薬ネット販売のルール検討開始2月14日 17時57分
インターネットを使った市販薬の販売が、最高裁判所の判決で事実上解禁されたことを受けて、ネット販売での新たな安全対策のルールを作ろうと、厚生労働省の検討会が14日から始まりました。
インターネットを使った市販薬の販売は、これまで一部の薬を除いて一律に禁止されていましたが、先月、最高裁判所が「国の規制は無効だ」という判決を言い渡し、事実上解禁されました。
これを受けて厚生労働省は、ネット販売での新たな安全対策のルールを作ろうと、ネット販売の業者や消費者団体、それに有識者などを集め、14日から検討を始めました。
会合ではまず田村厚生労働大臣が、「利便性と安全性について議論していただき、なるべく早くルールを示してほしい」と述べました。
会合では消費者団体から、「ルールも規制もないなか、ネットで売られており不安だ。ネット販売の利便性は認めるが、医薬品はリスクがあるので、安全に利用できるか考えなければならない」という意見が出されました。
これに対してネット販売の業者は、「対面販売でなければならないという方向に議論が逆行するのではなく、ネット販売での安全性を高めるために何をするか議論すべきだ」と主張しました。
検討会は今後、ネット販売を認める薬の範囲や、患者にどのように薬の説明を行うかなどについて議論を行い、半年をめどに新たなルールを作ることにしています。
検討会委員“リスク解決の議論を”“自己責任にならぬよう”
検討会の委員で、薬のネット販売を行っている会社の後藤玄利社長は「現状のルールがない状態を早く解消して安全な状態を作ろうという点は一致したと思う。今後は、ネット販売での懸念されるリスクを洗い出し、それを解決するためにどうすればいいのか議論していきたい」と話していました。
一方、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり副代表世話人は「十分な説明がない状態でネットで薬が売られ、副作用が出ても消費者の自己責任にされるようなことがないようにすべきだ。ネット販売ありきで議論を展開するのではなく、どのような医薬品の販売方法が望ましいか議論をしていきたい」と話しています。
検討会委員“リスク解決の議論を”“自己責任にならぬよう”
検討会の委員で、薬のネット販売を行っている会社の後藤玄利社長は「現状のルールがない状態を早く解消して安全な状態を作ろうという点は一致したと思う。今後は、ネット販売での懸念されるリスクを洗い出し、それを解決するためにどうすればいいのか議論していきたい」と話していました。
一方、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり副代表世話人は「十分な説明がない状態でネットで薬が売られ、副作用が出ても消費者の自己責任にされるようなことがないようにすべきだ。ネット販売ありきで議論を展開するのではなく、どのような医薬品の販売方法が望ましいか議論をしていきたい」と話しています。
ルールないままリスク高い「第1類」販売の動きも
インターネットを使った市販薬の販売は、最高裁が判決を出した先月以降、事実上、解禁され、販売できる薬の種類や副作用の説明などについてのルールがないまま販売が行われています。
医師の処方箋がなくても薬局などで購入できる「一般用医薬品」は、副作用のリスクに応じて、▽重い副作用が報告されている胃薬などリスクが高い「第1類」、▽かぜ薬や解熱剤などの比較的リスクが高い「第2類」、▽整腸薬やビタミン剤などリスクの低い「第3類」の3つに分類されています。
このうち第1類と第2類について、厚生労働省は薬局などでの対面販売を義務づけインターネットでの販売を禁止してきましたが、最高裁の判決を受けて事実上、解禁されました。
これを受けて多くの薬局が、ネット上で第2類の薬の販売を始めたほか、第1類の薬についても少なくとも5社が販売しています。
しかし、ネット販売での安全対策のルールはないため、サイトによっては、重大な副作用についての説明や持病やアレルギーについての確認がなくても購入できるケースもあるのが現状です。
田村厚生労働大臣は12日の記者会見で「今は全く何のルールもないなかで一般用医薬品がネット上で売られており、大変心配している。一定のルールを早く作らなければならない」と述べています。
インターネットを使った医薬品の販売が最高裁判所の判決で事実上解禁されたとして、ネット販売に乗り出す動きが相次いでいます。
大手ショッピングサイトでは
ネット上のショッピングサイトを運営する「ヤフー」のサイトでは、すでに2つの薬局が胃薬や解熱剤などの販売を始めています。
ヤフーは医薬品を販売する際の表示の仕方などについて独自のガイドラインを今月中に定めてヤフーのサイトで販売する店舗に対して協力を求めるとしています。
また、ネット通販大手の「楽天」が運営するサイトでも医薬品の販売が始まっています。
これについて楽天の三木谷浩史社長は14日の決算発表の記者会見で、「最高裁の判決でもインターネットによる販売が対面販売よりもリスクが高いという事実は認められないとされている」と述べました。
そのうえで三木谷社長は厚生労働省の検討会でルール作りが進められている点について、「医薬品の注意書きを読むという点ではネット販売のほうがむしろ安全だとも考えていて、将来的には家庭用医薬品だけではなく処方箋薬のネット販売も含めて検討されるべきだ」と述べました。
[関連リンク] |
|