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“黒い雨”の影響巡り討論会
2月17日 23時3分

広島市にある放影研=放射線影響研究所が、去年、原爆投下直後に降った放射性物質を含む『黒い雨』の影響を分析し、「浴びたことによる死亡リスクの増加は見られない」という見解を公表したことを巡り、これを疑問視する広島や長崎の研究者が、放影研側と意見を交わす公開討論会が17日に開かれました。

討論会には、放影研の代表や黒い雨の影響を研究している広島や長崎の専門家など、5人がパネリストとして参加しました。
この中で、放影研側は、戦後まもなくの調査で「黒い雨にあった」と回答した広島と長崎の被爆者などおよそ1万3000人分のデータについて分析結果を示し、「長崎の人たちのがんの死亡リスクだけ増加が見られるが、人数が少なく、ほかの項目では差が出ていないことなどから、黒い雨による死亡リスクの増加は見られない」と説明しました。
これに対し、研究者からは、「長崎のがんの死亡リスクが増加している結果は無視できない」とか、「もっと違った分析のしかたがあるのではないか」などと、疑問を投げかける意見が相次ぎました。また、会場で傍聴していた人たちからは、「放影研は黒い雨のデータを開示し、外部の意見も取り入れながら研究を進めてほしい」といった声が上がりました。
討論会のあと、放影研の大久保利晃理事長は、「外部へのデータの開示は難しいが、できるかぎりの分析は今後も続けていくつもりだ」と話していました。
            

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