5年前、稚内市で自殺した今野匠さん。高校生だった巧さんは自殺を図った日、学校で教師から3時間に及ぶ指導をうけていました。遺族は、行きすぎた指導が原因として、裁判を起こしその判決が言い渡されました。
(匠さんの父・今野勝也さん)「匠もお母さんも悔しい判断をいただいたと…ただただがっかりしている」
稚内市の今野勝也さんです。判決の内容にショックを隠しきれません。
2008年7月、稚内商工高校に通う今野さんの息子・匠さんが、自宅で首をつって自殺しました。自殺は、学校祭の期間中で、匠さんが同級生への不満を携帯サイトに書き込んだことに対し、教師が匠さんを指導をした直後の出来事でした。指導は、6人の教師によって、およそ3時間に及び、最終的に停学の処分が言い渡されました。
(勝也さん)「匠に何をしてくれたんだという思いだけ。どんな生徒指導の内容だったか」
匠くんが残した遺書です。荒々しい文字で書かれた「僕に停学は重すぎる」の言葉。「死ねと」「他の先生からはおまえは馬鹿かといわれました」
ノートには、指導の内容や停学処分に対するショックが書かれていました。
勝也さんはおととし、息子の死の真相を知りたいと、裁判をおこしました。不適切な発言や罵倒が、果たして教育と呼べるのかー。自殺は行きすぎた指導が原因だとして、およそ8700万円の損害賠償を求めたのです。しかしー
(田村記者)「道はこれまでの裁判で、匠くんの事情聴取の際に教師から不適切な発言はなかったなどとして、訴えを退けるように求めてきました」
また、当時インターネットを利用した事件が相次いでいて、重大性を認識させるには3時間の事情聴取も、必要だったと主張しました。そして、きょうの判決ー。札幌地裁は、教師の指導方法に不適切な面はあったとしながらも、違法性は無いとして、勝也さんらの訴えを退けました。
(勝也さん)「子どもって日本の宝です。私たちだけの宝じゃないんです。守ってあげなきゃ、いい方向に向かわせてあげなきゃ・・・大人の責任だと思います」
裁判所の判断は、教育のあり方についてまで、十分に議論されていないとして、弁護側は、控訴を検討したいと話しています。
(2013年2月15日(金)「どさんこワイド179」) |