小津安二郎監督に捧げる作品『東京家族』/山田洋次監督

山田洋次監督流石!過ぎて感動してしまいました
映画館で涙がぼろぼろぼろぼろ止まらず呼吸すら苦しくなってしまう程
小津安二郎監督の「東京物語」に勝るとも劣らない素晴らしい映画でした
捧ぐというよりもこれは小津安二郎監督への愛の詰まった挑戦状にも見えて
言葉にならない想いを、考え方や自分のテーマを映画というかたちで
時代を超えてセッションしているような
こんな風にラブレターは送る事が出来るんだと知りました
きっと、根本的には同じなんだと思うのだけど
「東京物語」は孤独と戦っていくような無常感を感じたけど
「東京家族」はなんだか温かくて希望というか光というか
孤独は己の中だけにあって、家族の事を信じてる事が伝わってきた
何が素晴らしいって
なんてことは無い日常の中なのに
台詞ひとつで距離感や関係性を表現する演出が見事で
その人の背景や、考え方がそこに見えてくるんです
間合いや空気、演技に美術、どれを切り取っても
全て丁寧に想いや愛情を持って創っている事が解って
ワンカットワンカットにどれだけ命を吹き込んだ事だろう
これが映画だ
と何度も思わせてくれる感慨深い作品でした
これは小津安二郎作品「東京物語」にも言える事ですが
映画はドラマチックな事も事件もエンターテイメント性も無くとも
物語は立派になりたち、何度でも観たくなるし色々考えさせられる
日常は映画になるんだと気付かせて貰える
日常が映画であるとするならば
自分は今日という日を大切に生きる主人公なんだと思えてくるし
この物語をどうしていこうかと人生の脚本を描きたくなる
どんな人生も大切な物語なんだって事を教えてくれる作品に思え
大好きな映画となりました、役者さんたちの見事な演技にも感服です
そして何より嬉しかったのは
この作品を母と観にいけた事です
母は19歳で嫁いでから休みなく働いてきました
自営業なので休みはあって無いようなもの
お店自体も盆と正月以外は休みが無かったんですが
今年2013年より第2、4日曜日はお休みをとる事になりました
やっと休みが貰えるとウキウキしながら
最初の休みの日にゆっくりしていた母に
「次の休みは一緒に映画を見たい」と誘われ
「東京家族」を二人で観にいき映画館で親子で大号泣
そんなフフフとほほ笑むデート帰りの車内で母が言った言葉
「私、我儘も大事な事だと思うようになったわ。だって、
反発してでも自分らしく生きたいって思うから我儘って出てくるわけでしょ?
自分の考え方にそわない生き方したくないから、必死で抵抗してるって事でしょ?
何でも素直に言う事を聴いてしまうよりも自分の考えがあるって素敵な事よね。
我儘って、生きる事を大事にしてる、魅力的な個性だと思えたわ。
私ね、だから貴方の生き方って貴方にとっては正解だったと思うの。
ああしなさい、こうしなさいって型にはめようとした事もあったけど
反発してくれて良かったと思ってる。
貴方は自分らしく生きて。
貴方は貴方で私じゃない、私の理想の娘でいて欲しいというのは
自分にとって都合がいいだけって事だもの、それは愛じゃないものね。
あなたがどんな人生を送ろうとも、私は貴方の母なんだもの。
見放す事も、裏切る事もなく、私は母でいるんだと思った。」
私は母に色々不安や心配をかけてきたんだなと思いつつ
そんな母にありがとうと感謝しました
母とのデートは「東京家族」のおかげで
心にじんわり浸透する思い出になりました
娘は、貴方の子どもである事をいつも幸せに思います