中国

中国が環境対策に本腰を入れない理由

深刻な大気汚染も飢え死によりはマシ?

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 罰金やお目こぼし料、中には環境局長が親族にコンサルを経営させ、摘発を免れる「コンサルタント料」など、中国の環境対策はほぼすべてが「金銭による解決」にとどまっている。

 果たして中国は、日本が歩んだ道をなぞることができるだろうか。

国民の意識の高まりに期待

 ただ、1つだけ期待できるものがあるとすれば、それは環境に対する「国民の意識の高まり」だ。

 中国国民はこれまで、環境問題の解決はまったくの国任せだった。環境や省エネ問題は「政府や企業が行うべきもの」という認識が強く、「個人の行動の重みと意義」に心を向けることはなかった。

 しかしここに来て、中国各地で抗議活動が増えてきている。過激な抗議活動のやり方は必ずしも支持できたものではないが、「環境問題は自分たちの手で」という意識は少しずつ高まってきているのだ。

 「万博世代」にも期待したい。上海万博には多くの若者がボランティアとして参加し、環境対策や社会貢献の意義を学んでいる。彼らは市民を動かす力を備えていると言ってもいいだろう。

 「日本がそうだったように、中国も国民が訴訟を繰り返せば変わる」――中国問題の専門家はこう唱える。確かに、日本の近代工業の発展は、住民の反対運動を受けて、社会と共存する方法を模索する歴史だったとも言える。

 現状では“民意不在”の中国がどこまで抜本的な改革を行えるかは未知数だと言わざるを得ない。だが、少なくとも隣国日本にはそのヒントがたくさんある。大気に国境はない。日中間で政府、企業、市民レベルの互恵的交流をこれまで以上に促進し、「環境意識」を高めてもらいたいものだ。

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