メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

話題のキーワード

2013年2月15日(金)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

景気復調―「円安頼み」を超えねば

日銀がきのう、景気判断を上方修正した。昨年10〜12月期の実質成長率は小幅なマイナスだったが、むしろ景気後退が「ミニ」だったことを裏付けた。世界経済の緩やかな復調に、ア[記事全文]

TPP交渉―主体的に関わってこそ

米国と欧州連合(EU)が、自由貿易協定(FTA)に向けて協議を始める。世界貿易機関(WTO)を舞台にした多国間交渉が暗礁に乗り上げた後、さまざまな国や地域が、FTAや、[記事全文]

景気復調―「円安頼み」を超えねば

 日銀がきのう、景気判断を上方修正した。昨年10〜12月期の実質成長率は小幅なマイナスだったが、むしろ景気後退が「ミニ」だったことを裏付けた。

 世界経済の緩やかな復調に、アベノミクスへの期待が重なって円安・株高をもたらし、ムードを改善している。

 気がかりは、株高が円安に依存していることだ。

 円安は輸入産業や消費者を圧迫する面もある。閣僚がこの点に言及すると、円高→株安の逆回転が起き、慌てて口先介入や日銀への緩和圧力に走る光景が目につく。

 海外では日本の円安誘導への警戒感が募っている。

 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が通貨安競争の回避を確認したのに続き、週末にモスクワで開かれるG20会議の共同声明にも、同じ趣旨が盛り込まれる見通しだ。

 アベノミクスに理解を示す国々も、「3本目の矢」である構造改革で内実ある景気回復を図るという日本政府の言葉に期待しているにすぎない。

 設備や研究開発への投資、何より消費の底上げで内需を拡大し、世界経済に貢献する覚悟が日本に問われている。

 株高にわく民間企業は成長への行動に踏み出すときだ。

 上昇相場に後から加わった外国人投資家らは高い収益を求めてくる。賃金の抑制で利益を出す発想では、戦後最長の景気でもデフレから脱却できなかった失敗を繰り返すことになる。

 新たな成長の展望を開くのは個々の企業だが、消費の拡大には、成長の恩恵が国民にひろく行き渡るという期待感を高めることが欠かせない。

 デフレ圧力が働くのは、先進国で日本だけ賃金の減少が慢性化していることが大きい。賃金が減るまま円安ばかり進めば、「為替操作だ」といった海外からの批判にも抗弁しにくい。

 折しも春闘は、大手の組合が経営側に要求書を提出し、本番に入った。安倍首相はこれに合わせ、経済3団体に異例の賃上げ要請を行った。

 経済界は賞与の積み増しでは軟化しつつある。だが、賃金デフレの主因は賞与がもらえない非正規労働者の激増だという事実から目を背けるような姿勢はおかしい。

 むろん、グローバル競争のなかで、単純な横並び賃上げ方式には戻れない。正規と非正規の格差を是正しつつ、経済をどう活性化していくか。労使の工夫を政府が政策的に後押しして、成長と賃上げの好循環を生み出さなければならない。

検索フォーム

TPP交渉―主体的に関わってこそ

 米国と欧州連合(EU)が、自由貿易協定(FTA)に向けて協議を始める。

 世界貿易機関(WTO)を舞台にした多国間交渉が暗礁に乗り上げた後、さまざまな国や地域が、FTAや、より幅広い経済連携協定(EPA)の交渉を進めている。

 合わせて世界の国内総生産の5割を占める米国とEUの動きは、通商ルール作りを両者が主導し、「世界標準」を決めてしまおうという狙いだろう。

 世界3位の経済大国として、海外との通商を基盤に発展してきた国として、日本はこの流れにどうかかわっていけるか。

 EUとの間では、近くEPA交渉に入る。米国と向き合う場は、環太平洋経済連携協定(TPP)である。

 まもなく日米首脳会談が開かれる。絶好の機会ではないか。安倍首相は交渉への参加を表明すべきだ。

 当事者となってTPPの実態をつかみ、わが国の利害を反映させる。農産物などの関税引き下げに加え、サービスや投資など20を超える交渉分野全体で利害得失を見極め、実際に加わるかどうかを決める。

 これが基本だ。恐らく、首相もわかっているのだろう。

 ところが、総選挙で自民党が掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」という公約に沿って、オバマ米大統領との会談で自ら感触を得た上で判断する、と繰り返している。

 農協はTPPに猛反対している。夏の参院選で農業票を失いたくない。オバマ氏から何らかの発言を引き出し、農業関係者への説明に使いたい――。首相の狙いはこんなところか。

 TPPは、関税交渉では「全ての品目を対象にする」のが原則だ。ただ、「完全撤廃」とは限らない。

 当の米国が、豪州と締結したFTAで砂糖の輸入関税を残すことになっているのを踏まえ、「TPPでは再交渉しない」としているのが好例だ。

 昨年秋からTPP交渉に加わったカナダは鶏肉や乳製品の農家を関税などで保護している。かつてこの仕組みの維持を前提に交渉への参加を模索したが果たせず、「すべてを交渉のテーブルに乗せるが、譲歩すると約束したわけではない」との姿勢に転じ、認められたという。

 交渉の現状を見すえつつ、あとは自らの交渉力次第、ということである。

 首相は、オバマ氏の言質を取ろうと躍起になるより、新たなルール作りに主体的にかかわっていくべきではないか。

検索フォーム

注目コンテンツ

  • ショッピング歩くだけで筋力UP!

    日常をトレーニングに

  • ブック・アサヒ・コム本上まなみさんが娘と読む本

    ケイゾウさんは四月がきらいです。

  • 【&M】きょうは、何の日?

    美人と一緒なら、毎日が特別な1日

  • 【&w】世界に一つだけの花束を贈る

    「物語を贈ろう」

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014