社員権詐欺容疑3人逮捕 17都県、2億6千万円被害
(2013/2/13 15:05) 営業実体のない合同会社「ユニバーサルタイヨウ」の有価証券「社員権」購入を名目に現金をだまし取る組織的詐欺事件で、富士宮、大仁、静岡南、沼津各署と県警捜査2課は13日午前、組織内の幹部グループを摘発し、都内の32〜42歳の男3人を逮捕した。この組織による被害は県内を含む全国17都県に及び、少なくとも約50人から計2億6千万円を詐取しているとみられる。捜査関係者への取材で分かった。
県警はこれまでに現金受け取り役やユニバーサルタイヨウの社員役など男9人を同容疑などで逮捕している。捜査関係者によると、組織内には2つのグループが存在し、役割分担して巧みに高齢者から現金をだまし取っていたという。県警は都内の関係先の家宅捜索を始め、資料などを押収して組織の全容解明を進める。
3人の逮捕容疑は仲間数人と共謀して2012年1月、三重県内の70代の女性に架空の社員権購入話を持ち掛け、100万円をだまし取った疑い。
県警によると、組織がユニバーサルタイヨウの社員権購入を募集しているように装った虚偽のパンフレットを高齢者宅に送付。後日、証券会社の社員や医者などを装ったメンバーが電話を掛け「パンフレットが送られた人しか購入権がない。代わりに購入してくれれば謝礼を支払う」などと社員権の代理購入を依頼したという。
高齢者がユニバーサルタイヨウに電話で社員権の購入を申し込むと、社員役の共犯が「すぐに手付金を支払ってもらわないと契約が流れる」などと畳みかけていた。現金は受け取り役のメンバーが直接受け取っていたという。
班分けて役割分担
「ユニバーサルタイヨウ」の社員権購入名目の詐欺事件で、県警が13日午前に摘発したのは、電話で被害者の購買意欲を駆り立てる「あおり」担当や、だまし方の指南役らによる幹部グループ。捜査関係者によると、ユニバーサルタイヨウ社員役や現金受け取り役の末端メンバーのグループとの接点を避けるなど、捜査の手が自分たちに及ばないようにしていたという。
捜査関係者によると、組織内で末端グループは「A班」、幹部グループは「B班」と呼ばれていた。B班は、被害者と顔を合わせ、逮捕のリスクが高いA班とは専用の携帯電話でのみ連絡を取り、B班のメンバーを名前でなく番号で呼ばせていた。A班には「B班の存在を言わなければ警察に逮捕されない」などと入れ知恵して幹部の存在や身元の隠蔽(いんぺい)も図っていたという。
B班はパンフレットを送付した高齢者宅に電話を掛け、社員権の代理購入を依頼。「必ず価値が上がる。謝礼を払う」などとあおっていた。
パンフレットも手が込んでいて、犯罪組織が作成したようには見えないつくり。法人登記した場所にユニバーサルタイヨウの看板を掲げて事務所を構えるなどして信じ込ませていたという。
容疑者の自宅捜索
東京都品川区中延にある詐欺グループの幹部の自宅周辺には午前7時すぎから捜査員4、5人が集まった。同8時40分ごろ、3階建ての建物に入り、2時間半ほどたった後、関係資料が入ったとみられる段ボール箱などを手に、横付けにした捜査車両に乗り込んだ。
自宅は幹線道路から少し入った閑静な住宅街の一角にあり、通勤などで通行する人たちが様子をうかがう姿も見られた。
段ボール箱を運び出す捜査員=13日午前11時15分ごろ、東京都品川区中延(写真の一部を加工しています) |