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衝突は?小惑星が地球に大接近!
2月15日 11時55分
16日の早朝、直径45メートルほどの小惑星が地球に大接近します。
ぶつかる心配はないのでしょうか。
日本で見ることはできるのでしょうか。
科学文化部の田辺幹夫記者が解説します。
衝突の危険は?
今回、大接近する小惑星、名前は「2012DA14」です。
去年、スペインの天文台によって発見され、直径およそ45メートル、重さは13万トンほどあるとみられています。
NASA(=アメリカ航空宇宙局)によりますと、この小惑星は、太陽の周りをほぼ1年間で1周しています。
これまでに綿密な計算が行われた結果、地球と衝突する心配はないことが明らかになっています。
気象衛星より近くに
とはいえ、最も近づく日本時間2月16日午前4時25分ごろの距離はおよそ2万7700キロ。
地球を回る気象衛星が飛んでいるのが高度3万5800キロですから、小惑星はこれよりも地球に近い場所を通りすぎることになります。
ちなみに、宇宙飛行士が滞在している国際宇宙ステーションは、上空およそ400キロで、これよりはるかに遠い場所を通過するため、影響はないということです。
通過するときは、秒速7.8キロ、時速2万8000キロという猛スピードで地球に近づき、そして、離れていきます。
1200年に1度は衝突も
NASAによりますと今回と同じぐらいのサイズの小惑星が、同様の距離まで地球に近づくことは、40年に1度ほどのペースで起きています。
そして、およそ1200年に1度は、地球に衝突しているとみられます。
今回の小惑星が地球にぶつかることはありませんが、仮に衝突した場合、どれほどの被害が考えられるのでしょうか。
国立天文台の渡部潤一副台長は、今から100年余り前の1908年、ロシアのシベリアで起きた「ツングースカの大爆発」を例に説明します。
このときは、今回とほぼ同じ大きさの小惑星が大気圏に突入し、上空で大爆発を起こしたと考えられていて、その結果、半径20キロに渡って森林の木々がなぎ倒される被害が出たということです。
渡部副台長は、「『ツングースカの大爆発』は、人がほとんど住んでいない場所で起き、大惨事にはならなかった。東京のような人口密集地に衝突すれば大変なことになるが、幸い、これまでに見つかっている小惑星の中に、地球と衝突しそうなものはない」と説明します。
双眼鏡があれば
さて、今回の小惑星ですが日本で見ることはできるのでしょうか。
国立天文台によりますと、この小惑星、最も輝くときでも明るさは7等星ほどのため、肉眼で見ることは難しいということです。
でも、双眼鏡や望遠鏡を使えば、見ることができます。
日本では、16日の午前4時ごろから夜が明けるまでの間、南西から西の空に向けて1分間に月2つ分ほどのスピードで上っていく小惑星が見えます。
このスピード、夜空の星が動くのに比べるとずっと速いので、じっくり観測すれば、小さな光の点が星の間をゆっくりと動いていく様子が見えるということです。
国立天文台の渡部副台長は、「これほどの大きさの小惑星がこの距離まで近づくことは非常に珍しく、研究上も非常に貴重なチャンスだ。空が暗いところなら、双眼鏡や望遠鏡があれば見えるので、宇宙がダイナミックに動いていることを感じてもらいたい」と話していました。
ただ、その前に条件が。
小惑星を観測するためには、空が晴れていることが必要です。
何とか晴れるよう、星に願いながら、明け方を待ってみるのもいいかもしれません。