14日午後4時25分ごろ、大阪府大東市野崎1丁目のJR学研都市線野崎駅で、市内に住む市立小学校5年の男子児童(11)が、ホームを通過中の同志社前発宝塚行き下り快速電車(7両編成)に飛び込み、死亡した。遺書のようなメモが残されていたことから、府警は自殺とみている。メモでは、男児の通う小学校の統廃合の撤回を求めていた。
四條畷署などによると、電車の運転士は、ホームの約100メートル手前で、男児が飛び込むのに気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。ホームには男児のリュックサックがあり、遺書らしき紙1枚のメモは、リュックの近くに置かれていた。メモの末尾に「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」と記されていた。男児は小学校を終え、学習塾に向かう途中だったとみられる。
大東市教委によると、市内の小学校3校が新年度から二つの小学校に再編され、男児の通う小学校は閉校になることが決まっていた。少子化にともなう児童の減少に対応するため。17日が閉校式の予定だったが、今回の事態を受けて延期するという。
親族によると、男児は1年ほど前から、学校をつぶさないで、などと訴える作文を書いたりしていた。12日に閉校式の予行演習があり、「とてもつらかったようだ」と話す。男児は14日には、統廃合について賛否を尋ねる聞き取り調査を、クラス内で自ら実施したという。
自殺直前の午後4時23分、男児は「今まで、ありがとう」というタイトルで、家族の携帯電話にメールを送っていた。「みーんな大・大・だあい好き」と記されていたという。
男児の父親(49)は朝日新聞の取材に、「突然のことで、僕らが受け止められなかったことに悔いている。もっと子どもの意見を聞いて(統廃合の議論を)進めてほしかった。親も含めて、もっともっと話を聞いてあげないといけなかった。世の中を変えるには、死ねばいいと子どもたちに思って欲しくない。生きて世の中を変えると強く思って欲しい」と話した。