日ですか。


 100ベクレルを超えるものに関しての対応は・・・。

A 知 事
 基本的に放射能の管理は放射能のプロが行うことが、私は合理的だと思っています。放射能の管理の経験のない市町村が、各自治体ごとに放射性廃棄物の処理場を造っていくということは極めて異常な国の形態だと思っています。放射能については、従前のルールに基づいてしっかりと管理すべきと考えています。

(政府の緊急経済対策等について)(文頭に戻る)


 昨日、日本経済再生本部の初会合がありました。緊急経済対策も(20兆円規模という)数字が出てきていますが、どのように評価していますか。

A 知 事
 緊急経済対策に加え、来年度の予算が15カ月予算として経済再生政策の形がつくられるということですので、補正予算だけ分離して評価するのは少し難しいです。当初予算と併せた形で評価したいと思います。あえて抽象的に申し上げると、方向性としてはいいと思っています。ボリューム感としてどうかということになると、GDPギャップが埋められるかどうかということです。タイムスパンで考えると、まず最初に起きなければいけないのは、期待インフレ率が実際の金利を上回るかどうかだと思っています。銀行に預けておいた方が得である、リスクを負わない方がいいということであれば、市中にお金は回らないわけです。売上げも給料も増えていくという期待があって、銀行に預けておくと目減りするという環境になれば、人は(投資へ向けて)チャレンジするのです。そのときに(初めて)成長戦略が有効に機能するわけです。期待インフレ率が上がっていく形で動いていくかどうか(という問題)が先になるわけで、そこは着火剤としてのボリュームが必要になってきます。
 今、円の実力は購買力平価で計算すると1ドル106円くらいになるのですが、(現状は)80円台ですので依然として異常な円高が続いているわけです。結果として国内からの(産業の)空洞化が続いているということです。日曜日の日本経済新聞の一面に掲載されていたと思いますが、企業の海外展開を支援する官民ファンドを創設する等ということは見当外れの政策だと思っています。いかに円安にして、製造の現場や働く職場に(国内へ)戻ってきてもらうかということをやっている最中に、中小企業をさらに国外に出そう等という政策がなぜ出てくるのでしょうか。まだ取りまとめの途中ですので確認できていない政策かもしれませんが、今やらなくてはいけないのは円の為替レートを実力に合わせ、公正な競争条件を整えるということです。そして、社会全体の期待インフレ率が実際の金利よりも上がってきて、銀行に預けておくよりも使って投資してチャレンジした方がいいという環境をどうやってつくるかというための財政出動です。
 消費は先に動きません。消費はGDPの約6割を占めていますが、残念ながら生活のあり方によって決まります。消費支出は、給料が急に2倍になったからといって2倍になるわけではありませんし、給料が3割カットされたからといって3割減るわけでもありません。消費から動くということはないのです。一番意図的に動かせるのが政府支出です。それにつられて投資が動いて消費(が動くの)は最後、という流れです。それを理解した上で対策を取るための当初予算を編成できるかどうかがポイントだと思っています。
 もう1つ重要なことは、国の借金は国民の借金ではないのです。いつまで(事実を)ねじ曲げるのでしょうか。国の借金は国民の財産なのです。皆さんは1万円札が財布の中に1枚あるのと10枚あるのとではどちらが幸せでしょうか。10枚あった方が幸せなのです。あれは国の借金です。なぜお札はうれしくて国債は悲しいのでしょうか。同じものなのです。形を変えればいいだけの話であって、財政当局が何十年もかけてごまかしてきたのですが、国の借金は国民の資産であると。資産を増やすという政策を打つことが重要であって、それを誤解されてずっと報道されているのは本当に歯がゆく思います。


 経済財政諮問会議は今日再開されますし、産業競争力会議も企業のトップらが民間議員として名を連ねていますが、これについて人選を含め、受け止めを教えてください。

A 知 事
 成功した企業のトップの皆さんは、国内外のいろいろなところの情報を判断した上で成功されているということですので、そこに知恵があるのは間違いないと思います。ただ、必ずしもそれが一般化できるのかどうかといところ、例えばニッチ(小さな市場や限られた市場)の中で成功している企業が行うことを全員でやったらニッチではなくなるわけです。本当に動かしていけるのかというところを政策にまとめ上げていくことが求められるわけで、成功した企業の経営者を集めれば全体がうまくいくということには必ずしもなりません。野球も同じで、4番打者を全員集めれば必ず勝てるかと言うと、そういうことにはならないということです。政策の企画立案能力が問われるのではないかと思います。


 経済対策に関連して、補正予算は最終段階に入っていますが、知事は昨年末から1,000億円という数字も挙げて、取りに行けるものは取りに行くという主張をしてきました。実際にどのくらい積み上がっているのかという点と、その手応えを教えてください。

A 知 事
 金額もありますが、中身も重要です。例えば勤務医等の不足解消に向けた地方が使えるお金を予算措置してほしいですし、デフレ脱却と中小企業の崖が3月末にやってきますので金融対策も必要です。原子力発電所の防災対策に関わる経費、老朽化が進む施設に対する補修費等を確保していくことです。箇所付けがなされているわけではないので、国の制度・枠組がないと、そもそも(予算を)取りに行けないというところがあります。「こういうものはぜひやってほしい」という未来に向けてきちんと投資になるものはやってほしいと思います。連続立体交差事業は新潟市と足並みを揃えてお願いしています。そういったところをしっかりと措置していただきたいと思っています。
 財源をどこに求めるかと言うと、お札と国債を入れ替えて経済規模全体を拡大させるということなので、国のみが財源を持っているのです。今は増税している場合ではありません。増税ではなく、国民全体としての円高という資産の中から切り出してもらうということをやるわけで、「地方負担部分を地方に押しつけるな」ということがセットになると思っています。制度上、国の事業でも地方負担部分はついてくるものがありますので、地方財政措置も国民共有の財産である円高の中から捻出していただきたい。国債の日銀引き受けにより通貨に傷を付ける形で円安に誘導する中に財源があるので、そこから出してほしいという意味です。


 自民党政権は、民主党政権が進めてきた一括交付金の制度を廃止して元の制度に戻すというような主張をしていますが、そのことについての所感を伺います。

A 知 事
 応援団がいないのです。一括交付金の最大の応援団は、前政権の民主党政権でした。ところが所管は内閣府なのですが、ご存じのとおり、ひもが半分付いているような交付金ですので「点線」なのです。霞ヶ関で何が起きているかと言うと、一括交付金がなくなったときにいかに自分のところに戻すかという、ぶんどり合戦の線引き競争が事実上起きてしまっているということで、それを食い止める力が霞ヶ関内に存在していないということが現実です。メリットがないのです。つまり地方で決められるということになると、中央官庁が差配する部分はないわけです。そうすると誰も応援してくれない予算になるので、今のような方向になっているのだと思います。年頭の記者会見でも申し上げたとおり、地方分権・地域主権改革が一丁目一番地になっていないということからも、今言われたような方向に流れやすいということだと思っています。地方の声が反映され、また戻ってくる回路が機能すればいいのですが、そうならずにまた上意下達になるのであれば、数字ありきで積み上げた精度の悪い政策を負うことになります。現場の声をフィードバックしやすい形での予算をどう作っていくかが課題ではないかと思います。特に財務省は問題で、使途を予算のときに決めるのです。おかしい話なのです。政策効果で縛るべきなのです。例えば、新潟県ではなく都市部の例ですが、待機児童数をどれだけ減らしたかという、いかに有効に活用したかどうかで評価すべきなのに、「これには使っていいけれど、これに使ってはダメだ」というような使途制限を掛けるのです。使途制限を掛けると工夫ができなくなるわけです。結果が出ればいいのに、使い方を絞ってしまうという部分がこの国が機能不全を起こしてくる最大の原因ですので、それが中央集権的な予算編成だと強くなるという部分が懸念されます。一括交付金を廃止するのであれば、現場の声をどのようにフィードバックが掛かる仕組をつくるかが強く問われることになると思います。


 一括交付金もそうなのですが、知事が懸念しているとおり、民主党政権から政権交代することで、細かい制度等に今後も変更が出てくると思います。それに対して、県として声を上げていく方法を今どのように考えていますか。

A 知 事
 県選出国会議員や専門性を持った党の政調会等があるわけです。今度は幹事長室に行かないと陳情できないということではないと思っていますので、実際に意志決定する人に対して情報を的確に上げていくということだと思っています。どの先生が、どういう役職について、どういう知見をお持ちなのかということは部会の構成や国会の委員会の構成等を見れば大体わかるわけで、前自民党政権時代にもやっていたわけです。ボタンがどこにあるかということは、行政のプロの中では明らかだったわけです。誰と誰のところに話を通せば、きちんと官を動かしてくれるということがわかりますので、そういった回路を使っていくことになると思います。無論、これは行政だけではなく議会もそうだと思います。議会が吸い上げた声は、そのルートを通じてフィードバックが掛かるようになっていくのだろうと思います。一度自民党が下野(野党に退くこと)して政権復帰し、一番気を付けてほしいことが何かと言うと、現場の声を聞く耳を持つということなのではないかと思います。もう1つは、判断するときに様々な制約があるのであれば、しっかりと情報開示していくことがセットで信頼される政治に変わっていくということではないかと思います。


 一括交付金のように、まだ地方の声を十分に吸い上げたとは言えない段階での廃止ということについて知事はどのように・・・。

A 知 事
 一括交付金も問題があったのは事実なのです。前から申し上げているとおり、ただ寄せ集めて「点線」を付けただけではないかと。結局は使途制限が掛かり、実質的な運用は補助金と変わっていないわけです。地方の期待した税財源の移譲ではなく、前政権による1つの解決策の提示として出されたものですので、「一括交付金はよかった」という声がどの程度あるのか。使い勝手があまり変わらないのではないかという中で、今はどのように改善するかというようなことを考えた方が生産的ではないかと思います。

※文中の(  )内については、広報広聴課で加筆したものです。

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