【バンコク(タイ)木村尚公】名古屋グランパスは16日、スパチャラサイ国立競技場でトヨタプレミアカップ・ブリラム戦に臨み、2−0で勝った。前半29分にMF藤本淳吾(28)がFW玉田とのパス交換から先制点。後半37分にも藤本が加点した。3年目となる今大会では過去に湘南と仙台がタイのチームに敗れており、Jリーグ勢としては初の戴冠。タイ遠征を最高の形で締めくくった。グランパスは17日に帰国する。
バンコクの夜空に勝利の花火が舞い上がる。ひな壇の上で金色の紙吹雪を浴びながら、2得点の藤本は満足感に浸った。「自分一人の力じゃない。パスを出してくれたみんなのおかげ。結果を出せてよかった」。ストイコビッチ監督も「今夜のヒーローはジュンゴ(藤本)」とほめちぎる、MVP級の活躍だ。
1点目は玉田との芸術的なコンビネーションで決めた。ペナルティーエリアのやや外側で玉田が駆け込んできた藤本にパス。藤本がエリア内の玉田にボールを返すと、玉田は再びラストパスを藤本へ。
「玉さん(玉田)とはイメージが共有できている」と藤本。ワンツーならぬ“ワンツースリー”のハイレベルなパス交換で抜けだし、落ち着いてネットを揺らした。
藤本と玉田のWトップ下は、ストイコビッチ監督がキャンプで重点強化した3バックシステムの攻撃面での要。ストイコビッチ監督は「(欧州移籍した)永井と金崎はスピードがあったが、彼らがいない今は真ん中を固めたい。技術がある選手でボールをコントロールして攻めたい」と語る。
2人はキャンプ中、宿舎でも同室で、夜は欧州のサッカー中継を見ながら戦術、技術論をぶつけ合っていたという。藤本の1点目は、グラウンド内外で波長が合うレフティーコンビだからこその離れ業。ピクシーの狙い通りの攻撃だ。
藤本は後半37分にも絶妙のタイミングで守備ラインの裏を突き、技ありループを沈めた。ブリラムは、タイ経済界屈指の大物がオーナーを務め、積極的に強化を進めている。外国人7人を擁すなど、決して弱い相手ではない。藤本の2ゴールでの完勝は価値がある。
「今年はチームとして、個人として、いい成績を残したい。タイではいい環境でサッカーができた。寒い日本に帰って体調を崩さないよう、このまま開幕を迎えたい」
バンコクでまずは「1冠」。練習試合も含め、タイでは3試合で3得点と絶好調の藤本を擁するグランパスが、手応えを得て名古屋へ戻る。
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