無題
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「無様な姿…」
そう呟き、鏡と向かい合う女が一人。
はちきれんばかりの豊満な胸、くびれができた腰。
スタイルに申し分はないのだが…。
「健康的な色って…人間は気持ち悪いわね」
彼女の本来の肌の色は人間でいう「青」だった。
(文句は言ってられないわ、だって…この任務が成功すれば…)
彼女の上司が存分に体中を嬲ってくれる約束をしていた。
そのときを思うだけで、秘部からはトロリと蜜が溢れ出した。
「まだ…時間はあるかしら?」
女―人間の世界では橘女子高に勤務する教師―かえでは、鏡の向こうの自分を見つめながら蜜壷に指を激しく出し入れしていた。
「先生、準備はできました…?!な、なにしてるんです!!」
今日から同じくこの高校に勤務するはずの教師。
地味な格好で田舎っぽい、いかにも先生というタイプの女。
「お楽しみの最中なのに…イケナイ子ねぇ…」
かえでが目をギラリと光らせると、教師の口からは声がでなくなる。
「…ぁ…ぁぅ…!!」
「丁度いいわ、下僕第一号にしてあげる」
「名前は?」
「龍ヶ崎…静香…ぁふっ…」
「いくつ?」
「にじゅぅ…に…です…」
「そう…若いのね…だからこんなに感じやすいのかしら?」
「そんな…ぁぁぁぅ」
ストッキングとパンティーをずらし、蜜壷に舌を這わせるとすぐに静香は顔を赤らめた。
「こういうことはいつもしてるの?」
「……は…ぃ…」
「私の本当の姿ならもっとあなたを虐められるんだけど…それはまた今度のお楽しみね」
「あぁぁっ…」
かえでの舌は人間よりもずっと長い。
奥に挿れるとすぐにコリコリと壁に当たった。
「ねぇ、静香。あなた私の狗になる?なったら、永遠にこの快感をあげる」
男根のように舌をジュブジュブと出し入れし、唾液からは更に淫靡になる液体が出ている。
「あひっ…あぁあっ!!…とけるぅ…とけちゃいますぅっ!!」
「どうするの?決めなさい!!」
「私は貴女様の僕になりますぅぅぅ!!犯して!犯しつくしてぇぇぇ!!!イクの!イッちゃうのぉぉぉっ!」
「正直な子は嫌いじゃないわ。思う存分、よがりなさい」
乳房はブルブルと震え、白目を剥き口からは獣のように涎を零す。
「…かえで…様ぁ…」
潮を吹き、その場に崩れ落ちる。
かえでは舌を抜き、静香の額に手を当てた。
「僕となりし娘・静香を生まれ変わらせよ…汝、我と契約を結ぶか?」
「結びます。私は…かえで様の永遠の狗…永遠の僕」
ぐったりとしたままの静香の額に、紋章が浮き上がる。
肌の色は青くなり、かえでのように淫靡な体つきになっていた。
目を覚ました静香であった者は、ニヤリと笑う。
「私は貴女様の眷属、ローレライ。なんなりと、ご命令を」
「ローレライ、よろしくね。ひとまずは人間体に戻って日常生活を送りなさい。私たちの使命は憎き3人を倒し、人間の世界を統治することよ」
「かしこまりました」
ローレライは元の静香に戻っていた。
「かえで先生、よろしくお願いします!」
しかし身にまとうフェロモンは、人々を惑わす魔女そのものであった。
-
(この学校に…あいつらが…)
登壇し、かえでも静香も挨拶を終える。
他の新任教師よりも艶やかで異なる雰囲気を纏ったかえでが生徒たちに囲まれるのも、時間の問題だった。
「かえで先生って超キレイだよね?!」
2年の高野雫は息も荒く友人である鈴村百合に話しかけた。
「そうね、でも何か……」
怪しい感じがする。そう付け加えると雫はすぐに首を横に振った。
「かえで先生こそ正に女の中の女よ!」
「雫、また男に振られたか?」
「あーきーらー!」
雫にけしかけたのは同じく友人の水沢晶。清楚で可憐な百合とは違い、ボーイッシュでハキハキとした物言いが学年を越えて人気だ。
クラスは違えど仲むつまじい三人は、弁当を囲みながら女子らしいおしゃべりに花を咲かせていた。
「…それにしても、最近ワルモノが出ないよねぇ」
「迂闊に喋るなよ、いつどこで聞かれてるか」
「晶は戦闘モノのアニメ見すぎなのよ。ねぇ、百合」
百合は笑っている。晶は顔を赤くして、うるさい、と反論した。
彼女たちは秘密裏に世界を守るヒーロー、ミルキーエンジェルである。
突如現れた謎の生命体・ブルーローズから人々を守りるのが彼女たちの役目。
ブルーローズが最も忌々しく思う存在であった。
「ローレライ、何か情報は掴めた?」
「いえ……んくっ…まだ、なに、も……」
ローレライ、もとい静香は音楽の教師。
かえではローレライを弄りながら、忌々しきミルキーエンジェルを思い出しては歯をギリギリと噛み締めた。
「次の授業はどのクラス?」
「にね、んんっ……さん……ぁぁんっ、出ちゃぅぅっ!!」
ビュクビュクと床に愛液を零し、ガクガクと腰を振る。
「貴女の歌で惑わしてあげなさい…」
「はぃ……かえで様……」
かえでは床の液をジュルッと吸い取り、妖艶な笑みを浮かべた。
「私も一人くらい、若い奴隷が欲しくなったわ…」
- 「いけない!」
百合が時計を見てパタパタと弁当を片づける。
「どしたの?」
「移動教室なの。またね」
「3組は龍ヶ崎先生の音楽だっけ」
「……あの二人、やっぱり怪しいんだよな…」
「もう、晶は……私も行くね!」
雫も走っていき、屋上には晶だけが取り残された。
「授業、始まるわよ?」
晶の背後から凛とした声が響く。
渦中の、かえでだった。
(こういう子が淫乱になったらどうなるかしら?)
堕としてみたいという好奇心に駆られ、晶の動きを封じようとした。
しかし。
「すみませんでした。失礼します」
晶は術にかからず、かえでの横を素通りしていった。
(どういうこと?!)
かえでの頭の中でいろいろな考えが駆けめぐる。
そして、或る一つの答えに辿り着いた。
「試す価値はありそうね」
午後の授業は憂鬱だ。
百合は音楽を聞くのは好きでも、歌うのは苦手だった。
「みんなで歌えば恥ずかしさもなくなるわ!」
静香は明るく、みんなに促す。
軽快なピアノの音、静香の澄んだ歌声。
(こんな綺麗に歌えたら…)
「鈴村さん?」
「あ、はい!」
「どうしたの?眠くなっちゃった?」
「え、いえ……」
「じゃあ続きから歌いましょう」
不思議と、今まで感じるような劣等感は感じなかった。
それどころか、
(私…歌うのが楽しい!!)
嫌いだった歌うことが、気持ち良くなっていた。
「みんなとっても上手だったわよ。じゃあ、今日の授業はここまでにしましょう」
(もっと歌っていたいのに…)
百合が静香を見ると、目があった。にこり、と笑って静香は他の生徒に囲まれていく。
どことなく寂しい気持ちで、百合は音楽室を後にした。
- 「……晶先輩…まだかな…」
一人の女の子が剣道部に所属している晶を、ただじっと待っていた。
「あなた、どうしたの?」
「何でもないです」
「1年の田村はるかちゃんよね?遅い時間よ、ご両親が心配しちゃうわ」
「晶先輩が、まだ、練習終わってないから……」
中学生とも間違いそうな少女の顔は恋する女の顔をしていた。
「水沢さんはまだ時間がかかるわよ。よかったら…」
はるかはその場で動けなくなった。
「私と待ちましょう?」
はるかにもはや意思はなかった。
糸の切れた人形のように体はだらんと垂れ下がり、目は濁ったまま風景を映していた。
ただ感じるままに裸体を晒し、まだあどけなさを残す性器をパックリと見せている。
ただ蹂躙し、晶のことを聞き出すだけでは面白くない。かえではそう考え、耳元でねっとりと囁く。
「普段しているように一人でやってごらんなさい」
ぴく、と体が動き、指がぎこちなく平坦な胸に伸びる。
「………ん……晶先輩……」
「ゆっくり見てたいけど、時間もあるし…」
かえでははるかの唇を奪い、濃厚な唾液を喉へ押し込む。
効果はすぐに現れた。
「あぁぁぁっ!あきらせんぱいっ!あきらせんぱいっ!」
「雌犬のように狂いなさい」
かえでの姿は先程までの女の姿ではなく、青い皮膚のブルーローズ幹部になっていた。
「あぅ……ぁぁぁぁあ゛!!」
言葉通りだらしなくよがり、そのままはるかは失神した。
「起きなさい、私の可愛い奴隷」
虚ろな目をしたまま、雌の匂いに包まれたはるかは起きあがる。
「お前は水沢晶の秘密を知ってる?」
「いえ……しかし、突然三人でどこかに走っていきます」
「三人…水沢晶のほかは?」
「高野雫、鈴村百合です…」
「……おまえは役に立つわね」
「本当ですか?!」
はるかが歓喜に震える。
「一つ、重大な任務を与えるわ」
「なんなりと、かえで様」
「それはね………」
――――――――
「必ずやミルキーエンジェルを我らの手中に…」
かえでは定期報告のためにブルーローズのアジトへと戻っていた。
かえでが心の底から欲しい肉棒は他の幹部が伽をしている。膣がきゅぅっとなり、下腹部がじゅんと濡れていたがまだ成果もあげておらず指令を果たしていない。
「ハデス様、僕を一体お借りできませんか?少し面白くしてみたいのです」
「面白く?」
「ええ、我がブルーローズの配下を増やすチャンスでもあるのです」
「……よかろう、好きなヤツを連れて行け」
「ありがたき幸せ」
ハデスの上で恍惚に酔う女幹部。その姿はすぐ後の自分と同じなのだ。
そう思うとかえではいてもたってもいられなくなった。
「失礼致します」
「かえで様、いかがでしたか?」
「うまくいったわ。さぁ、すぐに準備に取りかかりましょう!…と、その前に」
「かえで様、な、なにを……あぐぅ…」
高ぶった欲望をローレライにぶちまける。
二人の女が互いに口内を、膣内を舐め回し喘ぐ。
「かえで…さ、ま…」
「さぁ、ローレライ。私たちでブルーローズの理想郷を作りましょう?」
- (静香先生…今何してるかしら)
百合はぼんやりとそんなことを考えていた。
静香に直接指導してもらったと誇らしげに語る合唱部員が羨ましい。
(私もあんな風に明るく先生に話しかけられたら……)
百合の心は沈んでいた。
「…はぁ」
「百合、最近元気ないよね?」
いつもどおり弁当を広げる三人だが、話題は百合のことになっていた。
「どうしちゃったの?何か相談に乗ろうか?」
「え、ううん!大丈夫。心配してくれてありがとう」
二人の心配した様子に困惑しながらも、嬉しそうに礼を言う。
そんなかしましい時間を邪魔するものが、一つ。
「っ!!ブルーローズ?」
「行きましょう」
「行くぞ、変身だ!」
すぐさま雫はミルキーレッド、百合はミルキーイエロー、晶はミルキーブラックに変身する。
察知した方向にはブルーローズの怪人がいた。
「キャァァァッ!なんなの?!」
六つの尻尾で少女を羽交い締め、制服の上から体を撫で回していた。
「そこの変態怪人、待ちなさい!」
「グッ、お前等は!!」
「ミルキーエンジェル、ただいま参上!」
晶ははっとした。少女は見覚えのある…後輩の田村はるかだ。
気づくや否や怪人・ゴルゴンを膝蹴りする。
「ぐぁっ!」
解放されたはるかを怪人の魔の手が伸びない場所へと降ろす。
「助けてくれてありがとうございます!」
ぎゅ、と抱き締められる。
そのとき、ふわりとした香りが晶の嗅覚を支配した。
頭をとろかすような、甘美な匂い。
(……気持ちいい……っは、私、何を…?)
晶は自分が何を感じたのか理解できなかった。
「礼はいいから、さっさと逃げなさい!」
「はい」
(何の匂いだったんだろう……)
ぼーっとしているうちに雫の必殺技のかけ声が聞こえた。
「晶、あの子は?」
「ん、あぁ、怪我もなかったようだし逃げられたよ」
「よかった…」
「それにしても…久しぶりの割になーんか弱くなかった?今回の敵」
「いいじゃない、倒せたんだから」
人のいない路地裏で、はるかは一人微笑んでいた。少女のようなあどけない顔には似合わない、娼婦のようないやらしい笑顔だった。
「晶先輩……もうすぐ…私を……」
嬌声がただ静かな路地に響く。それはまるで、発情期の雌犬のような声だった。
- その夜、晶は夢を見ていた。
「…ぁっ……ぁぁっ!いいっ、いいのぉっ!もっと奥まで突いて!!もっと、もっと!ぁうぅぅぅ!」
「おかしくなっちゃうっ!クる!きちゃうぅっ!い、いぁぁぁっ」
「……!!」
(何なんだ、今の夢は…)
「驚きましたか?」
「はるか?!」
ここは自分の部屋、はるかがいる訳はないのだが…自分はまだ夢を見ているのかと混乱する。
夢の中で喘いでいたのは他でもない、はるかだった。
それを犯していたのは……
「これは…夢か?」
「そうです、夢ですよ」
昼間嗅いだ甘い匂い。
「夢なんです。だから、先輩の欲望を解放していいんですよ?」
「わたしの……よくぼう……?」
「先輩は男に生まれたかったと思ってる。違いますか?」
(どうして、しってるの?…わたしの、きもちを…)
晶は小さい頃から男に憧れていた。
おままごとや人形遊びより、野球やサッカーが好きだった。
高校に入って剣道部を選んだのも、女子ばかりの高校で最も男らしい部活だったからだ。
「先輩、隠さなくていいんです。私なら…私のご主人様ならあなたの望みも叶えてあげられます」
「ごしゅじんさま…」
「はるかは堕とすのが上手ね」
晶の目の前にはあれだけ雫に「怪しい」と忠告していたかえでが立っていた。
しかし、気にすることはない。
これは夢なのだから。
「あなたが…はるかのごしゅじんさま…」
「晶、私の目を見て」
この間は術が効かなかった。今回は……
- 晶は体中が火照っていくのを感じた。
「あ………あ、ぁぁっ…」
(目が離せない)
(見つめていたい。)
(危険?……違う、だってこれは夢なんだ……)
「そうよ、自分の心に正直になりなさい」
脳に直接響くように、一言一言が晶の心を揺さぶる。
魂が抜けたようにふらふらと立ち、突然服を脱ぎ捨てる。
ほどよく引き締まった、しかし女性らしい丸みを残した体は芸術品と言ってもいいものだった。
「先輩、綺麗…」
「あなたの望みは?」
「わたしは…男になりたい…男になって…」
唾をごくり、と飲み込む。
「可愛い子達をこの手で…犯してみたい」
正義のヒーローとは思えぬ望み。
かえでにとっては想像以上、完璧な答えだった。
夢の中と思うからこそ、普段は隠している黒い欲望が露わになる。
「あなたの望み、叶えてあげる」
「どうやって……」
「見ててご覧なさい」
かえでは静香にしたように晶の額に手をかざす。
「汝、我と契約を結ぶか?」
普段ならこんな単純に話は進まないだろう。
が、今の晶には望みを叶えることが何よりも大切だった。
「むすびます……」
ドクンッ!
晶の体が中から燃えるような熱を帯びる。
「あがっ!!ぅぐぅ…ガァァァァ!!」
雄叫びを上げ、頭を抱えたままもがき出す。
「か、かえで様…先輩はどうしちゃったんですか?!」
「生まれ変わるのよ、体中ね」
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!」
秘部にある性感体がみるみる大きくなり、ペニスのような形になる。
体の色はみるみる青くなり、目は金色の…彼女の倒すべきブルーローズと同じ特徴をもっていた。
「目覚めよ我が眷属、インキュバス」
「クク……私をこのような素晴らしい姿にしていただきありがとうございます…」
「インキュバス様…素敵…」
はるかも本来の姿に戻り、雌の匂いを撒き散らしていた。
「私はハデス様の元にご報告に行くわ。あとははるかと好きなだけ楽しんで頂戴」
「かしこまりました」
- ジュポ、ジュポ…
はるかは口で奉仕を始めた。舌で隈無く舐めると、たまにトロリと液が流れてくる。
蜜のように甘く、痺れるような悦を与えてくれるそれを必死で飲もうと、ますます舌の動きは速くなる。
「急がなくてもいくらでも犯してやるというのに…」
ちゅる……ぢゅるる…
「ぁんっ………ちがいますぅ…インキュバス様のコレ、おいしくって……」
どぷっ
唇から流れ、洋服も体も大量の精液にまみれたはるかを見て、インキュバスは妖しく笑う。
「そろそろさせてもらおうか?」
「ハデスさまぁ…気持ちいいですぅ…おかしくなっちゃいそう…」
パンパンと繋がっては離れる水音と、だらしなく開いたかえでの唇から漏れる息が響いていた。
「ミルキーブラックは何になった?」
「インキュバスにいたしましたぁっ…ぁ…もっと、奥を…」
「考えたな」
「インキュバスにぃっ、おか、されるとっ、んぁっ…タネが、体にっ…イクっ…うえつけられます……」
「少しずつ蝕み数日後には我らの配下となる、か」
「ぁぁぁぁぁっ!!……インキュ、バスとブラックは…別人格でっ、はぁっ、ブラックは、自分がまさかっブルーローズだ、なんてっ、はぅぅ…思っていませんっ……!」
「引き続き他のミルキーエンジェルを堕とせ」
「かしこまりましっ…イクっ!イッちゃう!!」
- 「さすがかえで様、もうミルキーエンジェルを堕としたんですね!」
「まだ一人だけよ、気は抜けないわ。それに、今日からはしばらく下僕を増やすために時間を割こうと思うの。ローレライ、あなたの声を使ってね」
「はい!かえで様のためならこの身果てるまで歌い続けます」
(午後の授業って眠いんだよねぇ……)
雫は授業を始める前から大きく欠伸をしていた。
「眠いかもしれないけど、高野さん、ちゃんと授業は起きてね?」
雫の前にはちきれんばかりの胸が現れる。
「か、かえで先生!」
「みんなも春眠暁を覚えず、にならないようにね!」
クラスにどっと笑いが起きる。
雫は顔を赤らめ、一瞬で吹き飛んだ眠気に恨めしさを感じた。
「じゃあ次のページを高野さんに読んでもらおうかしら?」
ぽん、と頭に手を置かれる。
チクリ
針で刺されたような痛みが走る。
「痛っ……」
「どうかした?」
「いえ、何も」
季節はずれの静電気かもしれない。
「それじゃ、読んでちょうだい」
「面!」
「小手ぇぇ!」
剣道部ではいつもに増して熱気が漂っていた。
晶のやる気がただごとではない。
「ねぇ晶、今日はやけに頑張ってるじゃない?」
「そうか?そんなことないよ」
実の所は気分が楽になっていた。
覚えていないが、昨日みた夢が自分の足枷を外してくれたような。
「お手洗いに行ってくる」
晶に見つからぬよう、そうっと剣道場に向かう影が一つ。
「あれ、どうしたんですか?こんなところに……」
- まさかこんなにも、少女たちの心には秘められた思いがあったとは。
目の前で変わり果てた姿になった剣道部員たちを見て、ローレライはただ微笑んだ。
ローレライの歌声に合わせ、ある者は服を脱いで他の部員に自慰を見せ、ある者は秘部を畳にこすりつけては喘ぎ、ある者は竹刀を男根に見立ててつぷりと入れ…
まさに快楽の地獄とも化した状態になっていた。
お手洗いから帰る晶は突然の頭痛におそわれる。
「く……ん……」
「遅かったじゃない、インキュバス」
「フン、お前が手間取っていたら困るからな」
「後はどうぞ、ご自由に食べ散らかしてちょうだい。…私も一人いただこうかしら」
一番近くにいた生徒を引き寄せ、生徒の耳元で歌を聞かせてやる。
腰をガクガクと振るわせ、両方の口から涎を流しながら悦楽に狂う。
「食べ散らかす、か…」
目の前にいる少女を犯し尽くすのはどんなに心地よいだろうか。
ドクン、と肉棒が漲る。
「おちんちんすごいっ!すごいのぉ!!」
「私にもちょうだいぃ!!」
「…きちゃうっ!…きちゃうのぉ!!」
足元でよがる少女たちの望み通り、犯しては中に欲望を吐き出していく。
いくら絶頂を迎えても欲望はとどまるところを知らない。
(私は…これを求めていたんだ……私の本当の姿はこれなんだ…)
部員全員がヒクヒクとオーガズムに沈み、インキュバスであった晶は元の姿に戻る。
「ローレライ…」
ローレライは身構える。彼女は憎きミルキーエンジェルなのだから。
「これからもよろしく頼む」
「え?」
「私はミルキーブラックではない。ブルーローズに仕える僕、インキュバスだ」
(…やっぱりかえで様は素晴らしい)
ぞくん、と背筋を振るわせローレライは笑う。
「よろしくね、お互いブルーローズの、かえで様のために尽くしましょう?」
- 「龍ヶ崎先生はお帰りになられましたよ」
百合が暗澹たる気持ちにさせられる答えが返ってきた。
今日こそは勇気を出して、歌を教えてもらおうと思ったのに。
「鈴村さんは合唱部の子?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど」
「そう…部活外の生徒にも慕われるなんて羨ましいわ」
「で、でもかえで先生のことを好きな子もいますよ!」
「そう?」
「雫……高野さんはかえで先生のこと憧れる、って」
「ありがとう。鈴村さんは優しい子ね」
「あ……いえ…そんな」
雫がかえでを慕う理由が、百合には少しわかった。
子供らしく笑い、屈託なく言葉を返す。
(晶には悪いけど、かえで先生が怪しい人とは思えないのよね)
「気をつけて帰ってね」
「はい、ありがとうございます」
職員室に背を向け小さくなっていく百合を見てかえでは笑う。
「いいコト聞いたわ」
「しずくー!ごはんはー?」
「いらない……」
(私…おかしい……)
足が地面についていないような、ふわふわした気分。すべてが遠い、異世界にいるみたい。
部屋にカバンを置き、そのままベッドに俯せる。
体の中が、熱い。
急いで部屋の鍵をしめ、ベッドに座る。
「んっ……ふ」
吐息が漏れ、乳首はコリコリと固くなる。
左で乳房を、右で性器を弄り、ただ快感に身を預ける。
(な、によコレ…)
いつもとは違う。体中に電気が走る。
(気持ちいい………ぁっ)脳裏にかえでの姿が浮かぶ。
あんな大きな乳房なら、もっとたくさんの快感が得られるのか、あの女性を抱く男がいるのか…どんな風に抱かれるのか。
(…私、なんでこんなに……いやらしいの……?)
「あっ、ひぅ…あっ、あぁっ、ぁぁぁぁっ!」
プシュッと潮を噴き、雫はそのまま倒れ込む。
意識は微睡むのに体が感じることを止めない。
その日の夜中まで、雫の部屋の明かりは消えなかった。
- 「今日は高い声を出せるように発声練習をしましょう」
明るく静香は生徒に促す。
静香が音楽の担当になってからと言うもの、百合のように歌嫌いが歌を歌うようになった。
(ローレライの歌声は破滅へ引き吊り込むな)
一番端で授業を聞いていた晶は一人で外を眺めていた。
静香が高い音を出せば生徒たちも高い声で応える。
「一人ずつ練習してみましょうか。じゃあ出席番号が早い順からね」
一番の生徒が前でピアノに合わせて歌う。
「もっと高い音が出せるように手伝ってもらいましょう。晶」
晶はめんどくさそうに前に出る。
インキュバスの姿になり、生徒の秘部に欲望をあてがう。
「歌ってみて」
四つん這いになった生徒を犯し、生徒は変わらず歌い続ける。
「あ、ぁぁ、ぁぁ…」
全員が自分を見ているという羞恥心と、太く逞しいモノに貫かれている快感で正気と狂気の瀬戸際だった。
「ぁ、ぁぅぅ、ぁぁぁああん!」
生徒は一際高く、大きな声を上げてイった。
静香は満足そうに、「綺麗な声だったわね。じゃあ次の子」と告げる。
淡々と、生徒はインキュバスからの個人レッスンを受けてブルーローズの配下になっていく。
最後まで終わり、人形のようになった生徒たちの前で、静香はローレライの姿を表した。
「みんなの歌、とても綺麗でした。最後に先生がみんなにお手本を見せます」
「壊れても知らないぞ」
「いいわよ。とびきり気持ちよくしてね」
- 35人を犯し終えたとは思えぬほど張りのあるペニスにちゅっと口づけ、頬張る。
くちゅ…ぴちゃ…
すぐに精液が体中に吐き出され、青い体に白いベールをまとったような淫靡な格好になった。
「みんな、よく見ててね」
インキュバスがあぐらをかいた上に、秘部をくぱぁ、と開け降りていく。
肉棒はズブズブとローレライの中に入っていき、やがてすっぽりと収まった。
じゅっぽ、じゅぶっと音を立てながらストリッパーのように見せつけるようにゆっくりとピストン運動を行う。
「はぁ、んんっ、あぁん…」
次第にストロークは早くなり、喘ぐ声も高くなる。
「ぁっあぁ、奥まできてるっ!ぁぅっ…は、はぁぁぁ」
天をも突き抜けるような綺麗な声で、ローレライは絶頂を迎えた。
「はぁ…はぁ…みんな、これくらいの声は、出せるようにね?」
「…はぁい……」
釘付けになり、恍惚とした表情の僕たちがゆったりと声を上げる。
授業を終え、人間の姿に戻った生徒がガヤガヤと次の教室に向かっていく。
「晶、気持ちよかったわ」
「静香の中も…犯し甲斐があったよ」
(どうしてあの二人……)
二人の笑い合う姿を、百合が見ていた。
同時に、心の中に嫉妬の気持ちが沸々と湧き上がる。
(……晶…私の静香先生を……)
唇を噛み締め、百合はその場を去っていった。
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