ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
なんでかコレばかり書いてる。
どういうことだw

……と言う訳で、gdgdなインストール、キャラエディット&オープニング終了まで
次回辺りでようやくチュートリアル編です。
近未来SF&VRMMOモノ その3
 さて、あれから数時間が経過した。
近未来SF型VRMMORPG、アンリミテッドは無事にファンタジアと一緒にデータが発売されていた。
正確には、アンリミテッドとファンタジアにアクセスする為のプロダクトキー(一ヶ月1500Msマーズ)とナノマシンの専用通信機能強化ソフトだったりした。
なんでも、全てをインストールする場合は脳への負荷が大きいので、既存のナノマシンを強化し、発信速度、受信速度を更には受信帯域を広げる様にして必要な個人データのみキャッシュデータとして補助脳に残るようにするらしい。
他にも詳しい説明は多岐に渡ってかなり詳細に載っていたが、ボクの知能ではそれを理解するのは無理だと判断し、とっととゲームを遊べる状態を整えることにした。
ちらりと見るのは装飾の少ない指輪。
台座部分にはアンリミテッドにアクセスするためのデータを入れてある、エメラルドの様な輝きを持つメモリジェムが嵌っている。
ボクはその指輪を左手の薬指に嵌める。
幼い日の何時か、どこかの誰かさんと約束した思い出の指輪なのだが、当の本人は既に忘れていることだろう。
ボクだけが女々しく覚えていて、何時までも思い出だけ大事にしているのだ。

ボクの意識の片隅でナノマシンが語りかけ、メモリジェムにアクセスし、インストーラーを起動させ、ベッドに横たわる。
既に夕食は済んでいるし、風呂も入った後なのでこのまま寝ながら待つとしよう。

インストーラーがチリチリと体中のナノマシンに情報を書き込む。
殆どの人は、この感覚を感じる事は無いそうなのだけど、稀にボクの様にこのチリチリとした感覚に気付いてしまうほど敏感な人も居るらしい。
そういう人は、大抵がナノマシンとの親和性が普通の人よりも遥かに高い、というか高過ぎるそうで、ナノマシンの性能も人によって個人差が出たりすることもあるのだが、大概が普通の人間よりもかなり上手に使いこなしている様子なのだとか。

そんなことをつらつらと考えていると、意識の片隅に『インストール完了』の表示がされて、アプリケーションの検索をかけると確かに『Unlimited.exe』と言う名称のアプリが追加されている。
アプリの名称を見て軽い疑問符が沸いた。
が、理由は直ぐに理解できた。
exe形式のファイルになっていたからだ。
この形式は既にかなり古い旧世代型のパソコンのOSで良く使われていた形式だったはずだ。
今代ではナノマシンアプリ対応のファイル形式等は90%近くがnexe形式ファイルになっている。

「うーん、なんでだろう?exeでも、問題は無いと思うけどnexeの方が動作は軽いと思うんだけどな」

システム技術者でもないボクには良く分からないことだが、何がしかの理由があるのだろう。
さて、後は睡眠時に起動するように設定を行えば寝るのと同時にアンリミテッドが起動することになる。
しかし、コレ以上気にしてもしょうがないだろう。

「ちょっと早いけど、今日はもう寝るかな」

普段であれば買い置きしてあるラノベやWeb小説を読み漁る所なのだけど、今日はそれ以上の楽しみが待っている。

「おやすみなさい」

ボクは、自分のベッドでなら30秒もしないで寝られるという特技があるのだ。
特に、意味は無いのだけど。ぐぅ。

 さて、昔の時代の人間はどうかは知らないけれど、今の時代のナノマシンに適応した人間には、明確な意味での『夢』を見る時間は無い。
何故なら、ヴァルゴの件でも分かるように、睡眠中にもナノマシンや補助脳が活動していて望めばゲームで遊べるし、映像ファイルなどを鑑賞する事も可能だからだ。
ある意味では、これが夢に当たるだろう。
注意点で言えば、名作ゾンビサバイバルホラーの復刻版をプレイして、恐怖のあまり漏らした事があった。
勿論、ゲームの中で。
だが、それが現実に連動してボクはいい歳をしておねしょをやらかすという赤っ恥をかくはめになったのだ。
で、それの理由がボクとナノマシンの親和性に来るわけだ。
確かに夢の中でちびったり吐いたりする人はいる。
だが、現実に影響が出るのは親和性が高くて過剰に夢の内容がフィードバックされるような人間ぐらいだ。
なので、余りに酷い人の場合は例えばゲームのダメージが尾を引いて幻肢痛とかいうらしい痛みに襲われることもあるらしい。
とはいえ、それ自体は起床から1時間もしないうちに退くモノであり、日常生活に影響はほぼない。
実体験だから、まぁ間違いは無いだろう。

そんなことを考えていると、自動でアプリが起動する。

ボクの意識は一瞬、無重力地帯に居るかのような感覚を味わった後、どこかの映画館の様な場所の座席にボクは座っていた。
とてもレトロな雰囲気がして、19世紀終わりから20世紀初頭っぽい香りを感じた。
そして目の前のスクリーンには下着姿の僕が映っていた。
それを見て、一瞬混乱するが、直ぐに落ち着きを取り戻す。いや、嘘ついた。軽く2、3分慌てたままだった。
落ち着いてくると、ようやく体が動くことに気付き、そして手前にはなにやらウィンドウがある。

『アバターを作成してください』

基本の素体となるのは、自分自身の体の様だ。
そしてウィンドウはアバター作成を促すメッセージを消し、エディット画面を映し出す。
そこには性別や年齢、体型、髪の色や肌の色や声帯まで、およそ考えうる様々な項目が網羅されていた。
勿論、簡易版としてある程度の基本設定セットもあった。
ボクは、とりあえず現実の自分とは違う自分であると言う事を意識する為に、自分には無い者を選んでいくことにした。
別にイーじゃないか、ゲームなんだから。
だから、変身願望ってアリだろう?


そんなこんなで体感時間で言えば30分。
けど、ヴァルゴ中では基本的に体感時間の引き延ばしが行われており、現実との比較で8倍速で時間が進むそうだ。
ちなみに、普通のゲーム等だと最大80倍という馬鹿みたいな速さを誇る。

エディット終了直後にスクリーンの画像がナニカの映像を写し始めたので席について眺めることにした。
なぜか手元にホットドッグとコーラがある。
これ、運営のサービスなんだろうか?
何故ホットドッグ?普通はポップコーンじゃないの?
まぁ、ポップコーンよりは好きだけどさ。

ホットドッグを食べつつ眺める映画。
コレは……オープニングなのだろうか?

『ヒトは悠久の過去を、遥かな未来に、幻想に、未知なる物に浪漫を求める。』

ようやく音声が流れ始めた。
ブツッ、ブツッと古臭い(レトロ)な感じのどこか態とらしいノイズとセピア色の映像が、古臭いヴィンテージっぽい映写機から放映される。

映像は太古の昔をイメージし地球の歴史を原始時代からかなりショートカットして現代まで、そして想像しうる未来を写した。

『しかし、誰もが浪漫を求めるが故に、戦火は常に人々と共にあった』

石器に始まり、弓、槍、投擲等による原始的な人々の戦い、から現代の銃撃戦から戦車、ヘリ、戦闘機による戦い。

『人口の肥大化に伴い、新たな住居を求め、資源を求め、そして未知への浪漫を求めてそして宇宙に飛び立った』

この辺りは、現実の歴史でも似たようなもんだ。
浪漫があるかどうかは知らないけれど。

『人類が順調にその生存圏を拡大していくなかで、遂に未知の知的生命体と出遭う。それは決して良き出遭いではなかった。互いに相容れない宇宙海賊と開拓者の遭遇だったのだ』

 開拓の為と思われる大型航宙艦艇のブリッジに居る、燻し銀の艦長がモニター越しに交渉を行い、相手は海賊らしい挑発を行っていた。
艦長はそれに対して即座に応戦と後退を艦長席のコンソールから指示し、宇宙海賊達は突撃しながらの射撃を繰り返していた。
戦局は一瞬は海賊側に傾くが、人類側も伊達や酔狂で開拓を行ったり、人類同士で争ってきたわけではない。
艦長は敵性存在との交戦に苦い顔をしつつ、防御艦隊を全面に出させ、空母から機動部隊の発進を指示、更に、護衛の巡航艦を大外周りで回り込ませるよう指示を飛ばす。

空母から発進した戦闘機部隊は即座に展開すると突撃後に背面に回り込ませ機動戦に持ち込んで一気に追い立て、その頃には側面に回り込んだ巡航艦の一斉砲撃で海賊が浮き足立つ。
その一瞬を見計らって艦長が口を開く。

『艦載機に退避通告!全艦に通達、敵性存在に対し一斉砲撃フルバースト!』

その瞬間、海賊は色とりどりの光線に、ミサイルに撃破されていく。
この光景を見ると一見、スマートに勝利したかに見えるが、海賊の突撃もさるものだった。
旗艦を含め、艦隊全体の損耗率は五割を越えている。
前衛に配置された機動防御装甲艦隊、文字通り防御が固く敵への牽制や突撃してくる敵艦への壁となる無人艦隊が居なければ旗艦が落ちていたのは確実、と言えるほどの猛攻だったと思う。

『この遭遇戦を機に、人類と敵性存在エネミーとの戦争が始まり、人類は宇宙開拓を行い拠点を確保しつつ敵性存在から拠点を護る戦いの日々が始まったのであった』

ところで、このナレーションのおじさん、結構良い声してるけど何処の声優だろう?
地球かコロニー辺りかな?
地球だったら大抵のアニメとかゲームは直ぐに流れてくるから、コロニーかな?
火星で活動してるんだったら出演する作品を今度からチェックしておこう。

そんな事をつらつら考えながら映画を見ていると、映画はついに終わりを迎えた。

「貴方は、無限の宇宙にどのような浪漫を描き出すのか。私は、それを知りたい」
「!?」

耳元、顔が触れてしまいそうな程の直ぐ傍からナレーションの男の声がした。
慌てて振り向くとそこには何も無かった。
さっきまで会った筈の映画館の光景も、座っていた筈の座席も、足場も。

「うわぁっ!?」

突然の浮遊感に戸惑い、次の瞬間に尻餅をついていた。

「いったー…って、ココは?」

辺りを見回そうとすると、直ぐ隣にフタの開いた人の入れそうなサイズの棺桶みたいな物。
そして、真正面には。

「おいおい、キリ君。幾ら寝惚けているとは言え、タンクベッドから落ちるというのは流石に格好悪いぞ」

初めて出会ったばかりの割りに馴れ馴れしい美女が居た。
あ、頭の上の方に『NPC 士官学校教官 アーライナ』と書いてあった。
……なるほど、NPCなのか。
そういえば、エディット画面で選んだ生まれに『天涯孤独で孤児院出身』とか言うのを選んだ気がする。

「今日から試験とは言え開拓船団の指揮官となるのだぞ?もう少ししゃんとする!」
「は、はい!」

NPCの割りにかなりリアルな感情の篭った声と態度でしかられた。

「良い返事だ。それじゃあ、新しく支給された新米船団長の服を着るんだ。机の上においてある。それでは私は外で待っていよう」
「はい!」

私の返事に満足そうに頷いて出て行くアーライナ教官。

「さて、ちゃっちゃと着ていくか」

ちなみに、この新米船団長の服を始め、いわゆる『正装』に当る『船団長の服』シリーズは男女兼用であり、男だろうが女だろうがビシッとした軍服とズボンである。
机の上においてあった鏡を見てキリっと表情を作ってみた。

「うん、現実のボクじゃ出来ないほどキリっとした凛々しい表情だ……言ってて空しくなるな」

鏡に映るのはまるでドラマに出て主役を張れそうな程見目の良い若者の姿だ。
……うん、コレは少し、現実とのギャップでクるものがあるね。

理想と現実のギャップに打ちのめされつつも、数秒後には『まぁ、ゲームだし』でボクはあっさり諦めた。
ちなみにヴァルゴでは、基本的にアバターの変更は余りお勧めされる事は無い。
理由としては、かなーり大雑把に言うと現実との差異が大きくなればなるほど脳に掛かる負荷が大きくなるから、らしい。
特に身長とか性別は負荷が大きいとか。
まぁ、どちらもボクにとっては関係ない。

そもそも、脳に対する負荷なんて、ナノマシン操作に長けていれば元が医療用であるだけあって化学物質を自家生成したりと幾らでもやり過ごすことは可能だ。
実際、眼精疲労や頭痛、肩こりなんかはナノマシンの扱いに長けている人間ならば特に苦労する事無く治療できてしまうのだ。
このナノマシンを作った科学者って本当に凄過ぎる。
ま、事実は小説より奇なり、という奴だよね。



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。