容疑者は地元の有名人、２年前に映画主演…グアム無差別殺傷事件

　米領グアムの繁華街タモンで１２日午後１０時（日本時間同９時）すぎ、若い男が車で通行人６人をはねた後、ナイフで多数の人々を無差別に襲い、日本人女性２人を刺殺した。地元警察は、殺人や傷害などの容疑でチャド・ライアン・デソト容疑者（２１）を逮捕。日本外務省によると、死亡した２人のほか、負傷者には日本人１１人が含まれている。常夏の身近なリゾート地での惨劇に、日本人観光客らは声を震わせた。

　グアムの無差別殺傷事件で逮捕されたチャド・ライアン・デソト容疑者は、２０１１年に高校生が製作した映画に主演するなど、地元では有名人だった。この主演映画は、グアムの映画祭で作品賞も受賞していた。

　容疑者が主演したのは、地元のＪＦＫハイスクールの学生が自主製作した青春映画「ｉ　Ｈｅａｒｔ　ＧＵ」。同高校に通っていた容疑者は、夢を追うためにグアム島を出るかどうか悩む主人公ハイデンを演じた。共演者の中には、日本人女性らしい名前もある。

　作品は同年のグアム国際映画祭に出品され、マリアナ諸島製作部門で作品賞を受賞するなど、高い評価を受けた。容疑者は、出品時に地元メディアの取材に応え「映画に取り組むことはハードだったが、やりがいがあった。誰もが、高校生の間に映画を作る幸運に恵まれるわけじゃない。全力で演じたよ」と誇らしげに話している。

　役者だけではなく音楽エンジニアとしても活動。動画投稿サイトには、容疑者か仲間たちが投稿したとみられるプロモーションビデオ風動画も複数、残されていた。

　「私たちの知っているチャドはおおらかで才能豊かだった。なぜこんな悲劇を生んでしまったのか」。映画製作に関わった一人は、事件を受けて声明を出し「昨年以来（容疑者と）接点はなく、この間彼に何があったのかは分からない」とした。容疑者が高校を留年して同じ学年で学んだかつての級友の女性（１９）は、高校卒業後に「（最近）マリフアナを売っているんだ」と打ち明けられていたという。

　地元メディアによると、デソト容疑者はグアムで母親と暮らしていた。地元関係者によると、容疑者は最近、事件現場近くのホテルを解雇されたとの情報がある。捜査当局によると、女友達と別れたとの情報もあり、事件と関係があるかどうか詳しく調べ動機を追及している。

（2013年2月14日06時04分スポーツ報知）