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『ロックオペラ モーツァルト』 レポ [観劇レポ]

シアターオーブに『ロックオペラ モーツァルト』を観に行って来ました。
久しぶりにあんなに酷い舞台を観ました、それでも他のお客さんはオールスタンディングで拍手喝采で何回もカーテンコールをしていたんですけどあまりにも自分の反応と周りとの温度差が凄くてカーテンコールをしている間自分を否定されている様で本当に辛かったですし、あれが手放しで受け入れられて拍手喝采を受けるのはどこかおかしいだろうと思いながら悪夢を観ている様な気持ち悪い感覚でした。

ロックオペラと銘打ってミュージカルと違うからって言う理由で脚本は二の次にして良いのだろうか?
登場人物は説得されると一瞬で心変わりするから、登場人物の心の動きが何の前触れもなく変わるので当然何が彼らに起ころうとこっちの感情は動きません。
そんなに脚本をおろそかにして音楽を重視するならコンサート形式でやれば良かったのになと思いました、なのにロックオペラとして物語を付けて芝居をしているので本当に演出家の意図が分からないです。
と言う事で演出のフィリップ・マッキンリーと全然馬が合いませんでした、場面展開のタイミングと仕方が下手くそだし、ここでその曲調かっていう肩透かしだったり謎のアンサンブルの立ち位置だったり何のメタファーなのか曖昧なダンサーだったり『おいっ』って言う所が多すぎで吉本の様なずっこけをするシーンが連発でした。
『後宮の逃走』の稽古の場面ぐらいしか演出が噛み合った所が無かったです、音楽的興奮と派手なライティングと舞台装置だけではけして納得できる様な舞台ではなく穴だらけの舞台でした。
最初のシーンのセリフでサリエリとモーツァルトのドラマが始まるのかと思いきや待てど暮らせど大したドラマは起きないし、モーツァルトの天才だからこその自分の才能に振り回されて苦悩する心の葛藤もサリエリのモーツァルトと同じ時代に生まれて彼の才能に飲み込まれて行く様な”音楽に動かされ支配され翻弄される様子”も十分に描かれないのでこの題材の持つ旨味を全然出せていませんでしたし、
酒場のシーンから始まってラストまで続くアンサンブルに対する一貫性のないキャラクター作りと演出、シーンを盛り上げるどころか元々少ないドラマ性を削る様なライティング、つぎはぎだらけの繋がりを無視した様な場面転換、違う時間違う場所にシーンが移るとしてもあんな無理矢理なやり方は無いだろうと思いました。

本当にキャストは悪く無いし山本耕史さん中川晃教さんはじめ、皆一生懸命演じて歌っているのにもったいないなーと思いながら終止観ていました。
やっぱり中川晃教さんは歌うと中川さんを中心に舞台が広がって行く感じで素晴らしくて天才さを感じられたし山本耕史さんはロックな声でインパクト十分な歌で二人とも違ったタイプの凄みを感じましたし二人とも歌と演技のシンクロ率が高くてもっと歌詞と脚本が良かったらガーンと来る舞台になったのになーと本当にもったいない事をしていました。
二人の他に良かったのはAKBの秋本さんで、思いのほか歌がうまかったですし演技の方はあのハチャメチャな脚本の中だったんですが悪く無かったと思います、今度はもっとちゃんとした脚本の舞台で観てみたいです。
高橋ジョージさんは舞台初挑戦だったようですが歌がやっぱりミュージカルの歌ではなくライブの歌でした、演技もちょっと演出家が軌道修正すればもっと良かったんじゃないかなーと思いました(まあ、あれを観ると演出家は演技はあんまり重視してなかったんじゃないかなーと思えてしまいます)

終わった後に思ったのはあの山本耕史さんのロックな声でエリザベートのトートを演じたら日本の男性が演じるトートで初めてロックなトートが出来るなーと今回の舞台とは関係ない事を思ってしまいました。


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