韓国の小・中・高校生648万人のうち105万人(16.2%)は、うつ病の兆候や暴力的な傾向を示す「要関心群」で、そのうち22万人は、すぐに専門家の診断や治療を受けるべき「要注意群」であることが分かった。教育科学技術部(省に相当、教科部)が昨年、韓国の小・中・高校生を対象に2度にわたって実施した「学生情緒・行動特性検査」で判明した。
この調査で「要関心群」とされた児童・生徒は「他人の目には、自分は全てのことに意欲がないように見えるだろう」憂鬱(ゆううつ)な気分で生活することが多い」といった回答を何度も繰り返した子どもたちだ。教科部の関係者は「この中には、本当につらい状態の子どももいるが、一時的にそうした気分に陥っている子どもも交じっている」と語った。こうした子どもを持つ親は、子どもの憂鬱さや暴力性が一時的なものなのかそうでないのか注意深く観察し、教師と相談した上で、必要に応じて専門家のカウンセリングを受けるのが望ましい。
「要関心群」の子どもだけを対象に行った第2次検査で、再び否定的な回答を繰り返した子どもが「要注意群」だ。「自分にはきちんとできることがない」「自分は他人を邪魔し、干渉する存在」といった思いが心から消えない子どもたちだ。「自殺したい」と答えた中学生・高校生も相当数に上った。こうした子どもを持つ親は、すぐに専門家の下で正確な診断を受け、必要な治療を受けなければならない。
問題は、要関心群・要注意群いずれも増える傾向にあるという点だ。要関心群の児童・生徒は、2010年の12.8%から昨年16.2%にまで増えた。要注意群も、調査が始まった当初は2.6%だったが、昨年は4.5%に増えた。要注意群の生徒の比率は、中学生(7.1%)が最も高く、小学生(2.4%)・高校生(5.4%)を大幅に上回った。
児童の「心の健康」がこのように悪化し続ける理由は何か。専門家らは「かつては、親ではなく祖父母に養育されているなど問題を抱えた家庭の子どもが、多数調査から漏れていた。昨年からはこうした家庭の子どもたちがほぼ全て調査対象に入った」と語った。大半が海面下に隠れた氷山のようにこれまで見えていなかった部分が、表に出てきたというわけだ。実際この調査の参加率は、10年と11年は70%台にとどまっていたが、昨年は97%に達した。
さらに別の原因として、学業のストレスがますます高まっていることが挙げられる、と専門家らはみている。同時に、問題を抱えた家庭が増え、社会構造も急速に変化していることも一因だ。大都市・地方を問わず、攻撃的なゲームが広まっている。その結果、低い年齢で深刻な精神的危機に直面する子どもたちがますます増えているという。ルドルフ子ども社会性発達研究所のコ・ユンジュ所長は「昔は中学生、高校生が非行を働いていたが、最近では小学生も平気で非行に手を染める」と語った。早くからうつ病を患ったり非行に手を染めたりすると、成長するにつれ危険性も増していく。
都市は残酷・薄情、地方は純朴という通念も壊れた。要関心群が最も多かった地域は全羅北道(20.2%)で、次いで忠清北道(19.8%)、全羅南道(19.4%)の順だった。要注意群は忠清南道(7.0%)が最も多く、次いで済州道(6.1%)、江原道(6.1%)の順だった。延世大学医学部のチョン・グンア教授(小児精神科)は「ソウルの母親の中には、9カ月になる子どもが時折目をそらすといって病院に駆け込むような人もいるが、地方はまだ、問題が大きくなってからでないと病院に来ない人が多い」と語った。