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0話
「zzz……。う、うるさい…」

ジリジリとうるさく鳴って朝の訪れを告げる非情な存在、その名も『目覚まし時計』。
手に怒りを込めて叩くように止めると、のそのそとベッドから身を起こす。

「…よし、着替えるか」

ベッドに残っている微かな温もりが惜しかったけれど、その誘惑をなんとか断ち切ってクローゼットの扉を開ける。
そして、は中学校の女子用・・・制服に手を伸ばした。

…。

………。

……………。

何か俺のことを勘違いしている奴らが一気に増えた感じがするのでここらで自己紹介を。

俺の名前は、”さくら 莉那りな”。
『転生』というものを体験した元・男子高校生、現・女子中学生である。

どうして俺が性別を変えられて『転生』しているのかというと、どうも自称・神様の気まぐれらしかった。
というのも、俺が不慮の事故で死んで神様に会ったとき、ちょうどその神様は『転生』を題材にした漫画やゲームにハマっていたらしく、「自分も誰か人を『転生』させてみたい」とか言い始めて、タイミング悪く目の前に現れてしまった俺が実験台にさせられたのだ。
その際に、「漫画の中の神なんかに負けてたまるか。そうだ、こいつの性別も変えてやればいいんじゃね?」と架空の神様に対抗意識を燃やし始め、俺を新しい姿、”桜 莉那”として『転生』させた、というのが一連の流れだ。

最初の頃はパニックになり、幾度となく家族に迷惑をかけてきたが、今ではさすがに『女』として14年間も生きてきたので、今では女性思考には大分慣れてきている。
ただ1つだけ分からないのが、『恋愛』についてだ。”男”を見ても”女”を見てもいまいちピンと来ないのだ。
まあ、いざとなったら将来は1人でも構わないという考えなので、あまり気にはしていない。

「莉那~? 起きてる~? 朝ごはんできたわよ~」

1人で色々と考えに耽っていると、長女の間延びした声が聞こえてきた。

「起きてるよ、今行くから~」

黒髪を適当にツインテールにして纏め全身鏡で制服の着乱れがないか確かめると、カバンを手にぶら下げて部屋を後にした。


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