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  紅一片 作者:散葉
初めて書くものですので、何かと至らないことがあると思いますが、よろしくお願いしますm(__)m
始まりは………自由人
夢を見ている、幼い頃からずっと……―――。

「またね、  」

ひどく懐かしくて
とても脆い夢を。

全ては薄紅色が舞う季節に……。



私の平凡……ではないけれど平和な日常は呆気なく終わりを告げる。
母の唐突な発言によって……。


「ねえねえ、優菜〜。お願いがあるんだけど〜」
それは自宅近くの至って普通の私立高校へと進学を決めた私こと御言神 優菜が平穏な春休みを過ごしているある日の事だった。
久しぶりに日本に帰国した両親がいるくらいで何一つ変わらない日常、のはずだったのだ。

「何?今度は」
居間の畳の上、温かい緑茶を飲みながら読書に耽っていた私は母に生返事を返した。
「あのね〜、真樹が学校の理事長してるのは知ってるよね?」
知ってる。
「それでねー、真樹から電話があったんだけど〜」
そこで一旦言葉を切る母。
真樹叔父の名前に若干嫌な予感を抱きつつ、母の顔を見ると……

満面の微笑み。

歳を感じさせず、外では私の姉だと認識されるくらい若々しい母のその顔に元々無表情の自分の顔が引き攣るのを感じた。

「白陽学園に来てほしいんだって」

……語尾に御丁寧にもを付けて言った母の顔に冗談の色はない。
ならば、
「わかった」
パタンと本を閉じて諦める。初めから勝てる相手じゃない。
もう驚きもしない。面倒だ。
「え!?何でか聞かないの?聞こうよ!というか聞いて聞いて〜」
頬を膨らませ、駄々をこねる子供のように両手をバタバタと動かす。……母よ、貴女は何歳ですか?
そのままほって置いたら今度は唇を尖らせてそっぽを向いた。このままだと本格的に拗ねるな。
そう思った私は取り敢えず質問を投げ掛ける。

「何故?」
ぱあっと顔を明るくしてこちらを向く母。とても話したかったみたいだ。
「あのね、真樹がね。優菜がこっちにいた方が楽しいからだって!」
……真樹叔父、貴方は何をやっている……。
「優菜の学力なら問題ないし、それにそれにいい男見つかるかもよ☆って!あたしと優斗みたいに!」
ああ、そこに反応したんだね、母よ。ちなみに、うちの母が麗菜、父が優斗です。
いい歳の二人組が何やっているんだか。内心溜息を吐きつつ、ハイテンションの母をあしらう。
まあ、今更勝てる気もしないけどね……。
「で、いつから行くんだ?」
「んーとね、明後日!」
取り敢えず呆れてものも言えなかったのは仕方ないと思う。



 それからはあっという間だった。ひとまず、外出先から帰ってきた父に言えば「あ?別にいいんじゃねえのー」と何ともやる気のない返事が返ってきた。さらに荷物を纏めようと部屋に戻れば既に段ボールに丁寧に仕舞われていた。……紅だと思うけど、仕事早過ぎないか?
そんなこんなでやることが無くなったので、再び居間で読書をしているとやたらとハイテンションな母に連れ出され服やら小物やら色々買うことになっていた。
その荷物も家に帰ると紅によって箱詰めされ、郵送されていった。全くやることがなかったな。



そして、いよいよ?出発の日。
白陽学園は、全寮制の共学校で高い学力と広大な敷地、最新設備とセキュリティが自慢の所謂金持ち学校だ。そのため若干都心から離れている。電車に1時間程揺られたのち、さらにバスに乗らなくてはいけない。……真樹叔父、面倒な所に呼んでくれたね。
さて、そんな少し憂鬱な私の目の前には三人の人。目をきらきらさせた満面の微笑みの母に欠伸を噛み殺してる父、心配そうな紅。……見事なくらい反応が違うね。
「行ってきます」
「頑張っていい男もとい運命の人を見つけるんだよ☆青春よ、青春!」
「まあ、頑張れよ、ふわぁ眠ぃ」
「お体にお気をつけて、いってらっしゃいませ。何かありましたら遠慮なくご連絡下さい」
母の頭の中はお花畑か?、父せめて欠伸はやめよう、そしてもう11時だ。
……紅がまともでよかった。

「じゃあ」
やって来た電車に乗り込む。空は快晴、絶好のお出かけ日和だ。段々と見慣れた風景が遠ざかっていく。
さて、これから先どうなるのやら。未来に想いを馳せは……しないな。

取り敢えず…………寝よう、母のおかげで睡眠不足だ。


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