右図にある首を左右に倒すストレッチと前に倒すストレッチは「いかり肩」「なで肩」のどちらにも有効。自分のこりやすい筋肉を意識しつつ、ゆっくり力を抜いてやるのが効果的だ。
縮まった筋肉を伸ばしたら、今度は伸びきった筋肉に刺激を与える。この方法がタイプにより異なる。「いかり肩」の人は両手のひらを前に向けて、前腕を立てる。あごをひいて、胸をそらし、腕全体を肩甲骨ごと下ろして5秒静止。「なで肩」の人はやはり前腕を立てた状態で、腕全体を肩甲骨ごと、上にぐいと持ち上げて5秒停止する。筋肉を伸ばす運動と鍛える運動を10回ほど繰り返すのが1セット。1日で3セット程度を行うと肩こり予防に効果を期待できる。
合う枕で熟睡
日常生活にも気を配りたい。散歩など軽度の運動でも、全身の筋肉の血流を増やし、肩こり改善につながる。さらに肩の筋力をトレーニングすれば効果は高まる。池上准教授は「盛り上がるような筋肉を目指すのではなく、質のよい筋肉を維持することを目的に。高齢者は筋トレの方法を間違えると逆に関節の負担になるので要注意だ」と話す。
このほか、冷えも肩こりを悪化させる。冬場はもちろん、夏のエアコンも要注意。冷気を避けるほか、肩かけなどを上手に使うことも肩こり予防になる。就寝前には、少しぬるめの湯に肩までつかり、20分ほどリラックス。また、枕が合わないことが肩こりの原因であることも多い。自分に合う枕を探してぐっすり眠ることも肩の筋肉をリラックスさせるよい方法だ。
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■器具・マッサージは対症療法
肩こりに悩む人で肩たたき機、低周波治療器、磁気を用いた医療機器などを試す人も多い。池上准教授は「多くは筋肉の血流を増やして症状を改善するもの。効果を感じられるなら使用を勧められる」と話す。痛みを感じたり、症状が悪化したりするときは使用を中止し、整形外科医などに相談しよう。
マッサージで筋肉の緊張をほぐすのもよいが、痛みを感じるほど強いマッサージは必要ないと考えられている。竹井教授は「マッサージも症状を和らげる対症療法の一つ。姿勢を見直して運動の習慣を心がけるなど生活改善が第一だ」と話している。
(ライター 荒川 直樹)
[日経プラスワン2013年2月9日付]
肩こり
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