善光寺(長野市)の大勧進副住職の選任をめぐり、大勧進を支える25院で構成する同寺天台宗一山は14日、重要事項を決める「一山会議」を同寺事務局で開き、天台宗総本山の比叡山延暦寺(大津市)が推挙した副住職を断ることを決めた。複数の住職によると、出席者の意見が割れ、多数決で決定した。
昨年7月に大勧進の副住職2人のうち1人が辞任したため、一山は25院の全住職の署名を添えて同11月に延暦寺に後任の推挙を依頼した。同寺は昨年12月に慈光院(同)の栢木寛照(かやきかんしょう)住職(66)を推挙。だが、大勧進住職の小松玄澄貫主(げんちょうかんす)は延暦寺に推挙を断る文書を送る一方、大勧進幹部が横浜市の寺の住職(71)に副住職就任を打診している。
この日の一山会議に出席した住職らによると、延暦寺に依頼した経緯を重んじて推挙を受け入れるのが当然だという意見の一方、栢木住職の副住職就任に疑問を示す意見も出た。
取材に対し、25院を取りまとめる役職「一臈(ろう)僧」の小林玄海(げんかい)・長養院住職は「何もお話しできない」、大勧進の吉沢俊一執事は「一山からは何も聞いていない」と述べた。一方、延暦寺トップの武覚超(たけかくちょう)・執行(しぎょう)は「正式に(一山から)話を聞いておらず、コメントできない」としている。