大きな身ぶりで選手に指示を出すストイコビッチ監督(中)=タイ・チェンマイで(佐伯友章撮影)
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【チェンマイ(タイ)木村尚公】名古屋グランパスは14日、10日間にわたるチェンマイでのキャンプを打ち上げた。ドラガン・ストイコビッチ監督(47)は今キャンプで重点を置いた3バックは豊富なセンターバックを有効活用する策だと説明し「現時点ではこれでいける」と基本戦術に採用する考えを示した。グランパスは16日のトヨタプレミアカップ・ブリラム戦に備え、15日にバンコクへ移動する。
初めてのチェンマイ・キャンプをストイコビッチ監督は「パーフェクト」と総括した。「フィジカル的にも鍛えられたし、戦術練習もできた。内容には満足している」。練習や試合の間はついに一滴の雨も降らなかった。予定のプログラムを完全に遂行した事実が、指揮官のほおを緩ませた。
キャンプの肝は最終ラインを3人にする「3バック」だった。ピクシーのこれまでの基本布陣は「4バック」。昨季一時的に導入した3バックは結局“失敗作”に終わっていたが、キャンプでは4バックを一度も練習することなく、3バックの熟成を深めることに集中的に時間が割かれた。
大きな変化の理由の一つは4人のレギュラークラスがそろうセンターバックの層の厚さだ。ピクシーは「闘莉王、増川、ダニエルに加え、将来有望な牟田もいる。4バックなら2人しか起用できないが、3バックなら3人を同時起用できる」。優れたタレントを効果的に起用できるシステムが3バックだと言う。
守備が崩壊した昨季の反省もピクシーの頭にはある。「ロスタイムの失点で、川に捨てるように勝ち点を失った。何かを変えないといけない。昨季のG大阪は守備がひどいばかりに、高い代償を支払った(J2降格)」と力説した。
ピクシーは守備の際に両サイドハーフが下がって守ることを要求しており、3バックは状況に応じて4バックにも5バックにもなる。3人のDFは高さがあり、セットプレーには相当強い。守備強化にも3バックが有効だと指揮官はみている。
「昨年は3バックの信用性が低かったが、今年は違う。現時点ではこれでいけると思う」。炎天下のチェンマイでピクシーが心血を注いで築き上げた新しいサッカーが、V奪回の切り札になる。
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