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 談論風発 :  竹島問題をめぐる言説/共有すべきは国内の認識
 島根県竹島問題研究顧問 藤井 賢二

 昨年8月の李明博(イミョンバク)韓国大統領の竹島上陸以後、初めての「竹島の日」(2月22日)が近づいてきた。竹島問題への日本国内の関心は高まりを見せており、竹島問題を解説する出版物も増えた。しかし、それらの言説には懸念されるものが多い。

 まず、歴史資料から竹島領有を主張する根拠について、日韓双方に疑問点があるとする言説がある。1696年の江戸幕府による渡航禁止は鬱陵島だけでなく竹島も含むとするもの、1877年に明治政府が出した「竹島外一島は本邦に関係なし」とした指令で竹島は日本領から除外されたとするもの、1905年の竹島の日本領土編入の際に「松島」と呼んでいた竹島を「竹島」と名付けたような島名の混乱を指摘するものなどである。

 しかし、これら日本側主張に対する疑問はすべて、竹島が韓国領であることの証拠にはならない。そして、古地図等で竹島が鮮明に記録されている日本と、竹島についての明確な記録のない韓国の主張を同等に扱うのはおかしい。百歩譲って日本の認識を「あいまい」としても韓国には認識自体がほとんど存在しない。この竹島認識の「相殺論」は日本の主張の根拠に疑問を抱かせて世論をミスリードしている。その結果、竹島を朝鮮の古文献にある「于山島」とする主張はさすがに維持できなくなっている韓国を助けているのである。

 次に、1905年の竹島の日本領土編入は1910年の日韓併合に至る日本の朝鮮半島侵略の第一歩であるという、歴史認識問題として竹島問題をとらえる韓国に同調する言説がある。しかし、そもそも竹島は朝鮮の領土ではなかったのであるから、竹島の日本領土編入は侵略ではない。当時の大韓帝国政府は竹島を自国領と認識していなかったため、日本への抗議はできたのにしなかったというのが実相である。

 一方で、韓国側主張に同調する論者たちは、現在の日本の領土を最終決定した1951年調印のサンフランシスコ平和条約については、無視、軽視、あるいは誤解を繰り返す。同年7月に韓国は竹島を日本が放棄することを対日講和条約に明記することを米国政府に要請した。これに対応して同年8月10日にラスク米国国務次官補から韓国政府へ伝達された書簡では韓国の領有権を明確に否定しており、竹島は対日講和条約において日本が放棄する島から除外されたのである。

 一部には、このラスク書簡における歴史認識の当否を問うために、1905年前後の竹島をめぐる状況の再検討を求める声があるが、これは竹島問題を歴史認識の文脈でとらえる韓国の主張に、結果的に同調するものである。

 そして見逃せないのが「竹島共有論」への誘導である。昨年9月に飛び出した橋下徹大阪市長の「竹島共同管理論」を擁護する雑誌記事などである。東京新聞とソウル新聞の昨年末の共同世論調査によれば、「竹島問題の解決には」という問いに、韓国人は8割近くが「日本が譲歩」と答えたのに対して、日本人の回答は「国際司法裁判所で決着」が47%、「双方が妥協して共同統治」が37%で「韓国が譲歩」は7%にすぎなかったという。

 しかし日本が共有すべきは竹島ではない。日本国内の竹島問題への認識こそ、共有すべきである。竹島は、前年の対米交渉に失敗したため1952年の李承晩ライン宣言で一方的に主権を主張するという、きわめて非常識な韓国の行動の末に占拠された日本の領土なのである。

…………………………

 ふじい・けんじ 兵庫県姫路市立姫路高校教諭。島根県吉賀町出身。専門は近現代日朝・日韓関係史。島根県第3期竹島問題研究会委員、島根県竹島問題研究顧問。

('13/02/16 無断転載禁止)

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