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円安下の原油高騰に警戒を

2013/2/16付
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 原油価格が上昇している。有力産油国が集中する中東や北アフリカ地域の政情不安を材料に、ヘッジファンドなどが先物市場で原油を買い増しているためだ。為替の円高是正が進んだこともあり、政府や企業は原油価格の動向に警戒を強めるべきだ。

 ファンドなど投機家の買越量は、2~3カ月前の最も少なかった時期に比べ米国の原油先物が6割増え、欧州のブレント原油先物は4倍強に膨らんでいる。

 米国では景気の回復期待、日本でも企業業績の改善やデフレ脱却への期待感から投資資金が株式市場に流れ込む。だが、各国政府は、金融緩和であふれた資金が原油などにも流入しやすくなっていることに留意してほしい。

 とりわけ日本は原油など化石燃料のほとんどを輸入に頼る。火力発電燃料として需要が増えた液化天然ガス(LNG)は、原油価格に連動する調達契約が多く、原油高はLNG輸入額の増大を招く。

 原油とLNGを合わせた2012年の輸入額は18兆2千億円と11年に比べて13%増え、原油の国際価格が史上最高を記録した08年の20兆9千億円に近づいている。

 円高の是正は、自動車など日本の主力産業の輸出競争力を回復させる。円安と株高を見て、消費者心理も上向いている。

 ただ、化石燃料の輸入量が減らない限り、円安は所得の海外流出を増やす要因にもなる。ガソリンの小売価格は今週まで10週連続で上昇し、灯油は4年3カ月ぶりの高値にある。電気料金の大幅な引き上げとともに家計負担は増す。

 省エネの推進や火力発電所の効率化を進め、燃料の消費量を抑える対策は急務だ。企業などの自家発電設備にも効率化の視点は欠かせない。中東や北アフリカ以外にLNGの調達先を分散し、価格引き下げにつなげる努力も重要だ。

 家計の負担増が好転した消費者心理に水を差す前に、政府と企業が成長戦略を明確にし、景気をしっかりした回復軌道に乗せることが肝要だ。

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原油、ヘッジファンド、LNG、為替、原油価格

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