INTERVIEW EXCLUSIVE SHU TORANO
Traduction japonaise : Harumi SUZUKI
トラノ シュウは明らかに、非日常の世界に「取り付かれた」
アーティストである。
日本社会のすり傷や引っかき傷から抜け出す彼のデジタルパレット。
描き出される幼い顔立ち、ぐにゃっとした身体、それらの作品は、何を思われてもいいから存在したいのだ。
トラノ シュウの作風は尖っていて、それはまるで普段主張出来ないものを訴えているようである…。
とある日の午後、新宿駅にて。多数に広がる駅構内の地下はまるで世界中が集結したかのよう…。どこを見ても人の波、波…、歩けばすれ違う人とぶつかってしまう。ここでの待ち合わせには携帯電話が必需品である…。
トラノシュウはイラストレーター。絵を描き、パソコンを用いてイラストも作る。大人しく物静かそうな外見とは対照的に、彼の作品はとんがっていて火花が散るようである。
ダニエル(以下D):あなたは何者でしょうか?単にイラストレーターであるだけでしょうか?
トラノ(以下T):何よりもまず、僕は作品を通して人間の本質や人間性をどう表現するか、捜し求めています。
D :あなたはアーティストとして、自分の人生は他人と少しずれていると感じる事はありますか?周りの人とあなたの行き方に違いはありますか?自分の人生は周りから孤立していると思った事はありますか?
T:違いがあるとすれば、表現するかしないか、だけで僕の人生はノーマルだと思いますよ。他の人も実はみんなアーティストなんじゃないでしょうか。表現する事って沢山ありますよね!僕と周りの人達の人生に大きな差はないと思いま
す。と言うか、僕にとって周りはあまり重要ではないと言うか…
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D :周りは重要ではない…あなただけの世界、という意味ですか?
T :日常生活の中で、例えば道を歩いていても大学にいても、自分は常にアーティストであって、そこに何の不思議も感じません。人は人だから、それと共に自然に生きていくだけ。
D :今と違う人生を生きなくてはならなくなったと想像して下さい。あなたはそれを恐れますか?例えば会社勤めを始めなくてはならなくなり、拒否する選択の余地もない場合などです。
T:僕にとって創造や表現とは人生そのもの、自分を構成するものです。それが出来なくなるという事は…自分自身でいられないという事。毎日会社勤めをする自分は想像も付きませんね。仕事ばかりで創造する自由を奪われて生きるなんて、恐ろしくてイメージ出来ないという感じ。僕には不可能です。
D :恐ろしい?何が恐ろしいのですか?
T:そんな人生は悲しいだろうなと思うと怖いのです。僕には創造し続ける事が必要なのです。自分の奥底にあるものを表現する事が。
D :ところであなたは、人々はみな心の奥深くに夢を持っていて、それを実現するために生きていると思いますか?
T :そうですね、夢はみんな持っていると思います。でも多くの人はあれこれやりたい人が多いですね、転職したいとか職種を変えてみようとか…僕の考えでは、実は「1つだけ、真の夢」を持っている人は少ないんじゃないかと思うんです。
D :彼らが追っているものは夢ではなく欲望、という意味ですか?
T :はい、欲を追って生きている人が多いんじゃないでしょうか。夢と欲望には違いがあります。説明するのはちょっと難しいんですが…夢とは(欲望よりも)何かもっと純粋で深いものだと思うんです。夢が見える。その夢に向って進んで行き、進むに従って夢そのものもまた変化していくと言うか。
D :あなたにとって、アーティストとは何でしょう?
T :創造すること、それがアーティストの定義でしょう。
そう言うとトラノは「思う」「感じる」「見る」と紙に記し、3つの矢印を「創造」へ向って伸ばした。
T :どんな方法であれ、思ったことや感じた事、見たことを表現し出した時点で人はみなアーティストであると僕は思います。
D :という事はみなアーティストになれると?
T :表現する方法を自分で見つけた時点で。
D :でも、多くの人は自分の感性を表現出来たとしても、常にそればかりというわけには行きませんね。彼らは時々アーティストになれる、というわけでしょうか…。
T :会社や工場などで仕事をしている人でも、家に帰れば、たとえ短い間でもアーティストになる事が可能でしょう。私自身も工場で働いた事がありますから、経験があります。
D :あなたの絵やイラストを見た人々の頭の中に、何か変化を起こさせたいと思うことはありますか?彼らの想像力に影響を与えたいと思うことは?
T :何よりもまず僕は自分のため、創造する事が必要だから描いています。見てもらうために描いているのではないのです。でも、もし自分の作品が人々に影響を与えたら、嬉しいでしょうね。
D :作品が人々に影響を与えると嬉しい、とは?もう少し言い換えると?どんな意味になるのでしょう?例えば、もっと楽しくなってもらえたら…そう言った意味でしょうか?
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T :たとえ僕の作品を見ても楽しくなくても、その逆にポジティブな影響でも、ひょっとして恐れを感じたとしても、それぞれ大事で素敵なことですね。
D :関心がないよりも、まず何かを感じてもらう事が重要なのですね。 人々を目覚めさせたい、と言った感じでしょうか?
T :もしも、僕の作品が人々に何かを目覚めさせたとしたら…それが夢であっても欲望であっても、僕は満足です。
D :ところでここ東京は騒々しく常にネオンが輝いていますね。作品を創造する時もっと静かな環境が必要ではありませんか?常に騒音に囲まれて、辛くありませんか?
T :僕にとって東京は生まれ育った場所です。騒音、音楽、ネオンは僕には創造の妨げにはなりませんよ。むしろそれらが必要なくらい。
D :でも、アーティストではない人々には?
T :多くの日本人は騒音の中で生活していて、それが普通なので東京に住む事は難しくありませんよ。
D :東京を離れて、田舎に住みたいとは思いませんか?
T :僕にとって創造したり表現するのに最適な場所は、ここ東京です。でもイマジネーションを充電するのには自然も必要ですね。
東京にいれば沢山の出会いがあります、例えばダニエルさんと出会ったように!もし他の場所に住めば出会いも減るでしょうし、重要な展示の機会も減ってしまうでしょう。
TRADUCTION JAPONAISE :
HARUMI SUZUKI
La rencontre avec TORANO SHU s’est déroulée
à SHINJUKU le 01/03/2007.
L’entretien a été enregistré en français avec
la traduction de KUNIHIKO TAKANO,
Le texte présenté sur le site a été entièrement
re-traduit en japonais par HARUMI SUZUKI
et validé par l’artiste.
Les dessins présentés sont la propriété de
Shu TORANO