ニューヨークにあるS&Pの親会社、マグロウヒルの本社。敗訴すれば事業継続が困難とみられている(ブルームバーグ)【拡大】
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の行為が詐欺に当たるとして50億ドル(約4670億円)以上の支払いを求める訴えを起こした米司法省は13日までに勝訴できるとの見通しを明らかにした。「AAA」という神聖な格付けを装った金融詐欺を追及するオバマ政権の4年間の取り組みは、これによってクライマックスを迎える。
司法省が起こした連邦訴訟は、破綻したモーゲージ債商品のケースをモデルにしている。鉛から金を生み出そうとした中世の疑似科学になぞらえて「アルケミー(錬金術)」と呼ばれた調査には、20人余りの法律専門家が動員された。
オバマ大統領は09年からこの問題が米経済を破綻の瀬戸際に追い込んだと非難し続けているが、これらの法律専門家は、3000万もの文書を検証し、協力的な証人を探し当てた結果、法廷で勝利する証拠が得られたとしている。
米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の共同起草者の1人であるバーニー・フランク元下院議員(民主、マサチューセッツ州)は電話インタビューで、「金融危機に対処する取り組みにおいて、われわれは最初から格付け会社をリストの上位に置いていた。法制化の過程では、格付け会社の規制に向けて考えられるあらゆる手を尽くした」と述べた。
S&Pの親会社である米マグロウヒルの株式時価総額は、司法省の提訴が明らかになってからこれまでに39億ドル余り失われ、社債利回りも11年3月以来の水準に上昇しており、事業の存続が危ぶまれている。(ブルームバーグ Phil Mattingly)