"客引き"横行、震える錦三

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客の奪い合い、バイト感覚も…

夜の錦三地区で増えているキャバクラなどの客引き=名古屋市中区で
夜の錦三地区で増えているキャバクラなどの客引き=名古屋市中区で

 中部地方最大の歓楽街、名古屋市中区の錦三(きんさん)地区で、キャバクラなど風俗店の客引きの多さが目に余り、通行人からの苦情や不安の声が相次いでいる。長引く不況で客の奪い合いが激しくなり、客引きに頼る店が増えている。紹介料などを稼ぐフリーの客引きも現れた。愛知県警は「街のイメージダウンにつながる」と警戒を強めている。

 「さあ、今夜はキャバクラ? 何をお探しですか」

 午後10時すぎの錦三のネオン街。黒ずくめの格好の客引きに呼ばれて足を止めると「うちにも」と5、6人に囲まれた。「1時間飲み放題、4000円。かわいい子がそろってますよ」。若い男性がまくしたてた。

 中署栄地区対策隊によると、錦三の客引きは週末の多い日で150〜200人。外国人によるフィリピンパブなどの客引きが多い中区栄四の女子大小路とは違い、キャバクラや性風俗店の日本人の客引きが大半を占める。

 交差点に群がって通行の妨げとなったり、みだらなサービスの内容を示すこともあり、「怖くて歩けない」「タクシーを降りたとたんに囲まれた」などの苦情が中署に寄せられる。客引きの違法駐車も目立つ。

 錦三の飲食店関係者の話では、特にリーマン・ショック以降は客足が落ち込み、客引きが激しくなっている。

 40代の飲食店長の男性は「店に来る前によその客引きに引っ張られ、新規客が取れない」と漏らし、「『それならうちも』と客引きを始める店が出てきて、さらに増えていく。このままでは街に物騒なイメージがつき、客が離れてしまう」と危機感を抱く。

 以前は店の周囲で従業員が呼び込みをするのが一般的だったが、最近は複数の店と契約した「フリー」と呼ばれる客引きが動き回っている。20ほどのグループが存在するとの情報もある。

 報酬は歩合制で客1人につき2000円程度の紹介料をもらったり、客が店で支払った金額の1割を受け取るなどシステムはさまざま。月に100万円以上を稼ぐ客引きもいるという。アルバイト感覚で、大学生らが週末に稼ぎに来ているケースも。

 県警幹部は「客引きビジネスが、暴力団の資金源に結び付いている可能性もある」と指摘。「地元からも対策を求められており、取り締まりたい」と話している。

◆「声掛け」で摘発困難

 風俗店への客引き行為は、一定の距離を付きまとうなどすれば、愛知県迷惑防止条例違反容疑などで現行犯逮捕できる。ただ、単なる声掛けにとどまる場合は取り締まる上で「客引き」と見なしにくく、摘発は難しいという。

 東京都や三重県など、客引きをする目的で街頭に立つなどの「客待ち行為」を迷惑防止条例で禁じている地域もある。違反者には中止命令を出し、従わなかった場合は摘発できる。

 愛知県条例には客待ち行為を禁じる規定はない。錦三地区の飲食店関係者からは、規制の強化を求める声も出ている。

 錦三地区には2600店の飲食店が集まり、うち風俗営業の許可を受けているクラブやキャバクラが1000店ある。

(2012年7月26日)

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