ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
特集 Biz.China 中国ビジネス最前線
China Report 中国は今
【第119回】 2013年2月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
姫田小夏 [ジャーナリスト]

反日デモでイトーヨーカ堂が
ほとんど無傷だった理由

previous page
5
nextpage

 成都の店舗は開店当時、まったく鳴かず飛ばずだった。2年も続いたこの苦戦時代を、自ら店頭に立って奮闘する。開店と閉店の1日2回、必ず店頭に立って「いらっしゃいませ」と頭を下げるその姿に「総経理自らそんなことするのかね?」と中国人客は驚いた。中国人の総経理といえば「仕事をしない」のがステレオタイプだからだ。

 「顧客目線の、中国人目線の総経理」――そんな噂が噂を呼び、成都の副市長が直々に麦倉さんに会いに来たことも。「あなたの会社を応援しましょう」というお墨付きを与えられることにもなった。

 2012年、中国イトーヨーカ堂全体の売上げは80億元(日本円にして960億円)に達した。中国小売業界では16位にランキングされる勢いだ。中でも成都2号店は、日本の店舗を含めた全店のなかでダントツの売上220億円を誇る。

 そんな好業績と、麦倉さんはじめ現地に張り付いて頑張った日本人がいたことは、決して無関係ではない。

リスク承知でやり続けるのか

 中国で反日デモは、過去に3回発生したが、尖閣諸島国有化を発端にした直近の反日デモは、史上最悪の日中関係にまで陥り、ついに「一触即発」という可能性まで取り沙汰されるようになった。少なからずこうした機運は、中国の日系企業に深刻な影を落としている。

 いつまた「反日」が再燃し、抗議デモに火が点きかねないビジネス環境の中で、日本企業は事業を継続する意味があるのだろうか。

 筆者のそんな問いに麦倉さんは次のように答えた。

previous page
5
nextpage
特集 Biz.China 中国ビジネス最前線
ダイヤモンド・オンライン 関連記事

DOLSpecial

underline
昨日のランキング
直近1時間のランキング

話題の記事

姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。


China Report 中国は今

ビジネス・流行・社会問題など、日本人にとって無関心ではいられない中国の最新動向を追う。長年、上海において現地の日本人社会、日本人のビジネスに警鐘を鳴らし続けてきたジャーナリストによるレポート。

「China Report 中国は今」

⇒バックナンバー一覧