安倍政権:海外から「通貨安政策」批判 反論に躍起

毎日新聞 2013年01月26日 東京朝刊

 大胆な金融緩和を掲げる安倍政権の経済政策に対し、海外から「通貨安政策」との批判が広がっている。日本政府は「(金融緩和は)デフレからの早期脱却が目的で、為替操作という批判は全く当たらない」(25日の閣議後会見で麻生太郎財務相)と反論に躍起だ。通貨水準をめぐる各国のさや当ては、ロシアで来月開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも主要な論点になる可能性がある。【清水憲司】

 麻生氏は、ドイツのメルケル首相が24日、スイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「為替操作への問題意識は高まっており、懸念を持って見ている」と日本を名指しで批判したことに反論した。「(昨年11月の)衆院解散から約1割円安になっているが、(08年秋の)リーマン・ショックの時は1ドル=110円。これまでの行き過ぎた一方的な円高が修正されつつある局面だ」。麻生氏はこう述べ、輸出競争力を高める意図的な円安誘導との見方を否定した。

 ドイツは自動車などの輸出産業で日本と競合しており、欧州債務危機を背景にしたユーロ安で恩恵を受けてきた。日本の輸出競争力が高まれば、歴史的な低水準だった失業率が上昇しかねないだけに、最近の円安・ユーロ高傾向には警戒心が強い。

 同国の中央銀行はインフレを嫌う保守的な金融政策を重視しており、円安への批判は「金融政策のスタンスの違いが背景にある」(財務省幹部)との見方もある。

 メルケル発言には、甘利明経済再生担当相も「(国際社会に)しっかり説明したい」と強調した。ただ、安倍晋三首相は衆院選中に「金融政策で円高是正するのは当然」などと金融緩和と円安を直接結びつける発言をしてきた経緯もあり、旗色は悪い。日銀が22日に発表した追加金融緩和を23日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「日本、通貨戦争で最初の一撃を発砲」と刺激的に伝えた。

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 ◇安倍政権の経済政策をめぐる発言

 <海外からの批判>

・ラガルドIMF専務理事

 「競争的な通貨の切り下げには反対」

・メルケル独首相

 「日本に関し、懸念がないわけではない」

・米自動車大手3社で構成する米自動車政策会議のブラント会長

 「近隣窮乏化政策で受け入れられない」

 <閣僚の反論>

・麻生太郎副総理兼財務相

 「為替操作という批判は全く当たらない」

・甘利明経済再生担当相

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