水族館
◎2012年7月28日放送分
今年も夏らしい暑い日が続きますね。こんな時にぴったりのスポットが「水族館」です。水槽で気持ちよさそうに泳ぐ魚たちを眺めているだけで涼しい気分になれます。
今はそれほど珍しい施設でもないため水族館の存在をつい当たり前と思ってしまいがちですが、実はその運営には様々なご苦労があるんだそうです。本日はそんな水族館のバックヤードのお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。
◎今回のお客さま
中村元さん(水族館プロデューサー)の
『山の水族館』の話
つい先日、北海道の北見市にある温根湯(おんねゆ)温泉にオープンした『山の水族館』のプロデュースを手がけたんだけど、これは「世界一と言ってもいいぞ」と胸を張れる水族館になった。通常は建設費として何十億〜何百億円もかかる水族館をわずか3億5000万円で造ったのに。
この水族館でこだわったのは「生き物を動かすこと」と「水の存在感を見せること」の2つ。そのために日本の水族館としては初となる「激流の川」を造った。でも水槽で造ったらお金がかかってしまう。そこで水族館の外に穴を掘って川のようにして、それを館内からガラス越しに見られるようにした。
普通、ポンプで汲み上げた水をどれだけ流しても「川の流れ」は再現できない。中に入ったら押し流されるような流れはポンプでは作り出せないというのが常識。ところがドイツ製の「すごい流れを作り出すポンプ」を見つけたので、これを日本で初めて使って激流を作り出し、その流れをさかのぼる魚を見られるようにした。川の魚は流れに逆らうように上流を向いて泳ぐもの。その姿は流れが激しければ激しいほど美しい。だからこの激流の展示は見ていて退屈しない。
さらに1mを超える巨大な川魚「イトウ」が20匹以上泳いでいる巨大な水槽も造った。この水槽がユニークなのは、寒い場所なので冬になると水面が凍結すること。その下で魚がどんな風に生きているかを見られるのは世界初の展示。
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井上裕介さん(お笑いコンビ「NON STYLE」)の
『沖縄美ら海水族館』の話
沖縄の『美ら海(ちゅらうみ)水族館』は水槽の数がとにかく多い。お客さんが見ている水槽だけで40〜50。さらにお客さんが見ることのない、今後出すであろう魚の水槽がバックヤードに大小あわせて60〜70くらいある。僕はNHKの番組でその美ら海水族館へ行って、飼育員の仕事を体験してきた。
僕がメインで担当したのは深海魚のコーナー。深海魚の水槽は、その深海魚にもよるけどだいたい10℃くらい。深海魚は水深200mよりも深いところに生息しているので、太陽の光も届かないし、水温もグッと低い。それに合わせて水槽も冷たくしてある。
バラハナダイは10cmくらいの小さな深海魚。蛍光ペンの黄色と緑とオレンジを混ぜたような色合いをしていて、その美しさから「姫」と呼ばれていた。このバラハナダイ、釣るのも難しければ飼育も難しい。飼育に成功して展示しているのは美ら海水族館だけ。僕はその貴重な水槽のレイアウトをやらせてもらい、水槽の脇の解説ポップも書いた。
美ら海水族館では飼育員が深海魚を釣ってくる。僕も参加させてもらい、アカタマガシラという小さなタイのような形をした朱色の深海魚を釣った。深海から釣り上げた魚は肺がふくれあがって死んでしまうので、肺から空気を抜いて、すぐに水族館の圧力水槽で治療する。この圧力水槽があるのが美ら海水族館だけなので、ここでしか見られない深海魚がたくさんいる。
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岡崎哲也さん(すみだ水族館 飼育員)の
『すみだ水族館』の話
東京スカイツリーと同時にオープンした『すみだ水族館』。私は設計の段階から携わらせてもらったけど、水族館の飼育員が設計に携わることはあまりないのでとても貴重な体験だった。
すみだ水族館の目玉はペンギン。ペンギンを展示する上で大変なのは排泄物の臭いで、すみだ水族館ではペンギンが上陸する岡場に空気を集める大型の機械を導入し、プールの上の空気を循環させて外部に逃がさないようにした。そうやって壁で遮るのではなく、手を伸ばせば触れそうな距離感なのに臭いを感じさせない工夫をした。
飼育員と気軽に会話ができるのもすみだ水族館の特徴。言葉が適正なのかどうか分からないけど「飼育員も商品(展示物)の1つ」と考えている。普段、飼育員と会える機会はそう多くないし、飼育員と話すとお客さんは喜んでくれる。だから飼育員の方からどんどんお客さんに声をかけていこうと。
オットセイの親子は子どもが去年の11月に生まれたばかりなので、授乳の様子が見られる。子育てはナーバスになるため通常はバックヤードで扱うもの。それをすみだ水族館ではお客さんにも見られるようにした。すごく大きなチャレンジだけど順調に育っている。朝と夕方の授乳の光景は来年には見られなくなるので今の内にぜひ。
大人向けにはペンギンを眺めながらお酒が飲めるカフェもある。地元の方が年間パスポートを購入して、散歩がてら毎日のように通っている光景も見かける。
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石垣幸二さん(ブルーコーナージャパン代表取締役)の
『アカガニの輸入』の話
水族館から「こういう生物が欲しい」という注文を受け、探して、捕って、輸送して、納めるのが私の仕事。今までいろんな生物を納めてきたけど、一番プレッシャーだったのはインド洋のクリスマス島にいる「アカガニ」だった。
アカガニは輸出の許可が下りた前例がなく、5年かけて交渉して「40匹だけ捕っていい」という許可を取った。それを聞いた水族館はクリスマスシーズンの展示に間に合わせようと、億単位のお金をかけて専用バスやグッズを作ってしまった。でも許可は1回こっきりなので輸送の途中で死んでしまったら全部パー。これはプレッシャーだった。
現地であれこれ試して「35時間は大丈夫」という方法を見つけ、クリスマス島を出発。オーストラリアのパースを経由して成田に向かおうとしたら、パースの税関で「保税の手続きが必要」と言われ24時間の足止めを食らった。クリスマス島もオーストラリアなのに、初めての事に係員が対応できなかったらしい。
予定の35時間に24時間がプラスされ、途中で水分の補給もできない。失敗した時の補償を考えたら生きた心地がせず、パースから成田までの間に2回もカニが全滅している夢を見た。成田に着き、事情を知らないスタッフが開けて「あ、動いた」と言った時は心底ホッとした。
今までいろんな生物を扱ってきて、人食い鮫を捕まえようとして間一髪の危機だったこともある。でも精神的にはこのアカガニが一番キツかった。
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西村正宏さん(大成建設アクアグループリーダー)の
『水族館の水』の話
ウチは水族館の設計・建設をやっている。最近なら池袋の『サンシャイン水族館』のリニューアル工事や、京都・梅小路公園内の『京都水族館』、東京スカイツリーの下の『すみだ水族館』などを手がけた。海から離れた内陸型水族館もけっこう多い。
内陸型水族館は「水」が課題。大量の海水を運ぶのは大変なので、なるべく海水を運ばなくても済むような工夫を設計する時に考える。「人工海水」も選択肢の1つ。塩の粉のようなモノを水道水と混ぜて海水を作り出すことができる。これなら運ぶのは塩の重さだけで済む。
もちろん水は循環させてキレイにして、魚に有害な物質をバクテリアで消化したりもする。それでも限界があるので少しずつは新しい水を足さないと魚が生きていけない。その「補給水」をいかに少なくできるかが海から離れた水族館では非常に重要。
ウチのシステムでは1%の水を補給すればいいような設計なので、『すみだ水族館』が全部で約800tの水を使っているとすれば、毎日8tの水が必要という計算。『すみだ水族館』は人工海水で、『サンシャイン水族館』は海水を運んでいる。そのあたりは好みの問題。
実は単純な値段なら天然海水も人工海水もそう変わらない。ただ天然海水は台風などで入らなくなることがある。それでも水は毎日必要なので、その備えに大きなタンクを地下に作っておく必要がある。これが設計上の負担になる。
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- 知ってナットク:水族館の人工海水(京都新聞)
- 人工海水を作ります。(ド初心者のヤドカリ飼育日記 byサンタ) (ほのぼの◎ドッグカラー)
◎放送曲目リスト
| Time | Title | Artist | Label | Number |
|---|---|---|---|---|
| 7'21" | Eu E O Men Corcao | Maysa | Epic | ESCA 7784 |
| 26'10" | Depois Do Carnaval | Carlos Lyra | Dear Heart | DHP 1002 |
| 36'58" | Discussao | Joao Gilberto | World Pacific | CDP 7 93891 2 |