名古屋−ランプーンFC 前半、ヘディングをする牟田(右)=タイ・チェンマイで(佐伯友章撮影)
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【チェンマイ(タイ)木村尚公】名古屋グランパスは13日、当地でランプーンFCと今キャンプ2度目の練習試合を行い、9−0で勝った。先発出場したルーキーDF牟田雄祐(22)=福岡大=が前半38分にCKから“プロ初ゴール”。守備もそつなくこなす牟田に対するストイコビッチ監督の評価はうなぎ上りで、開幕スタメン奪取が現実味を帯びてきた。
牟田がアピール度満点の初ゴールを決めた。藤本の右CKに滞空時間たっぷりのジャンプで合わせ、187センチの長身からたたきつけるようなヘディングをゴール左へ。牟田は「その前に淳吾さん(藤本)のCKを決めきれない場面があった。ミスを取り返そうと思った」。喜びというよりも、ホッとした面持ちで振り返った。
得点だけではない。相手のランプーンFCはタイ3部のチーム。体格、技術で勝るグランパスが圧倒的に攻め立てる中、3バックの右で先発した牟田は攻撃の組み立てにも積極参加。試合中には闘莉王や田中隼にポジショニングを修正されるシーンもあった。試行錯誤しつつも、大きなミスなく最終ラインを支えた。
「プロはパス一つとっても要求されるレベルが高いし、パスの受け方は自分の課題。練習から必死になってやっています」と牟田は言う。主将のGK楢崎が「先輩の意見を聞くのはいいけど、少しは自分本位にプレーしたら」と心配するほど、グランパス流のサッカーを吸収しようと懸命だ。
試合後、初ゴールを挙げた牟田について問われたストイコビッチ監督は思わず相好を崩した。「ジャンプ力があって状況判断もできる。彼はいい仕事をしているし、将来的に素晴らしいディフェンダーになる素質がある」。ダニエルを差し置いて先発起用した点からも、指揮官の期待の高さは明白。その思いに得点で応えるあたりが、牟田の非凡さだ。
牟田は「徐々にいいプレーができてきている。CKのボールも大学とは違ういいボールがくる。チャンスは全部ものにしたい」。プロとして、自信をつかみかけている22歳。ベテランぞろいのグランパスに新風を吹き込んでいる。
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