アジアの安全保障の情勢は厳しさを増している。日本はどうやって国益を守り、アジアの安定に貢献していくか。その処方箋を考えるとき、避けて通れないのが、集団的自衛権の議論である。
第1次安倍内閣が設けた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、このほど活動を再開した。集団的自衛権の行使に向けた具体策の検討を進め、安倍晋三首相に提言するという。
集団的自衛権とは、日本の同盟国などが攻撃されたとき、たとえ日本が直接攻撃されていなくても自国への武力行使とみなし、反撃する権利である。
日本はそうした権利を保有しているが、憲法解釈上、行使できないという立場をとっている。日米の安全保障協力や自衛隊の国際貢献にとって、この解釈が大きな制約になってきた。
日本の周辺では、さまざまな安全保障上の火種がくすぶっている。北朝鮮は核とミサイルの開発を加速し、挑発を強めている。尖閣諸島への中国の攻勢も止まる気配がない。
これらの危機に対応するため、日本は米国や他の友好国との安保協力を強めなければならない。集団的自衛権についても、行使に道を開くときだ。
議論の出発点になるのが、懇談会が2008年にまとめた報告書だ。この中で、弾道ミサイルが米国に向かうかもしれない場合や、公海上で共同行動している米艦船が攻撃された際には、日本としても集団的自衛権を行使し、対応すべきだと主張した。
妥当な提言といえよう。日本は防衛を米国に大きく頼っている。一緒に行動している米軍が攻撃されているのに、「憲法上の制約」を理由に自衛隊が傍観したら、どうなるか。日米同盟が破綻するだけでなく、日本は人道的にも国際社会から非難を浴びるにちがいない。
米国に向かいかねないミサイルを発見しながら、日本が何もしなかった場合も同様だろう。
ほかにも検討すべき事例はありそうだ。懇談会では今後、大規模テロやサイバー攻撃などについても取り上げていく方向という。
むろん、きちんとした歯止めが必要なことは言うまでもない。集団的自衛権の適用範囲や行使に際しての手続き、国会の関与などについて、法律で明確に定めなければならない。
安倍晋三、集団的自衛権、ミサイル
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