ガルゼーダ帝国は数多の魔獣が直接的に武力で帝国を支え、驚異的な科学力が間接的に帝国を支えている。 要塞ガルラダは巨大な大きさを誇っていた。 ガルゼーダ帝国の科学力はその要塞の姿を完全に隠している。 要塞ガルラダの中に、異質な空間が存在していた。 その空間は、内部で魔獣達ですら恐れるほどの暗黒と邪悪が渦を巻いている。 ただ一度の例外を除き、使用される事は今までなかった。 空間の中で、美しい少女が、もがいている。 「うっ・・・」 麻衣が身をよじっても、手足を拘束している黒い拘束具は全く動かない。 重さは全く感じられないのに、完全に手足が固定されていた。 「このっ・・・」 どうあがいても完全に固定された拘束具は全く動かなかった。 麻衣は今自分が乗せられている物―――寝台のようだと感じた―――に拘束具によって固定されている。 装着していたはずのスーツは解除されてはいなかったが、攻撃を受けたためか一部が破壊されている上、作為的に股間や乳房の部分だけが切り取られていた。 「くっ・・・あの時、気付いていれば・・・!!」 悔やんでも遅かった。 出現した魔獣の撃退に向かった麻衣はそのあまりの弱さに拍子抜けし、掃討したが油断から深入りしすぎた。 今考えてみれば、魔獣の弱さも、出現した場所も、全て計算されたものだったことが分かる。 麻衣は知らなかったが、彼女が気絶した直後に、彼女の身体は空間転移装置に入れられ、ガルゼーダ帝国の本拠であるガルラダに移されていた。 「ここはどこなの・・・」 暗黒の広がる空間に、麻衣は圧迫感を覚えていた。 自分が、その空間に一人きりであることも理由かもしれない。 ここにいるだけで、精神が衰弱してゆく感覚があった。 「あなたが、セイントフェニックスね?」 「・・・!?」 麻衣の至近に女性が立っていた。 絶世の美女と形容されるだろう見事な容姿である。 だが麻衣が感じたのは戦慄だった。 この距離で、声を聞くまでその存在に全く気付けなかった。 ただものではないことは明白である。 「可愛い顔ね」 よく響く声が麻衣の耳に届いた。 「おまえは・・・?」 「あなた達は知らないでしょうね。私の名前はクローディア。ゾラーク様に仕える者よ」 「ゾラーク・・・?」 麻衣は、目を見開いた。 きっ、とクローディアを睨む。 「ゾラーク・・・それがガルゼーダ帝国の皇帝なのか・・・どうして、あんな事を。なんで罪もない人を殺したりするんだ!」 「ふふ、何故って?だって、邪魔じゃない。ゾラーク様にとって邪魔な害虫は駆除しないとね・・・」 さらりと言われ、一瞬、麻衣は言葉を失った。 「ふふ、でも、あなた達は特別よ・・・」 端整な顔を近づけてくるクローディアに、麻衣の体をまた別の戦慄が駆け抜けた。 「あなたは、ゾラーク様に仕えるガルゼーダ帝国の女戦士として、生まれ変わるの・・・あなたの仲間もよ。安心しなさい、ゾラーク様も私もあなた達を可愛がってあげるわ・・・」 「わ、私はお前達の仲間になんて、ならない!」 「ふふ・・・」 唇に指を当てたクローディアは唇を笑みの形に歪めた。 寝台は麻衣の腰の下から左右に分かれ始め、それによって拘束具で拘束されていた麻衣の足も左右に大きく開いた。 秘部があらわになる。 同時に、拘束具が奇妙な音を立て、その音が一瞬ピタリと止まり、すぐにシュッ、という音と共に麻衣の両腕、両足に鈍い痛みが走った。 だが痛みはすぐに落ち着き、逆にむずがゆい感覚が両手・両足から起こり、それは全身に広がっていった。 「え・・・」 「ふふ・・・」 さらにクローディアがいつのまにか手にしていた注射器を乳房に射つと、緑の黒ずんだ色の液体が麻衣の体に注入された。 チクリとした痛みが一瞬走ったが、すぐにそれは変化した。言葉にできない快感が全身を駆け巡っていく。 「な、何をしたの!!」 「少し感じやすくなってもらっただけよ」 実際は、少しどころではない。 さながら全身が性感帯になったようで、麻衣は体の疼きを抑えるのに気が狂いそうになっていた。 「それに、ゾラーク様の好みでいうと、胸はもっと大きいほうがいいのよ」 麻衣のバストがゆっくりと膨らんでいく。 肥大化する乳房は、はちきれんばかりの大きさに膨れ上がっていた。 「あ、こ、こんな・・・」 「これからが本番よ・・・闇の力をあなたに注ぎ込んであげるわ、セイントフェニックス・・・」 麻衣は、全身を走る快感を抑えるのがやっとの状態だった。 さらにクローディアが手を振ると、闇が生き物のように動き、密度が濃くなると、麻衣の顔を薄く覆った。 「こ、こんなことをしても、私は・・・」 「威勢がいいわね。こんなに敏感になっているのに・・・」 クローディアが麻衣の太股を撫でる。 「ひゃぁっ!!や、やめてぇ・・・」 「怖がる事はないのよ、あなたは生まれ変わるのだから・・・」 クローディアが腕を振ると、手のひらから黒い触手は出現した。 だが、その事に視界を塞がれた麻衣は気付かない。 (な、何が、起、き、て・・・・・・) 「!!!」 黒い触手が麻衣の秘唇に侵入した。 「いやああぁぁぁっっっ!!!」 麻衣は激しく腰を動かして抵抗したが、黒く光る拘束具は全く動かない。 クローディアは躊躇わず触手を麻衣の体の中へ解き放った。 「あああっっっ!」 麻衣を、容赦なく触手が犯していく。 麻衣はのたうち回るが、身体は寝台の上で動くだけだった。 下腹部が熱くなり、激烈な刺激が下半身を襲う。 痛みと快感が同時に麻衣を襲った。 「あああぁぁぁっっっ!あ・・・ああっ・・・あ・・・はぁ・・・」 激烈な刺激は徐々に変化した。 痛みが薄れ始めると、またたくまに伴っていたはずの痛みは消え失せ、快楽へと変わってゆく。 「やっ、あ、あっ、はあんっ!」 言葉にならない快楽が麻衣を襲う。 「あ、や、やめて・・・」 苦しむ麻衣にクローディアが妖しく笑う。 「ふふ・・・」 「ああんっ!」 触手はゆっくりと麻衣の体内に侵入してゆく。 「・・・あっ、あっ、あんっ、あんっ」 口から漏れる吐息が熱を帯びてくる。 触手が、麻衣を内部から刺激し、絶え間なく快楽を与え続けた。 「あく・・・あふあ・・・ああっ!」 触手が盛んに動き、強烈な刺激が、麻衣の理性を破壊していく。 麻衣の表情が虚ろなものになりつつある。 この時、闇に包まれていた麻衣のティアラの紅い宝玉にうっすらと双頭の蛇の紋章が浮かび上がっていた。 ガルゼーダ帝国の象徴である紋章が、この双頭の蛇の紋章である。 「ひいっ、んんんん、ああっっ!」 喘ぐ麻衣の顔を覆っていた闇が、耳から麻衣の中へ吸い込まれる。 同時に紅い宝玉に浮かんだ黒い紋章が鈍く輝きを発していた。 暗黒が麻衣の精神にも進入を始める。 (私はゾラーク様に仕えるガルゼーダ帝国の女戦士・・・・・・私はゾラーク様に絶対の忠誠を・・・・・・違う、ゾラークは敵・・・テキ・・・ゾ・・・ゾラ・・・ク・・・サ・・・マ・・・) 表情も虚ろな麻衣は、思考を徐々に侵されてゆく。 次第に宝玉に浮かぶ黒い紋章の輝きはさらに強くなり、紋章の姿もよりくっきりと現れ始めた。 「ふふ、そろそろね・・・」 クローディアの声も快楽に溺れつつある麻衣の耳には届かない。 肉体を駆け回る快楽に内側から突き上げられ、豊かになった乳房と腰が大きく揺れる。 「あうううううっ!」 声に合わせるように麻衣の穴の奥へと触手が入り込み、凶悪な刺激を与える。 「あ、ああ・・・」 神経を焼き尽くすような快楽に身悶える少女を、容赦なく触手が犯してゆく。 白っぽい蜜が溢れ出してきて、太股を伝っていった。 「さあ、上り詰めなさい・・・」 「あああああああっっっっっ!!!」 絶頂に達した麻衣の、左右の乳首から爆発したかのような勢いで母乳が噴出した。 秘唇からは愛液がおびただしく溢れていく。 絶頂に達した瞬間、触手は弾け、黒い霧となった。 黒い霧は麻衣の身体を隅々まで満たしてゆく。 麻衣は、幸福感に包まれていた。 「あああ・・・気持ちいい・・・・なに、これ・・・・」 「それが、闇の力よ」 「闇の力・・・これが・・・」 「あなたは、生まれ変わるの」 「生まれ変わる・・・ああ・・・なんて・・・いい・・・気持ち・・・」 安らかな面持ちで、幸福感に浸る麻衣。 その身体の中も外も、暗黒に包まれていた。 その額のティアラに紋章が完全に定着すると、その周囲から紅い宝玉が黒く染まっていった。 焦点が定まらず、ただ上を見つめていた瞳が、血のように赤い真紅へと変わってゆく。 「ふふ、もうすぐ生まれるわ、ゾラーク様に絶対の忠誠を誓う、暗黒の女戦士が・・・」 クローディアは妖しく笑い、艶めかしい赤い舌を蠢かせた。 麻衣を覆っていた闇が薄れ、少女の姿が現れる。 「ふふ、起きなさい、フェニックス」 「はい、クローディア様」 少女が、クローディアの声に応えて起き上がった。 「気分はどうかしら?」 「最高の気分です、クローディア様・・・私が、何のために生まれてきたのかをようやく知る事ができて、とても幸福な気分です・・・」 少女の額に浮かんでいた紋章は、消えている。 だが、先程までの彼女とは明らかに違っていた。 「それで、貴女が何をすればよいのか判る?」 「もちろんです、クローディア様」 そう答えた少女の唇は、赤紫に塗られ、瞳も真紅に輝き、 「邪魔な虫ケラどもを一匹残らず殺し尽くし、ゾラーク様にふさわしい世界にしてみせます。ふふ、悲鳴を上げ、逃げ惑う虫ケラの肉を引き裂く瞬間が楽しみです・・・」 心底楽しそうに、見る者を凍てつかせるような邪悪な笑みを浮かべていた。 「ふふ、うふふふふ、あはははははは・・・・・・」 哄笑が、闇に響いた。 麻衣が、戻らない。 撃退に向かった麻衣は、足止めを排除して楓と華織が駆けつけた時にはすでにその姿はなかった。 三日たった今でも何の情報もない。 「麻衣の行方は、まだわからないの?」 華織が尋ねる。 「駄目です・・・全くわかりません」 楓の能力でも全く麻衣の居所はわからなかった。 「もう三日経つ・・・まさか」 「ガルゼーダ帝国に捕まった、と考えていいでしょう」 華織の顔から血の気が引く。 「そう考えたなら、どうして助けにいかないの?!」 「どこに捕まっているかが、わかりません」 華織は言葉をなくした。 ガルゼーダ帝国はその目的、名以外はその総数、本拠地、どこから来たかも不明だった。 捕まっているとしても、どこにいるかが判らない。 「だからって、このまま何も・・・」 「情報は集めています。何か判るかもしれません」 国家は壊滅していたが組織的に抵抗を行うグループがあり、楓は情報交換をしていた。 黒木隆之をリーダーとする組織が特に大きく、楓はそこから情報を得るつもりだった。 「情報を集めるだけじゃ・・・楓は、麻衣が心配じゃないの!?」 「心配ですよ!」 楓の悲痛な声が響いた。 華織は、硬直した。 「心配です、私も。でも、助けに行くことばかり考えていても、ゼイン帝国の魔獣は防げない。麻衣さんを助けに行きたい。でも、その隙に魔獣が一斉に襲ってきたりしたら・・・」 唇を悔しげな表情で噛む楓を見て、華織は恥じた。 心優しい楓が麻衣を心配しないわけがなかった。 それでもこの世界のことを考えて自重していたのだ。 「ごめんなさい。あなたを責める気じゃなかったの」 「いえ、私もすみません」 「でも、麻衣は無事でいるのかな・・・」 華織のつぶやきに、楓は答えられなかった。 女の喘ぐ声が聞こえる。 粘着質のある音が交じり合って、淫靡な空気が部屋を満たしている。 「ゾラーク・・・様ぁ・・・」 「ふふ、ふはははは」 ゾラークが、邪悪な笑みを浮かべる。 「もう、濡れているぞ」 ゾラークが示した場所は、すでに湿っていた。 「ああ、素敵です、ゾラーク様・・・」 恍惚とした表情を浮かべているのは麻衣だった。 ゾラークの右手は、麻衣の胸を掴み、揉んでいた。 左手は、股間を撫でている。 その左手が、次第に中心へと近づき、指を差し込み始めると麻衣の喘ぎ声は大きくなっていった。 3本目、4本目の腕である蛇が、その赤い舌で麻衣の首筋を舐めている。 「ひゃふう・・・・・・あはあ・・・・・・」 麻衣が、淫蕩な笑みを浮かべ、貪欲に快楽を求めて激しく腰を振る。 ゾラークが股間から引き抜いた指にはねっとりと愛液がまとわりついていた。 スーツからも、だらしなく白い液が流れ出している。 ゾラークの、愛液にまみれた手が這いまわるにつれ、麻衣は白い肌をほんのり上気させる。 吐く息は甘く、熱い。 「ああ、早く私の中に、ゾラーク様・・・・・・」 麻衣が忘我し、淫らにも射精を求める。 ゾラークはその股間から三本生える肉棒の一本を麻衣へと近づける。 ニヤリと笑みを浮かべ、ゾラークはそのたくましい肉棒を麻衣の秘所に突き入れてゆく。 ゆっくりと腰を振り、ゾラークが刺激を麻衣に与える。 麻衣の身体に激しい痙攣が走った。 「ひゃうっ・・・ああ・・・ひゃああああああっ!」 ゾラークの精液を全て中に受け入れた麻衣は、絶頂に達し、ゾラークの下で果てた。 満足げな表情で笑むゾラークの傍らに、クローディアが立っていた。 「いかがでしたか、ゾラーク様」 「余好みの妖艶な肉体だ。まだ経験が足りないが、なかなかの女であることは間違いないな・・・」 手に入れた女を論評するゾラークである。 クローディアの表情に微妙な影がよぎる。 ゾラークはそれを見逃さなかった。 「どうした?」 「いえ、何でもありません」 無表情に発せられた言葉に、ゾラークは笑う。 「まあ、そう言うのならばそういうことでよい」 だが、と続ける。 「あと二人に対してはどうなっている」 「策は、すでに。ただ、少し時間が必要かと」 「少しならかまわぬ」 ゾラークは麻衣を抱え上げ、闇の中へ消えた。 一人残されたクローディアは、思索に没頭した。 男が、女に与えた命令を果たす為に。 「一人は堕ちた。後の二人も、同じように・・・」 クローディアは三人の少女が、魔獣達の先頭に立って暴れ狂う姿を思い浮かべ、声を立てて笑った。
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