恐るべし「おっとい嫁じょ」

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著名な判例誌である判例時報190号21頁には、昭和34年6月19日の鹿児島地裁が出した特異な判決が紹介されている。 この事件は鹿児島のある村の青年が16歳の女性に結婚を申し込んで拒絶されたが、諦め切れず、従兄と叔父に謀議した結果、女性を誘拐して、結婚を承諾させることにした。そして、通学中の女性を計画通り拉致し、従兄と叔父も加わって三人で馬小屋において無理やり姦淫した。それを知った青年の両親は、青年と一緒になって喜んだという。 当然、青年は警察に逮捕され誘拐と強姦の罪で裁判にかけられるが、弁護人はこの地方には婚姻に同意しない婦女を承諾させるため、その婦女を強いて姦淫する「おっとい嫁じょ」と呼ばれる慣習があり、被告人はこの慣習に従って行為に及んだもので、違法性の認識を欠き故意がないと、無罪を主張したのである。また、村も全村民の署名を集め彼の無罪を嘆願したのである。 青年の母親もまた家族と食事中に青年の父親に拉致され強姦されそのまま結婚したのだった。 |