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  紅一片 作者:散葉
まさかの変化球……
武道の授業は楽しかった。元々武道は好きだったし、何より鈴鹿さんと久しぶりに試合できたのも。
鈴鹿さんははっきり言って強い。今回の試合だって本気だった私に対して鈴鹿さんは若干息が乱れているだけだった。昔から今まで勝てたことがない。悔しいんだよね……余裕な態度だからなおさら。

「緋音は変わったの、前みたいな危うい雰囲気が無くなった。あやつらの影響かな?」
授業後、去る間際にちらりと律達を見た鈴鹿さんに言われた。

そうかもしれない。自分でもそう思うから、彼らと一緒に過ごしていると不思議なほど心穏やかになるから。

私が思うよりずっと律達は『大切な存在』になってるみたいだ。


なんて思ってた私にこれから変化球が投げられるなんて誰が想像してた?

大切だ、と認識をした後私はよく笑うようになったと思う。感情が表によく出るようになった。
自分でも自覚するくらいに大きな変化。
他人と関わるのが嫌でも面倒でもなくなった。新しくなったみたいでくすぐったいような嬉しいような気持ちで私は過ごしてた。

「では、続いて生徒会から発表があります。そのままでお待ちください」
今は全校朝会。授業の1時間目を変更して行っている。
「皆さんお早うございます。氷ノ影紫野です」
壇上に上がってるのは紫野。いつものハイテンションとは違い、落ち着いた話し方で話し始める。
「先日、今年度の生徒会メンバーが決定しました。本日はそれをお知らせしたいと思います」
へえ、生徒会決まったんだ、いつの間に?きっと律は入ってるよね。あ、りりと優紀と蒼哉もか。で紫野が会長で……忙しくなるだろうな、離れること多くなるのかな……。ちょっと寂しいかも。
「なお、委員の選別は例年通り投票結果によって行われています」
あれ……私その投票知らないんだけどな……。

「まず会計補佐に1−S狐村 優紀」
その声に隣に居た優紀が立ち上がる。やっぱり選ばれるよね。
「書記補佐に同じく1−S日向 りり」
「はいはーい!!」
元気よく手を挙げるとそのままりりは走っていった。元気だな。
「書記2−S蛇崎 蒼哉」
壇上に居た蒼哉が軽く手を振った。ちなみにさっきから皆の名前が呼ばれるたびに黄色い悲鳴や野太い声援が聞こえてくる。それでも紫野が口を開くと黙るからある意味凄い。
「会計に私2−S氷ノ影 紫野」
え?紫野が会長じゃないの?じゃあ律が会長とか?……似合うな、それ。

「副会長1−S鴉宮 律」
え……じゃあ誰が会長?他に人気な人居たっけ?

「生徒会長

1−S御言神 優菜」

…………はい!??何で私!?

「ほら優菜行くよ」
「あ、え、」
「ほら」
少し強めに言うとそっと手を引かれてそのまま壇上へ。


夢もしくは何かの間違いじゃないんだね……。

何で私なの?
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